フランス発のスカルプ&ヘアケアメゾン「ルネ フルトレール」の66年に渡るエシカルな取り組み
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
1957年の創業以来、世界のセレブたちを魅了するフランス生まれのスカルプ&ヘアケアブランド「ルネ フルトレール」。その創業者で、パリのサロンの美容師のルネ・フルトレール氏は、ギリシャ語のetheira(=髪)とetheiro(=ケア)を元に、“Etheirology”という新たな概念を創造する傍ら、健康なスカルプと美しい髪の関係を追求するスペシャリストだ。マッサージで頭皮の血行を促進する”プリペア“、”ウォッシュ“、”トリート”という、当時としては画期的な3ステップスパメソッドの開発や、詳細なカウンセリングで個々に合わせたスカルプ&ヘアケアメニューの提供など、髪と頭皮の健康美を徹底的に追求。一切の妥協を許さない姿勢により、世界中のセレブたちからの絶大な信頼を獲得したレジェンドでもある。その確かな製品力で、ここ日本でもローンチ以来数多のファンを獲得しているルネ フルトレール。そこで今回は、同ブランドの魅力と様々な貢献について伺った。
ヘアケアメゾンのレジェンドとしてサステナビリティの本質を追求し続ける
——現在のようにクリーンファーストが美容業界で声高に叫ばれる前から、「ルネ フルトレール」は、いち早く環境への配慮を意識したヘアケアメゾンとして長い歴史を誇っています。まずはブランドについて教えてください。
「ルネ フルトレール」は、1957年の創業以来、植物エッセンスと先進の皮膚科学に基づき、健康的な頭皮と豊かな髪を育み続けるフランス発のスカルプ&ヘアケアブランドです。
創業者のルネ・フルトレール氏は、少年時代を南仏のプロバンス地方で過ごし、幼い頃から香りや色、植物への造詣を深めていました。そして、成人後は妻が経営するパリのサロンで美容師として、髪と日々向き合ってきました。当時は、マリリン・モンローが一世を風靡し、プラチナブロンドに染めたカーリーヘアの女性が街に溢れかえった時代でしたが、カラーリングや脱色、パーマで生じる髪へのダメージに対処できるヘアケア製品が存在しませんでした。その状況を危惧したフルトレール氏が開発したのが、「カリテNU マスク」の前身となるダメージケアクリームです。 潤いを補給しながらダメージを補修し、しなやかで美しい髪へと導くこのクリームは、その後も更なる改良を経て、現在もロングセラーアイテムとして世界中で長く愛され続けています。
続いて開発されたのが、シャンプー前のスカルプトリートメント「コンプレックス5」(現在の「コンプレックス5 コンセントレート」)です。エッセンシャルオイルをたっぷり配合したこのアイテムは、「ルネ フルトレール」のスカルプ&ヘアケアのルーティンには欠かせません。そして、彼が提言する「豊かな土壌に豊かな植物が育つように、美しい髪は健康なスカルプから生まれる」というブランドフィロソフィーを体現するシグニチャーアイテムでもあります。
——化粧品と環境という視点からブランド独自でどのような取り組みをしていますか?
