オーストラリア発の注目ブランドCLEAN SLATEが「可能な限り手作業」を重視する理由
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
豊かな大自然の中で、クリーンでイノベーティブなビューティが日々誕生するオーストラリア。そんな世界のビューティシーンを席巻するオージーコスメの中でも、現在大きな注目を集めているのが、「CLEAN SLATE(クリーン・スレート)」だ。重度の肌疾患に悩んだCEOのKAT(キャット)が、自ら手作りした化粧品からスタートしたというこのブランドの人気の秘密は、何と言っても高い安全性に裏付けされた天然由来成分とその効果にある。さらに、環境保護先進国・オーストラリアのブランドだけあって、パッケージ等の随所に自然へのリスペクトが垣間見える点も、共感を集める所以だ。そこで今回は、同ブランドの日本総販売店・センスオブスタイル主宰の武田麻美氏に、日本市場に参入した理由とブランドの魅力について伺った。
「可能な限り、伝統的な製法で作る」手作業へのこだわりが意味するもの
——昨今の消費者の環境保護意識の高まりも相まって、オーストラリア生まれのCLEAN SLATEが日本でも多くのファンを獲得しています。まずはブランド設立の経緯と哲学について、なるべく詳しく教えてください。
CLEAN SLATEの創設者のKat Snowden(キャット・スノーデン)は、幼い時から重度の湿疹に悩まされてきました。ですが、病院で処方されるものはステロイド外用薬が多かったため、それに替わる安心で効果のある自然由来成分を探していました。そして、19歳の時自ら作った石鹸に救われました。その石鹸は、オリーブ油とココナッツ油をベースに、マンダリンとライムで香りを、そしてパプリカで色付けし、テクスチャーのためにポピーシードを配合した至ってシンプルなものでした。
この経験から、彼女は本格的にスキンケア開発を学びます。自然療法、アロマセラピー、化粧品開発の技術を取得し、2012年に繊細な肌にも優しいクリーンビューティ・ブランド「CLEAN SLATE」を立ち上げました。その哲学は、余分なものをすべて削ぎ落とし、自然の恵みだけを余すところなく心とからだで受け止めるーー製品を通して、心身を白紙に戻すような、そんな体験を届ける事です。
——化粧品と環境という視点からブランド独自でどのような取り組みをしていますか?また、その取り組みを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
ブランド創設時より、高い倫理観と透明性を持って製品作りに取り組んでいます。そして、CLEAN SLATEの製品はすべて、可能な限り伝統的な製法で作られています。具体的には、機械による製造過程を最小限に抑え、すべて手作業のもと攪拌し、注ぎ込み、パッケージングしています。創業時より変わることのないこの少量生産制は、製品の品質を維持すると同時に、サスティナブルで倫理的に調達された原料を使用することに重点を置いた処方を可能にしています。
——成分的に環境に配慮している点やそのメリットについてお聞かせください。
CLEAN SLATEの製品に採用されている成分はすべて、クルエルティフリーの認証を受けた植物性または天然由来成分ものです。また、有効性にはとことんこだわり、原料はオーストラリアを中心に、世界中のサプライヤーから厳選しています。製品の多くに共通成分が含まれていること、そして多くの製品がマルチユースできるため、相乗的なスキンケアを体験することができるよう設計されています。
——化粧品を開発する上で困難なことはありましたか?またそれをどう克服しましたか?
使用感、香り、肌への効果、Katはすべてに納得がいくまで製品開発を続けます。テストと改良を繰り返すため、完成するまで数年かかる製品もあります。ただ、彼女は挑戦することが大好きなので、それを“困難”と思わず楽しんで乗り越えています。
——化粧品のブラントとしては御社が初、または独自という環境に対する取り組みはありますか?
CLEAN SLATEが初ではありませんが、創業時より成分から使用方法までの全てに“シンプル”である事を貫いているため、パッケージにおいても可能な限り過剰梱包にならないようにしています。具体的には、外箱はすべて排除し、プラスチック製の梱包材は使用しないといった取り組みをしています。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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