【人間関係】相手も自分も尊重したコミュニケーションのために知っておきたい「アサーティブネス」とは
「週末はゆっくりしよう」と思っていたのに、友達から「週末映画を観に行かない?」と誘われたら、あなたはどうしますか?「嫌な気持ちにさせたくない」と断れず、ついOKしてしまう人も多いのではないでしょうか。でも、自分の気持ちを抑え込み続けると、人付き合いが怖くなってしまうかも。一方、相手の気持ちを考えずに「行きたくない!」と拒絶すると、友情が壊れるリスクがあります。そこで今回は、相手の意見を尊重しつつ、自分の気持ちを伝えるスキル「アサーティブネス」についてご紹介します。
アサーティブネスとは?
私たちのコミュニケーションは、次の3パターンに分類できます。
アサーティブ
アサーティブとは、相手の意見を尊重しつつ、自分の意見を表現すること。たとえ、意見が対立しても、お互いに納得できる結論を導きだすために協力できます。
攻撃的(アグレッシブ)
自分の考えや気持ちを主張するばかりで、相手に寄り添うことができません。
非主張的(ノンアサーティブ)
自分の意見をまったく主張せず、相手の言いなりになってしまいます。
自分も相手も心地よい関係を維持するには、アサーティブなコミュニケーションを実現する能力「アサーティブネス」を高める必要があります。
アサーティブネスを高めよう!
「私は攻撃的になりやすいなぁ」「自分は非主張的かも」と思った方は、これからご紹介する「DESC法」と「Iメッセージ」をぜひ試してみてください。
DESC法
DESC法とは、「Describe(具体的な描写)」「Express(説明)」「Suggest(提案)」「Choose(選択)」の頭文字をとったもの。これら4つを順に言葉にすれば、アサーティブなコミュニケーションに近づけます。
・Describe(具体的な描写):客観的な事実を伝えます。
・Express(説明):客観的な事実に対する自分の考えや気持ちを伝えます。
・Suggest(提案):現状の問題を解決するための提案を行います。
・Choose(選択):相手が提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合、それぞれについて結果を示します。
たとえば、「週末に映画に誘われたけれど自分は家で休みたい」という場合、DESC法を使うと、次のような表現ができます。
・D:ここ最近仕事が忙しかったの。
・E:だからお誘いは嬉しいけど、今週末は家でゆっくりしたい。
・S:来週なら行けるけど、どうかな?
・C:来週で大丈夫ならランチも一緒にどう?もし、来週がダメならまた連絡するよ。
攻撃的なコミュニケーションになりがちな人は「Suggest(提案)」と「Choose(選択)」を、非主張的なコミュニケーションになりがちな人は「Describe(具体的な描写)」と「Express(説明)」を言葉にできるように意識してみましょう。
Iメッセージ
「Iメッセージ」とは、「I(=わたし)」を主語にして話す方法のこと。
たとえば、待ち合わせ時間に30分遅刻してきた友人に対して、「(あなたは)どうして遅刻したの!」と、「You(=あなた)」を主語にした言葉で話すと、相手は「攻撃された!」と感じます。そのため、「遅刻なんて誰にでもあるでしょ!」と反撃されるかもしれません。
「(あなたは)どうして遅刻したの!」の裏にあるのは、
・「大切にされていない」という悲しみ
・「事故にでも遭ったのではないか」という心配
・「こんなことなら来なければ良かった」という後悔
などの気持ちかもしれません。しかし、Youメッセージでは本当の気持ちは伝わらないまま、ケンカになってしまうのです。
Iメッセージを使えば、
・(私は)大切にされていないと感じて悲しい
・(私は)あなたが事故に遭ったんじゃないかと心配していた
・(私は)こんなに待たされるなら来なければ良かったと後悔している
と自分の想いをはっきり伝えられますし、相手もあなたの気持ちを受け止めやすくなります。
アサーティブネスを高めるには何度も繰り返すことが大事!
攻撃的/非主張的なコミュニケーションを行ってきた方は、アサーティブなコミュニケーションが「難しい」「面倒くさい」と感じるかもしれません。しかし、アサーティブに伝えようと意識し続けるうちに、自然と使いこなせるようになります。最初はぎこちなくても大丈夫。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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