フルトレール氏は、「植物の世界は、髪本来の強さと美しさを引き出す力に溢れている」という強い信念のもと、植物ベースのヘアケア製品を世に送り出してきました。一つ一つの製品は、人と環境を積極的に尊重し、“すべてのインスピレーションの源である美しい自然を守り抜く”という彼のもう一つの信念を体現するものです。そのため、どの製品も希少なエッセンシャルオイルを厳選し、その内に秘められた“治癒のチカラ”を最大限に引き出すよう処方しています。
一方で、安定的な原料調達のためブランドとして現在以下の取り組みを実施しています:
・世界中の植物資源のサプライヤーと公正かつ責任ある関係を結び、原料の調達を行っています。また、ECOCERTによって認定されたフェアトレードの原則に基づくこれらのパートナーシップにより、森林伐採や現地の人たちの栄養失調との闘い、小規模生産者の土地の保護、そして女性の経済的/社会的自立の発展等の支援活動を通じ、環境に配慮しつつも生産者とその家族の両方に利益を還元しています。同時に、現地の伝統的なノウハウを強化するなど、地域社会の発展促進にも貢献しています。
例えば、「カリテNU」シリーズに配合されているシアバターは、15年以上前からアフリカ・ブルキナファソの小さな協同組合SOTOKACCとパートナーシップにより、新たなエシカルシアバターサプライチェーンを構築して調達しています。このパートナーシップにより、伝統的な製法を採用した高品質なシアバターを安定的に入手するだけでなく、市場価値を上回るレートで取引することで、SOTOKACCで働く女性たちや、シアを栽培・収穫に関わる1,500人以上の女性たちの生活水準を向上させています。また2021年には、働く女性たちへのサポートの一環として託児所をオープンし、若い母親たちが仕事を続けられる環境づくりと、幼児教育の仕組みを実現しました。
・製品は、現在フランスのガヤックという町にて環境への最大限の配慮 (ISO 14001認証取得)をベースに、優れた専門的智見のもと製造されています。
・自然のチカラを高め昇華させていくアプローチは、常に植物のエキスパートの証である「ボタニカル エクスパタイズ ピエール ファーブル」の認証プロセスを厳守。 ルネ フルトレールのすべての製品は植物の保全、保証、尊敬、革新をベースに、責任あるものづくりの姿勢のもと製造されています。
——成分的に環境に配慮している点は何でしょうか?
現在環境に配慮し、以下のような製造プロセスを実行しています:
・製品の99%についてシリコーンフリーを採用。シリコーンは、髪や肌のコンディショニングを高める効果を持ちますが、生分解性ではないため、土や川などの自然に排出されても、微生物によって分解され自然環境に戻るのに長い年月を要してしまうためです。
・配合成分の70%をグリーンプロセスで抽出。植物から成分を抽出するため、水による抽出、もしくは再生可能でリサイクル可能な溶剤(=エタノールなど)によるグリーンプロセスのどちらかを選択しています。
・「ルネ フルトレール」の製品は92%が生分解性。生きている微生物によって自然に分解されるよう開発されています。
——ブランドならではのユニークな取り組みはありますか?
2022年、フランスを中心に、「Pink October(乳がん啓蒙月間)」に向け「Fake Hair Don't Care※」という団体と協力して、がん患者のためナチュラルなウィッグを作るためのヘアドネーションの募集キャンペーンを実施しました(日本での展開はなし)。
フランスに拠点を置く協会「Fake Hair Don't Care※」は、2016年の設立以来、髪の寄付を募ってがん患者のためのカスタムウィッグを作り続けています。そして、人毛を使用して美容師が作る完全カスタムウィッグは、その人の事情に合わせた価格で提供されるなど、様々な側面から病気に苦しむ人々の幸福に貢献しています。
ヨガするオールジェンダーにおすすめのアイテム
オレンジとラベンダーのウォーミングエッセンシャルオイル*をふんだんに配合した、60年以上の歴史を持つ「ルネ フルトレール」を代表するプレシャンプースカルプトリートメント。シャンプー前に塗布し、マッサージをしながらなじませることで、血行を促進し頭皮を健やかな状態に。鮮やかなオレンジ・ラベンダーの香りは、スポーツやヨガでリリースされた心身をさらにサポートしてくれる。
*オレンジ果皮油<頭皮の洗浄/保湿>*ラバンデュラハイブリダ油<頭皮の洗浄/保湿>
2023年3月、「ルネ フルトレール」史上最もプレミアムなハイダメージケアシリーズ「アプソリュケラティーヌ」に加わる新・洗い流さない毛先用トリートメント。“フランス中部の農家のクラフトマンシップの保全”、というサステナブルな取り組みを通じて調達されたオーガニックカメリナオイル*を採用。植物由来の保護・補修成分、そしてボタニカル セラミド類似成分**を配合し、枝毛やパサつきを感じる髪を集中補修してくれる。30mlのミニマルサイズだから、ヨガトリップやスポーツジムなどへの持ち運びにも。そのパワフルな補修力でシャワー後の髪を美しくなめらかに整えてくれるのを実感して。
*アマナズナ種子油<毛髪の保護>**ジラウロイルグルタミン酸リシンNa<保湿>
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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