「病気だからって、悲しいことだけじゃない」ヘアターバンデザイナー宮井典子さんインタビュー【前編】
雑誌のコミュニティでもらった“共感”
――15年ほど前だとSNSの先駆けみたいなものですよね。
宮井さん:そうですね。当時コミュニティと言えばmixiが全盛期だったのかな。20代前半で母を亡くしたあと、実は私ちょっと引きこもってしまって。「私が異変に気付けなかったから死んじゃったんだ」って思ってしまったんです。でも、周りの人には「いつまでも泣いていないで、お父さんを助けてあげて」と言われる。弱音を吐けない状況で誰も私のことを理解してくれていないんだと自分を追い詰めた結果、心身の不調が続いて。
でも、当時はメンタルの不調を抱えて病院に行くなんてよっぽどのことだと思われていたし、田舎だったこともあって、ギリギリのところにいたんですよね。世間の常識を受け入れつつ、一生懸命に無理して普通の生活をしていた気がします。
ようやく心身も生活も落ち着いた頃、父の介護が始まって誰にも頼れなくて苦しいなというときに『Frau』さんのコミュニティが始まるという記事を見つけて応募したんですよね。ちょうど松本に住んでいるときでした。そこで、たくさんの知り合いやお友だちができて、「私、やりたいことを言ってもいいんだ」って。
――吐き出せるところが見つかって、さらに違う価値観に触れることができたという感じでしょうか。
宮井さん:それまで私はネガティブの塊で、外に何かを発信するとか無理!という感じで。まだ何も達成もしていない夢や目標を口にしてもいいのかなって思っていた部分もあったんですけど、そのコミュニティではみんな普通に発信をしていて「何、この世界!」って。
「資格を取ろうと思ってる」「東京に出ようと思っている」と言ったら「いいね!」って。もう共感しかない!って。それが、すごく意外だったんですよね。そもそも人前で何か言葉にするのが怖い、苦手という人はどこかで否定された経験があると思うんです。私も、なんとなく子どものころの記憶にそういった経験があって、自信を持って発言することが怖かった。
でも、そのコミュニティのなかには共感しかなくて、すごく自信に繋がったんですよね。その経験が今に至るという感じですね。その後、ピラティスのインストラクターとして上京することになるんですけど、コミュニティでたくさんの共感をもらえたことで怖さや不安を感じることなく、どんどん進んでいけました。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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