自分を労わろうとすると起きる【バックドラフト現象】とは?臨床心理士が教える4つの対処法

 自分を労わろうとすると起きる【バックドラフト現象】とは?臨床心理士が教える4つの対処法
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南 舞
南 舞
2021-11-13

ヨガや瞑想の練習をする中で、『自分を労わりましょう』とか『自分を慈しみましょう』というフレーズを聞くことは何度もあると思います。そういった言葉を、そのまま受け取れる人もいる一方で、『自分に優しさを向けようとすると辛くなる』『慈しもうとすると抵抗感がある』と感じる人もいます。こうした現象はどうして起こるのか、そして起きた時はどう対処したら良いのか、臨床心理士が解説します。

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自分を労わろうとすると起きる、バックドラフト現象とは?

自分に優しさや慈しみ、労りの気持ちを向けることは【セルフ・コンパッション】と呼ばれ、ここ数年で注目され始めています。セルフ・コンパッションとは、心理学者のクリスティン・ネフという人が提唱し、仏教の思想がルーツになっている概念です。『無理をしてでも頑張る』『自分のお尻を叩いてでも前をむいていくべきだ』『自分の行動や言動を疑ってかかるべき』といった考えとは真逆の考えを持ち、『自分へ優しさを向ける』『人は誰でも欠点があり、失敗を経験するもの』『今、この瞬間を味わう生き方を大切にする』といった要素から構成されています。こうした背景がヨガや瞑想の考え方にマッチするところがあり、ヨガや瞑想の中で『自分に優しさや慈しみを向ける練習をしよう』といった考え方や声かけが浸透しつつあります。自分に優しさや労り、慈しみの気持ちを向けられると、人生の中で困難な状況に陥った時に、自分が自分の味方でいられる、そしてそのことによって落ち込んでも立ち直ることができるなど、これからの時代を生きていく上で非常に大切なスキルだと筆者は感じています。ところが、セルフ・コンパッションを実践しようとすると、『違和感を感じる』『胸のあたりが痛い感じ』『傷口をえぐられるような感じがする』といった声を耳にすることが。こういった現象は、【バックドラフト現象】と呼ばれています。セルフ・コンパッションを行うことで、これまで開けてこなかった心の窓が開き、『自分への優しさ』という新たな風が入ってくることにより、古傷の痛みや恐怖などが出てくる可能性があるというものです。

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南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



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