揺らぐ体の中心軸をお米&お味噌汁で元に戻しましょう|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 揺らぐ体の中心軸をお米&お味噌汁で元に戻しましょう|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-09-03

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。猛暑つづきの夏が去り九月に入りました。九月となると毎年「今年もあと四ヶ月で終わりなのかあ」とぼんやりします。一年のラストスパートにゆるやかに入っていったような気がどことなくしてしまいます。気が早いのでしょうか(笑)。残暑もありますので、まだまだ秋本番とはいいがたいのですが、心は早くも秋を待ち望む様子です。ところで、9月9日は重陽(ちょうよう)の節句。別名、菊の節句とも呼ばれます。五節句の中ではあまり馴染みがないものかもしれませんが、縁起のよい陽数の9が二つ重なることから「重陽」といわれるのだそう。邪気を払うとされる菊の花を飾ったり、菊の花を浮かべた菊湯をたのしんだり。また菊酒を飲んだりもします。お酒が苦手な方は、菊の花茶でもいいですね。ジャスミンティーのような飲み心地で、苦味の中に爽やかさがあり美味しいですよ。

季節の移り変わりに揺らぎやすい体を軸となって支えてくれる食べものは、何でしょうか。冷えない体づくりの基本としても、もう一度見直したい、それがお米とお味噌汁を中心にした食事です。私自身の経験ですが、数日間食事をおそろかなものにしてしまったとき、まず「ああ、今日こそはお米とお味噌汁を食べよう」という気が湧いてきます。この二つによって、ぶれていた体の軸がすっと元に戻ることを何度も体験しているのです。実際作って食べてみると、足りないものが全部ここに入っている...!という充足感を全身で味わい、疲れ気味だった心身がみるみる元気になっていきます。

昔から「一日一杯の味噌汁で医者いらず」や「麹味噌をぬるま湯に溶かして毎日飲めば病気にならない」など、味噌=生き生きと健康に生きることを助けてくれるもの、とされてきました。欧米化が進んだ食事を経て今発酵食品が見直され、次々と真新しい商品へと形を変えて売られている世の中。ちょっとした冒険として、リサーチとして、新しいものにトライするのももちろん良いのですが、私なんかはあまりにあれこれと種類がありすぎるとどれを選んだらよいのか分からず途方に暮れてしまうタイプ。皆さんの中にも同じような方がいらしたら、そんな時はふと、お味噌汁のことを思い出してください。だれにでもすぐにできる、十分すぎるほど十分な身近な発酵食材があることを。

そしてお米です。玄米が健康に良い、となんとなく思っている方も多いかもしれませんが、私としては必ずしも玄米に縛られなくても良いと考えています。確かに玄米の独特の味は美味しいし、栄養素は素晴らしい。白米と比較すると玄米の胚芽や表皮に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質などは群を抜いています。白米が土に蒔いても芽を出さないのに対し、玄米は芽を出しますね。命を育む力を持つ食べものであるといえます。

ただ中には、玄米の味が苦手な方や、消化しにくい方もいるようです。そういった方は無理に玄米食にこだわらず、分付き米を取り入れることをおすすめします。3分付き、5分付き、7分付きなどあらかじめ精米したものも売られていますし、ご自身でその時々の好みに合わせて精米機を利用して精米することもできます。精米機は私も持っているのですが、たいへん便利なものです。値段も1万円前後ですし、炊飯器よりも小さいものもあり、それほど場所も取りません。玄米の食べにくさや消化のしにくさを軽減しながら、白米ほど栄養分を削ぎ落としてしまわず、ちょうどいい具合に栄養を残してくれる。我が家は5分付き(白米と玄米の中間のようなもの)をいただいています。玄米の香ばしさや歯応えを残しながら、白米のように食べやすくおかずにも良く合いますよ。また胚芽を残すように精白された胚芽米は、白米のように消化されやすく食べやすいながら大事な栄養素は残してくれるので、こちらもおすすめ。精米機を取り入れずとも、白米と玄米を半々に混ぜて炊くのでもいいですね。ぜひご自身に合ったお米を選んで毎日の食事に取り入れてみてください。お味噌汁とお米の定番を、あなどるなかれ。揺らいでいた体も心も、0(真ん中)へ引き戻してくれる優しい力を感じてみてください。

味噌汁
photo by Megumi Sekine

 

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AUTHOR

関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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