管理栄養士が「更年期に京漬物」を推したい理由|特に注目する"2大京漬物"とは
女性ホルモンの減少、増えるストレス、加齢による善玉菌の減少など、腸内細菌叢が乱れやすい更年期。 悩める更年期におすすめしたいのは、植物性乳酸菌がたっぷりの「京漬物」。中でもパワーを持つ2大京漬物とは?
動物性よりも「生きて腸まで届く」菌の量2.5倍。植物性乳酸菌が注目!
「腸活ブーム」「発酵食ブーム」の昨今。乳酸菌やビフィズス菌によって腸内環境を整えることは、心と体の免疫力を維持する健康と美容の鍵になることは広く知られるようになりました。
乳酸菌といえば、ヨーグルトやチーズなど動物性の酪農製品を日常生活に取り入れてきた人も多いはず。一方で、野菜や豆、米麦などの植物素材を発酵させる乳酸菌は、動物性乳酸菌と区別し「植物性乳酸菌」と呼びます。植物性乳酸菌は東アジアの豆類発酵食品や漬物などに多く生息し、日本では醤油、味噌、漬物、日本酒など伝統食品において多く生息が確認されています。つまり、日本人の食文化そのもの、そして日本人の健康を支えてきたものです。
今、この植物性乳酸菌が、動物性乳酸菌に比べて胃酸などに負けず「生きて腸まで届く」強さが2.5倍あり、免疫力の活性化が期待できることで注目されています。「植物性乳酸菌」は栄養素が乏しく過酷な環境下でも育つことができるため、胃酸にも負けず、腸まで生きたまま届くのです。
エサになる食物繊維も同時に摂取
植物性乳酸菌を含む漬物の原料・野菜は、乳酸菌をはじめとする善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富なので、腸内の善玉菌の働きがさらにパワーアップするのです。
ホルモンが乱れやすく、内臓脂肪やLDLコレステロールが上昇しやすい更年期に
女性ホルモンエストロゲンの減少、ストレス耐性の低下などで腸内細菌叢が乱れやすい更年期だからこそ、効果を発揮してくれる植物性乳酸菌は強い味方です。
同時に、女性ホルモンエストロゲンの減少によって中性脂肪やLDLコレステロールが急上昇しやすく、体が激変する時期でもあり、動物性食品を控え、できるだけ植物性を選ぶ必要があります。
植物性食品を摂取することで得られる豊富な食物繊維やビタミン類、抗酸化栄養素は中性脂肪、LDLコレステロールの抑制に働きます。リラックス効果のGABA、疲労回復のクエン酸が、更年期特有のメンタルの乱れやなんとなくの不調に◎なのです。
伝統ある乳酸菌発酵された"2大京漬物"は「すぐき漬け」と「柴漬け」
京漬物の特徴は、「塩のみ」の「長期乳酸菌発酵」による強い酸味が特徴。この酸味こそ、腸で働く植物性乳酸菌。酸っぱいほど、腸への効果が高くなります。リラックス効果のGABA、疲労回復のクエン酸も豊富になり、更年期特有のメンタルの乱れやなんとなくの不調にも嬉しい作用があります。
「すぐき漬け」・・・最強のラブレ菌で腸活
京都の伝統野菜「すぐき」を発酵させた冬限定の漬物で、塩のみで作る超シンプルな漬物で独特の風味と酸味が特徴。この風味と酸味こそ、発酵によって生成された植物性乳酸菌の「ラブレ菌」です。大変強いパワーをもっており、免疫力を高める効果も研究データから立証されています。すぐき漬けの産地である京都丹波地方は健康長寿で知られており、その秘訣が「すぐき漬け」ではないかともいわれています。葉っぱの部分に食物繊維や抗酸化栄養素がギュッと凝縮されているので一緒に食べること食べることをお勧めします。
「柴漬け」・・・きゅうりの塩分排出や紫蘇の抗炎症作用も
コリコリとした食感が人気、1年を通して店頭に並び、比較的ポピュラーな柴漬け。きゅうりと紫蘇を樽の中で約一ヶ月間熟成させて作られます。この熟成期間に、乳酸菌が独特の味わいと鮮やかな紫色を発酵によって作り出しています。紫蘇ポリフェノールが高い抗酸化作用を発揮、血圧抑制や抗炎症作用もあります。きゅうりには塩分を排出するカリウムが豊富。漬物にすることで凝縮されます。塩分が気になる人にもおすすめです。
AUTHOR
松田 真紀
1972年、兵庫県生まれ。管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士。アスリートフードマイスター3級。女子栄養大学卒業。株式会社バードワークス代表取締役。1994年、明治乳業株式会社入社。その後、電通など広告代理店勤務を経て、2014年、スポーツと健康に特化した「食プロデュース」を行なう株式会社バードワークス設立。自ら18才から15年以上20kgの体重増減、摂食障害に。苦しいダイエット生活の末辿り着いた、外食、コンビニ、レンチン、OK!ラクして食事を楽しむダイエットを提案する管理栄養士として300以上の施設団体など多方面で活躍中。著書『居酒屋ダイエット』(三笠書房)。趣味はトライアスロン、100kmウルトラマラソン、フルマラソン、全米ヨガアライアンス200習得中。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く