国内外で活発化するメンタルヘルスビジネス|摂食障害ケアのコミュニティやスタートアップが活発な理由

 国内外で活発化するメンタルヘルスビジネス|摂食障害ケアのコミュニティやスタートアップが活発な理由
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今、海外では摂食障害をオンラインでケアする動きが活発になっています。オンラインのケアコミュニティがどのような点で当事者を助けているかご紹介します。

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注目される摂食障害のオンラインケア

アメリカのEating Disorders Coalition(摂食障害連合)によると、少なくとも3,000万人のアメリカ人が何らかの摂食障害を経験しているという調査が出ており、フードロスや飽食の時代と言われながらも、「やせ賛美」が根強くある現代社会特有の問題となっています。

日本でも、医療機関を受診している摂食障害患者は1年間に21万人いるとされていますが、治療を受けたことがない人や、治療を中断している人を含めると多くの人々が悩みを抱えていると考えられています。(厚生労働省のサイトより)
また、COVID-19のパンデミックによる経済的影響、生活リズム、家族との関係の変化が摂食障害の症状悪化につながったという調査結果が日本摂食障害協会から出ています。

海外の摂食障害のケアコミュニティは、パンデミックによってオンライン化が進みました。回復に向けての治療経過や、これまでの経験を共有する人がいることで孤立せず改善できるといわれています。特にアメリカでは、摂食障害サポートグループが出てきています。匿名で参加できたり、10代を中心としたものや、母親向けのもの、学習要素のあるものなどさまざまです。

オンラインでのケアコミュニティを運営している摂食障害治療センターEating RecoveryCenterはLGBTQ+、BIPOC+(黒人、現住民、有色人種など)大学生、過食症など自分に合ったグループを選択して参加することができます。Instagramでも「摂食障害に外見や体格は関係ない」と発信し開かれたコミュニティ運営をしています。

摂食障害ケアのスタートアップも登場

ここ数年、メンタルヘルスに関するビジネスが国内外で活発化していますが、摂食障害のメンタルヘルスケアを行う企業も出てきています。

ニューヨーク発のAriseは、摂食障害やメンタルヘルスの問題を抱えていた2人の女性によって創業されたスタートアップです。
摂食障害患者の中でも、BIPOC(黒人、先住民、有色人種)は白人と比べて治療を受けにくい点やLGBTQIA+の食生活に関する課題の多さなど、マイノリティに寄り添い、解決していきたいと語っています

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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カルフォルニアのEquipは、Family-Based Treatment (FBT) というエビデンスに基づく治療方法で、セラピスト、栄養士、医療提供者、ピアメンター、家族メンターを含む5人チームでケアを行います。
16週間の治療後、「患者の80%が体重回復の目標を達成」「患者の摂食障害の症状が半分に減少」など数値に基づいた成果を発表しています。
アメリカではオピオイド依存症に次いで死亡率が2番目に高い精神疾患として社会の注目度も高く、3,500万ドル(日本円で約48億円)の資金調達をしています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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若い女性だけの悩みではないことが語られるように

摂食障害は10〜20代の若い女性を中心に語られることが多いですが、年齢・性別問わず誰でもかかりうるものであることが語られはじめています。

Apple TV+のオリジナル製作ドラマ『フィジカル』の主人公シーラは摂食障害を抱えています。
1980年代の主婦であるシーラは、学業を断念しひかえめな夫を支える妻として振る舞っていますが、娘を保育園に送ったあと、ドライブスルーでハンバーガーを大量に買い込んではモーテルで過食嘔吐することが習慣化しています。そんなシーラがエアロビクスに出会い、自分自身のボディイメージへの変化や自立心に目覚める物語です。
ドラマを制作したアニー・ワイズマン自身の経験を元に、摂食障害の当事者の困難は大人になっても続く「生涯の闘い」であると知ってほしいという想いが込められています。
軽い内容ではありませんが、鬱屈した日常で常に毒づくシーラのクセの強さと、80年代のダサかっこいい世界観でコメディとして楽しめます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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男性の摂食障害も語られる機会が増えてきました。
男性の摂食障害は女性と異なるスティグマ(社会的な恥の烙印)があります。体型を気にかけていることが「男らしさ」から外れた考えであると思われる恐れから、自ら認めにくいことや、人々が男性の摂食障害に対して同情的ではないことなどが問題としてあります。
摂食障害であることを、当事者の男性自身や周りの人が軽んじることは、大きな健康格差として当事者を苦しめることになると考えられています

最近は、男性の著名人が摂食障害であったことを公表する動きも出ています。
エド・シーランはキャリア絶頂期の強いストレスのある状態になり、ボディイメージの問題で苦しんでいたことをインタビューで語っています。また、エドはエルトン・ジョンの自伝を読んで、そこで摂食障害に関する体験が書かれていることに共感したと語っていました

摂食障害の経験をオープンにしている男性のインフルエンサーが増えてきています。
ライアン・シェルドンは摂食障害と診断されたあと、ロールモデルがいないことに気づきました。自分自身で発信することにしてからは、ルッキズムや男性同士のからかい、誤った「男らしさ」について問題提起し、支持を得ています。

 

摂食障害が「年令、性別、社会的、文化的背景を問わず誰でもかかりうる病気」ということが、ドラマやポップスターの告白やインフルエンサーの登場で明らかになってきています。

海外で増えているオンラインのケアコミュニティや企業の提供するサービスは、直接会わなくても相談できて同じ境遇の人と体験を共有できたりする良さがあります。日本でも専門家の助けを求める手段が増え、さまざまな人が抱えている問題をオープンにしやすい未来がきてほしいところです。

*摂食障害について悩んでいる方や、摂食障害の方を支えている方は、摂食障害全国支援センターが運営する「摂食障害情報ポータルサイト(一般の方)」をチェックしてみてください。

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AUTHOR

中間じゅん

中間じゅん

イベントプロデュースや映像制作を経て、ITベンチャーに。新規事業のコンセプト策定から担当。テクノロジーとクリエイティブをかけ合わせた多様なプロジェクトの設計に参画。社会課題やジェンダーの執筆活動を行う。



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