デリケートゾーンのケアは必要?臨床心理士が考えるデリケートゾーンをケアすることのメリット

 デリケートゾーンのケアは必要?臨床心理士が考えるデリケートゾーンをケアすることのメリット
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性の悩みは、こころと身体が影響しあう問題であるにも関わらず、悩んでいても「誰にも言えない」そんな人が多いようです。SNSを中心に性の悩みに関する情報を発信する臨床心理士の西田めぐみさんが、心と性にまつわる大切なお話を連載形式で綴ります。

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みなさんは、デリケートゾーンをケアしていますか?また、ここ最近、デリケートゾーンをケアしようという風潮が高まっているような気がしませんか?様々なメーカーからデリケートゾーン専用のケア用品が販売されていたり、美容外科でもデリケートゾーンのケア治療を扱うところが増えるなど、デリケートゾーンケアについての広告や宣伝を目にする機会も増えましたね。

とはいえ、デリケートゾーンってなに?何をすればいいの?と思う方も多いはず。わたしが主宰しているオンラインカウンセリングでも、デリケートゾーンケアについてのお悩み相談をいただくことが増えてきていますので、今回はデリケートゾーンケアについて、いろんな視点からお伝えしたいと思います。

デリケートゾーンケアとは

女性のデリケートゾーンとは、VIO(主にショーツで隠される部分)のこと。デリケートゾーンケアとは、デリケートゾーンのお悩みを予防・改善するためのケア全般を指します。女性器には常在しているデーデルライン桿菌がいて、侵入してくる菌と戦って膣環境を保ってくれています。つまり、デリケートゾーンケアとは「デーデルライン桿菌が居心地のいい環境にしてあげること」とも言えます。そのための基本的なケアからプラスアルファのケアまでお話していきます。 

デリケートゾーンケアは段階的にやってみよう

わたしはデリケートゾーンケアを3ステップに分けて考えています。3ステップとは、絶対必要>できたらしてほしい>必要に応じて、という3段階にわけたもの。すべての人が3ステップをやらなければいけないことはありません。それぞれの環境や必要に応じて使い分けてもらえたらと思います。

①ファーストステップ:清潔にすること

まずは基本中の基本!洗って清潔にすること。基本ではあるのですが、性器をどうやって洗えばいいのか教えてもらっている人は多くないように思います。よかったらここで確認してくださいね。洗うときのポイントはこちら。

・お湯は熱すぎない温度で。

・ソープを使って、大陰唇(いちばん外側の部分)をひらいて汚れをとる。

・洗浄力の強すぎるソープは避ける(なんならお湯だけでもいい)。

・膣にはソープを使わない。

・こすりすぎない。

・ソープは流しきる。

・ビデやウォシュレットは極力使用しない(特に自宅以外では)。

②セカンドステップ:保湿と通気性

できたらしていただきたいのが、保湿と通気性を保つこと。適度な潤いと通気性で、よりデーデルライン桿菌が居心地のいい膣環境を保つことができます。

・保湿はお風呂あがりに。専用のケア用品でもいいですし、刺激の強すぎない保湿クリームでもOK。

・通気性を保つためにショーツの素材を綿の配合が多いものにしたり、夜であればショーツをはかずにパジャマだけで過ごすのもオススメ(わたしはお腹が冷えないようにパジャマと腹巻きで過ごしています)。

・締めつけが少ないショーツにするのもGOOD(黒ずみ対策にもなります)。 

③サードステップ:黒ずみケア・脱毛・婦人科形成など

いわゆるプラスアルファのケア。絶対にしなければいけないものではありません。とくに最近は「性器が黒ずんでいるのは女性としてNG」「あなたの性器もにおっているかも」「介護されることを考えて脱毛しておいたほうがいい」など、人の劣等感や不安感を刺激して商材を購入させるコンプレックス商法で、デリケートゾーンケア用品やケア治療を宣伝しているものもよく目にします。個人差はありますが、黒ずみやにおいはある程度どの女性でもありますし、基本的には①と②で改善できることも多いです。

