片頭痛は遺伝?薬が効かない時は?頭痛体質は改善できる?日本一多忙な専門医が【頭痛のお悩み】に回答

 片頭痛は遺伝?薬が効かない時は?頭痛体質は改善できる?日本一多忙な専門医が【頭痛のお悩み】に回答
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1日300人もの患者さんを診察、日本一多忙な頭痛の名医、清水俊彦先生に『頭痛』にまつわる素朴な疑問にお答えいただきました!

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Q.マスクをつけていると頭痛がします。原因と痛みを緩和する対処法はある?

マスク内で自分の呼気を再度吸い込むことを繰り返していると、血液中の二酸化炭素濃度が上昇します。これに伴い脳血管が異常に拡張し片頭痛様の痛みを誘発します。

頭痛
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対処法として、人気のないところや社会的距離を十分に保てる際には、少しマスクをずらして大きく深呼吸して、肺に溜まった二酸化炭素濃度を下げるとよいでしょう。またマスクをつけた状態でブドウ糖を含んだ飴玉をなめることも有効です。血糖値が上昇することにより、脳血管が収縮し、片頭痛様の頭痛が軽減します。

Q.テレワークで頭痛がひどくなった自覚が…原因と痛みを緩和する対処法は?

概して片頭痛持ちの方はテレワークを好まない傾向があります。通常なら対面の会話で済むこともPCの画面を通さなければならず、必然的にブルーライトに暴露する時間が長くなります。すると、眼を通して脳内のスクリーンの役目をする後頭葉への刺激が強くなり、片頭痛が誘発されることが多くなるようです。また長時間PCに向き合う際のうつむき姿勢も後頚部や背部の筋緊張をきたしやすく、緊張型頭痛を誘発することも多いようです。こまめに目を休める時間を作ったり、立ち上がる・ストレッチを行うなどで、筋緊張が起きないように意識的にケアしましょう。

ストレッチ
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Q.雨の日に頭が痛くなるけど、天気と頭痛は関係ある?

顔面や頭部の知覚神経である三叉神経は、所謂センサーの役割をしていますが、片頭痛体質の方はこのセンサーが非常に敏感です。鼓膜周囲にある鼓膜張筋に分布している三叉神経抹消が、低気圧が近づくことによる気圧の変化に伴う鼓膜の張り具合の情報を読み取り、その変化を大脳に伝播することで、片頭痛を誘発するのです。また、逆に晴れた日には陽光のまぶしさを眼球から視神経を通して後頭葉に伝え、片頭痛を誘発することもあります。

Q.頭痛は遺伝する?

多くの片頭痛は親、特に母親から遺伝することが多いようです。片頭痛はただの痛みではなく、痛みの水面下で脳の異常な興奮状態が引き起こされており、このような過敏な状態を引き起こしやすい脳、すなわち敏感な脳が遺伝するものと考えられています。

Q.市販の頭痛薬が効かないとき、痛みを緩和する方法はある?

市販の頭痛薬によって、片頭痛の痛みは改善しますが、痛みの水面下にある脳の過敏状態は残存します。したがってこの過敏性が蓄積してゆくと片頭痛の頻度や程度が増悪し、抑えきれなくなります。このような際には病院処方のトリプタン製剤という、痛みと共に水面下の脳の過敏状態も改善する発作頓挫薬もあります。最近はラスミジタンという異なる作用機序のお薬も発売されています。また、水面下の脳の過敏状態があまりにも大きい際には、片頭痛予防薬として、抗てんかん薬であるバルプロ酸Naを少量処方することもあります。

しかし毎日の予防薬がうまく服用できない、もしくは何等かの副作用で予防薬を服用できない際には近年、抗CGRP抗体製剤(ガルガネズマブ、フレマネズマブ)もしくは抗CGRP受容体抗体(エレヌマブ)という片頭痛発作の際に脳血管周囲に放出される神経炎症たんぱくを中和する、もしくは脳血管壁のCGRP受容体をブロックして片頭痛を起こりにくくする月に1回の注射剤も処方可能となり、片頭痛治療の幅も広がりました。まずはどの治療がよいか専門の医師に相談するとよいでしょう。

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Q.頭痛の緩和、体質改善に有効なサプリメントや漢方は?

一般的に医学的確証があり、片頭痛の予防に有効とされているのはビタミンB2、もしくはマグネシウムです。B2は脳神経細胞の異常な興奮を抑制し、またMgは脳血管を安定させることから片頭痛を予防するとされており、これらを多く含む食事を心掛けることは頭痛予防には有効であるとされています。またハーブのうち夏白菊(フィバーフュウ)の葉っぱを煎じて飲むことは片頭痛予防に有効であるとされています。これはその成分中に血小板からのセロトニンの異常放出を抑制する効果があるとされているためですが、血小板抑制効果のため、過量摂取により口内炎ができたり、また妊婦では流産のリスクがあり禁忌とされており注意が必要です。

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Q.片頭痛がない体質に改善する(治す)ことはできる?治療法にはどのようなものがある?

片頭痛の本質は脳の過敏性の高さゆえに親から子へと遺伝することが多く、残念ながら頭痛の体質そのものを改善することは困難であると考えられています。しかし上記の様に生活改善や正しい服薬、そして時に専門的な治療を行うことで、以前よりもはるかに快適に頭痛と付き合いながら生活することが可能な時代になりました。片頭痛体質の脳の過敏性に高さは、上手く活用することにより、才能の高さ、芸術的センスにつながることも多く、決して悪い疾患ではないと言えるでしょう。

教えてくれたのは…清水俊彦(しみず・としひこ)医師

東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来客員教授、獨協医科大学神経内科臨床准教授。1986年、日本医科大学卒業。東京女子医科大学脳神経外科学教室入局。1998年、東京女子医科大学脳神経外科 頭痛外来講師。2004年、獨協医科大学神経内科講師。2011年より、現職。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当。月に一度は伊豆大島にも診療に出かけている。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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