感性が繊細になる季節は「量より質」で賢く食べよう|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 感性が繊細になる季節は「量より質」で賢く食べよう|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-09-17

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。いつの間にか蝉の声が聴こえなくなり、朝晩はだいぶひんやりした空気に秋の気配をおぼえます。来週はいよいよ秋分ですね。暑さ寒さも彼岸までといいますので、そろそろ長引く夏の名残も消え、いよいよ秋がスタート。昼より夜の時間が長くなっていきますので、やがて来る寒さに今のうちから備えていきたいところです。

さて、秋といえば食欲の秋や、芸術の秋と呼ばれます。そのいわれの理由のひとつは、激しい暑さがようやくピークを過ぎて落ち着いてきた頃、私たち人間の感性も自然に呼応するように少しずつ繊細に、感じやすくなっていく気候にあるからではないでしょうか。夏の体が外へと向かってひらいていくならば、秋冬は内へと向かって閉じていく時。自然に負けないようにエネルギーを取り入れて発散させていたのが、秋や冬にはエネルギーを静かに蓄えていく時に切り替わるのです。食欲の秋だからといって、脳の言いなりになって美味しいものを次から次へと体へ放り込んでしまえば、冬を乗り越えるための丈夫で温かさに満ちた体づくりができなくなってしまいます。食欲の秋こそ、量ではなく質を意識していくことが大切なのです。

少ない量でも体や心が満たされる食べもの、そして食べ方とは一体どんなものでしょうか。食べ物でいえば、まず旬のもの。旬の食材には、その時期を心地よく生きていくための力が備わっていることが、食べると良いとされている理由です。昔の人たちはそのことをよく体感していたので、旬を活かして心地よく暮らす食生活の知恵を知っています。今特におすすめしたいのが、皮付きの野菜。秋は根菜が美味しくなりますが、皮にはマグネシウムや亜鉛、セラミドなどの皮膚を守る保湿成分が豊富に入っています。野菜の皮膚がまさに皮、ですよね。ですから、乾燥がだんだんと気になってくるこれからの季節こそ捨てずに皮付きのまま調理していただくことがポイントです。

人参、れんこん、大根、里芋。色々ありますが、今日はごぼうと梨を使った、こっくり×さっぱりした秋らしい簡単な一品を。体内の水分をもっとも温存する調理法は、蒸すや茹でるなどの水を使ったものです。たっぷりの油を使った揚げ物やグリルは確かに美味しいのですが、せっかく潤いをいただくのですから、疲れを感じている時などは特に調理法にも少し気を配って体に優しいものを選んでみましょう。ごぼうの土をよく洗って落としたら、食べやすいサイズに斜めに包丁をいれていきます。次に切ったごぼうとバルサミコ酢、しょうゆ、塩をお鍋に少々入れ沸騰させます。そのあとは弱火でやわやかくなるまで十分弱程度、ようすを見ながら煮ていきます。できあがったら、食べやすくカットした梨とさっと和えて完成。白すりごまをかるく振ってみるのもおすすめです。熱々の香ばしさをいただいてみてください。

ほんとうに体の滋養となってくれるものは、ばくばく食べなくても少量で満足できるものです。質の良いものを少量、美味しくありがたがっていただく。寒い季節に向けて少しずつ訓練していくのもいいかもしれないですね。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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