顔やからだと同じで、どこまで専門的なケアをするかというのは、あなた自身が“ケアしているときに心地いいと思えること”を一番の基準にしてみて下さい。もしも「やってもやっても不安でまだ足りない」という強迫観念があるなら、いちど立ち止まって考えてみましょう。自分が本当に必要なものはなんなのか。あくまでもデリケートゾーンケアは、ケアしている時もそうでない時も含めてあなたが心地よくいられるためのものですからね。

特別なケア用品は必要なの?

サードステップの考えと同じで、「自分が心地よくいられるため」の手段として特別なケア用品や専用のケア用品を使うのはオススメです。

例えばわたしはべたべたした質感があまり好きではないので、使い心地がさっぱりしたケア用品を好んで使っています。香りも、甘いものやスッキリしたものなど、その時の気分によって使い分けすることも。これらはわたしが気分をよくするための手段としてのケアです。また“専用のケア用品”を使用することで、特別なケアをしている感覚になって充実感や幸福感を感じることもあります。

逆に「全然こだわりません!」という方は、専用のケア用品にこだわる必要はないと私は思います。ちゃんと洗ってちゃちゃっと保湿すれば十分。わたし自身、もうめんどくさい・・・という時はなんなら保湿もせずに寝ちゃうときもあります。要するに気分の問題なんですよね。でもこの気分の問題というのは、心理的にはとても大事なポイントでもあります。

つまり、ケア用品にこだわる必要はないけれど、「この商品よさそう、気になる」「これを使っている時は幸せな気持ちになれる」と思うものはポジティブな気持ちで使用してみるのが吉です。

デリケートゾーンケアをするメリット 

性のお悩みを聞かせていただくなかで、「自分の身体に自信がない」「特に性器は汚い場所だから、パートナーに触られたり見られたりすることが苦手」という方もいます。そんな方たちは、良くも悪くもデリケートゾーンがとても特別なパーツになっているのではないかと感じるときがあります。自分の身体だけど少し遠い存在とでもいいましょうか。

そんな方にとってデリケートゾーンケアは、自分の身体を一体感させるための手段にもなるのではないかと思います。前回のセルフプレジャーと同じで、少しマインドフルネスの考えに近いかもしれません。

わたし自身、デリケートゾーンケアをするようになってから、自分のデリケートゾーンとの距離感が近くなったように感じています。ケアをすればするほど、親近感が増すような感覚。特にVIO脱毛をしてからはケアの効果もわかりやすく、ケアすることが楽しくなりました。その結果、デリケートゾーンに対して今とてもポジティブな感情を持てているように思います。パートナーに対しても「見られたら恥ずかしい」ではなく、「ちょっと見てみて、さわってみて」という気持ちになったりすることもあります。 

デリケートゾーンケアは本当に必要か

結果として、デリケートゾーンケアは必要です!でも必要なことは本当にシンプル。清潔に保つことと潤いを保つこと。それ以上は必要に応じて、それぞれが心地よくなる手段として取捨選択していくことをオススメします。メディアの情報はあくまでも参考程度にしていきましょう。

ただ、においやかゆみなど、ふだんとは明らかにちがう症状がある場合は、かならず婦人科を受診するようにしてください。そういう場合は特別なケアが症状をひどくする場合もありますので、受診まではケア用品の使用は控えた方がいいかもしれません。

さいごに

今回はデリケートゾーンケアについてお話させていただきました。amariカウンセリングルームのインスタグラムではわたしのお気に入りのケア用品もいくつか紹介していますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

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AUTHOR

西田めぐみ

西田めぐみ

臨床心理士 / マインドフルネス認定講師。性のお悩みについて臨床心理士の視点から発信、カウンセリングを行う。オンライン心理カウンセリング「amariカウンセリングルーム」主宰。



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