人と地球にやさしいコスメを表彰する「サステナブルコスメアワード2022」今年度の受賞ブランドは?
オーガニックやナチュラルコスメが増える中、でき上がった製品だけでなく、環境に配慮してものづくりを行うことも、当たり前のように重視されるべき——人にも地球にもやさしいコスメを表彰する「サステナブルコスメアワード2022」の授賞式が行われました。
サステナブルコスメアワードとは
「サステナブルコスメアワード」は、国内初、唯一の化粧品及びファイントイレタリー分野におけるSDGs視点での評価審査基準を制定した「人にも地球にもやさしいコスメ」を表彰するアワード。2019年にスタートし、回を重ねるごとに応募数が増えていますが、なんと、2030年には終了することが発表されています。その理由は「SDGsの目標である2030年には、『人にも中にもやさしいコスメ』が、当たり前の時代になっていると信じているから」(審査員長の岸紅子さん)。
評価は、成分をはじめ、原料・生産・製造・販売・流通・消費・廃棄という、すべてのプロセスを含めた製品のライフサイクル全体が対象です。審査員長で日本ホリスティックビューティー協会代表・岸紅子さんのほか、オーガニックやエシカルの専門家、メディア関係者のほか、学生など、年代も職種も業界も飛び越えて、さまざまな角度から審査しています。
2022年の受賞コスメ
サステナブルコスメアワードでは、ゴールド、シルバー、ブロンズのほか、審査員賞として、地方創生・アップサイクル・カーボンニュートラル・ダイバーシティ・インターナショナル・ニューフェイス・コストパフォーマンス・インクルーシブデザイン、さらに企業賞があります。
GOLD賞:Kruhi「ボタニカル石けんシャンプー」「ボタニカルトリートメント」
GOLD賞は、2022年9月に開催されたNEW ENERGY TOKYOでお披露目されたブランド「Kruhi」。「手のひらにのる自然」をコンセプトに、ディレクターを務める井浦新さん・あいさんご夫妻が開発した「ボタニカル石けんシャンプー」「ボタニカルトリートメント」が受賞しました。
自然由来成分100%、ケミカルフリーで、すべての原料のトレーサビリティ(「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにすべく、原材料の調達から生産、消費、廃棄まで追跡可能な状態にすること)も確保しています。原料には農業廃棄物となる規格外パッションフルーツ「タンカン」を活用し、鹿児島県南大隅町のファクトリーで生産されています。生分解性も高く、5日間で98.9%自然に還ることが試験で確認されています。ボトルには、リサイクル効率の高いアルミボトルを採用し、限りなくゴミを削減したアイテムです。また、オリジナルの「キャンディフォレスト」の香りは、これまで体験したことのない、かわいくて癒される香り。石けんシャンプーと思えない使用感で、仕上がりの髪の指通りの良さに驚かされます。
「ナチュラルコスメでは今までになかった、デザートのような、フォレストのような香りを目指しました」と井浦新さん。オーガニックコスメは、まじめなモノづくりが当たり前。だからこそ、香りや見た目でユニークにしたいという思いがあったそうです。
SILVER賞:FERMENSTATION「お米でできたハンドスプレー」
岩手県奥州市の休耕田を再生して栽培した有機玄米を使用した、国内唯一のオーガニックエタノールを製造。「お米でできたハンドスプレー」は、そのエタノールを使ったハンドスプレーです。このエタノールを製造する過程で生成される発酵粕は化粧品などの原料などに活用され、廃棄物ゼロで環境負荷を最小限にしたものづくりを行っています。完全に産地が明確で、トレーサブルです。容器には、再生PETが使用されています。
ほのかにお米の香りがする「フレッシュブリーズ(香料無添加)」と、清涼感のあるミントの香りが印象的な「ミントフレッシュ」の2種類。オーガニックエタノールに、美容成分であるオリジナルオーガニック発酵原料の米もろみ粕エキスを配合することで、抗酸化作用、抗老化作用、ヒアルロン酸保持効果があることが外部分析機関での検査結果で認められています。手肌に何度も使うものだからこそ、やさしい処方を選びたいもの。一般的なアルコールのハンドスプレーと比べて、肌あたりがなめらかで、マイルドな使い心地も特徴です。
なお、BRONZE賞は、「琉白」の『月桃バランスローションS』、「ドゥーオーガニック」の『クレンジングミルク』、「Lycopure」の『セラム#1』でした。審査員賞は、ぜひ、サステナブルコスメアワードのサイトでご確認ください。
「買い物は投票」。あなたの購入体験が「キラキラの未来」を現実のものにする
授賞式では、ファッションデザイナーのマリエさんや美容家でオーガニックスペシャリストの吉川千明さんら審査員を務めるスペシャリストたちが登壇。マリエさんは「審査会で出会ったコスメには、「発酵」や「オーガニックファーミング」など、同じキーワードがある。みんなの願う未来って同じなんだなと感じた」とコメント。また、吉川千明さんは「30年前、ナチュラルコスメと言われるものは少数だった。今は、まわりに『ナチュラル』が溢れている。世界は変わることを実感している。だから、たくさん使ってみて欲しい。そして、ぜひ自分の地域で作られているコスメを推してほしい」と語っていました。
事務局長の小原壮太郎さんによると、2015年のパリ協定から一気に流れが変わったとのこと。オーガニックは特別な人のものではなく、マジョリティが当たり前に使う未来へ、消費者である私たちが「わくわくドキドキ」しながら購入することで、自然にCO2実質ゼロの社会が実現していることが理想とも語ります。
2030年は、もうすぐそこまで来ています。「買い物は投票」です。まずは、受賞した製品を使ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。
AUTHOR
林ゆり
ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。 関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育つ。LOHASを実践しながら、ファッション、コスメ、食べ物など、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてライフスタイルマガジンやブログで発信中。
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