「指の第一関節がゴツゴツ…」日本人の3人に1人が発症するヘバーデン結節、原因は?専門医が解説

 「指の第一関節がゴツゴツ…」日本人の3人に1人が発症するヘバーデン結節、原因は?専門医が解説
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40歳前後になると、体の関節に痛みや違和感を覚えるなどのトラブルが増えてきます。ですが、忙しいからと言って放置してしまい、気がついたら症状が進行し、悪化していた…なんてことも少なくないようです。今回は、日本人の3人に1人が発症すると言われている変形関節症の一つ、ヘバーデン結節について専門医にお話を伺います。

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教えてくれたのは…上原武晃先生

上原武晃

日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員 大学病院・市中病院を経て2019年神奈川県茅ヶ崎市に湘南リウマチ膠原病内科を開院。2000例を超えるリウマチ膠原病専門診療の経験を通し、女性特有の関節症状の鑑別、リウマチ膠原病疾患の早期発見早期治療、専門ケアに注力した診療を行っている。

ヘバーデン結節とは

変形性関節症の一つ。ヘバーデン結節は指の第一関節が炎症を起こし、腫れや痛み、進行すると関節の骨が変形して飛び出してきてしまい、物を握るのが困難になったり、常に痛みを感じるようになってしまいます。これは、日本人に一番多い関節症で、3人に1人が発症するといわれています。へバーデン結節と同じように手指の関節痛や腫れを起こすものには関節リウマチなどがありますが、第一関節を包む膜はとても小さいため、膜が炎症を起こす関節リウマチの症状は出にくく、関節リウマチは膜が腫れるので触るとぶよぶよしているのですが、ヘバーデン結節は骨が飛び出してくるので渡ったときにゴツゴツしているという違いがあります。

原因は?

加齢によって軟骨が硬くなってくると、軟骨が骨にぶつかって削れていきます。そうすると、骨同士がぶつかって骨が飛び出してきてしまう。これが、ヘバーデン結節を発症する原因です。加齢のほかにも、手指をよく使う職業の方に多かったり、遺伝的なものもあります。また、女性ホルモンは軟骨を保護する作用があるので、女性ホルモンが減少していく更年期世代の方は、ヘバーデン結節になるリスクが高いといえます。

治療方法は?

残念ながら、ヘバーデン結節の根本的な治療法は見つかっていません。指の第一関節の軟骨がすり減っても自分では違和感を感じずらく、骨が飛びだしてきて初めて知る人が多いんです。痛み止めや、湿布薬を処方したり、日常生活の負担を減らすためにヘバーデン結節専用のサポーターをつけることはありますが、進行を抑えることは難しい病気です。女性ホルモンの減少が原因であれば、ホルモン剤投与によって軟骨の保護作用が増すと思うので、進行を遅らせる効果はあるかもしれません。

また、最近は三七人参といわれる漢方がへバーデン結節の痛みの緩和に注目されています。日本でも特定の漢方薬局で取り扱いがあるようですので、痛みがつらいけど薬は苦手という方には向いているかもしれません。

指の第一関節以外でも、股関節や膝などの大きな関節も軟骨が硬くなり同じような症状が出ることがあります。最近の先端医療では、血液から血小板の成分をとって、軟骨が減っている部位に注射すると軟骨の保護作用が増すPRP療法という治療法も出てきていますが、膝など治療の適応になる関節は限られています。ヘバーデン結節の治療薬が出てきたら、かなり画期的だと思いますね。

まとめ

更年期世代の方が発症しやすい関節リウマチ更年期関節症、ヘバーデン結節。どれも症状が似ていますが、原因も対処法も異なります。関節の違和感に気づいたら我慢せずに、早めに専門医のいる病院で検査してもらうようにしましょう。

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Text by Yuki Igarashi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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