【医師が解説Q&A】もしかして早発閉経!? 不妊の原因にも?40歳前に閉経になるサインと防ぎ方

 【医師が解説Q&A】もしかして早発閉経!? 不妊の原因にも?40歳前に閉経になるサインと防ぎ方
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40歳未満の100人に1人にみられると言われる早発閉経。閉経前のサインを見逃さないために「麻布モンテアール レディースクリニック」院長・山中智哉医師に、初期症状や予防法、また妊娠の可能性について教えてもらいました。

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Q:早発閉経とは、どのようなもので、どんな症状が現れるのでしょう?

「閉経とは、卵巣機能が低下して排卵が止まり、月経が停止する状態をさします。日本人女性の閉経の平均年齢は50歳前後といわれていますが、早発閉経は40歳未満で閉経に至ることをいいます。自覚症状としては月経と月経の間隔が長くなる、反対に短くなる、以前に比べて出血量が少なくなるなどの月経症状や、顔のほてり、発汗、息切れ、動悸、イライラ感などの、いわゆる更年期症状が現れやすくなります」(山中医師)

月経
月経が停止する閉経が、40代前に訪れることも/AdobeStock

Q:早発閉経を招く原因とは? 日常生活で予防する方法はありますか?

「早期閉経の原因は、もともと卵子数が少ない遺伝的要因や染色体の異常、卵巣腫瘍による卵巣切除の手術歴がある、また抗がん剤・放射療法を行ったことがある、などが考えられます。ただ、多くは原因不明で予防が難しいのですが、定期的に子宮ガン検診を受け、卵巣嚢腫の早期発見・早期治療を心がけ、卵巣を残す可能性を高めることが大切です。日常生活では、女性ホルモンに影響を与え、体にとって有害な喫煙をできるだけ避けたいですね」(山中医師)

たばこ
喫煙が早発閉経の原因になることも/AdobeStock

Q:早発閉経になると妊娠は難しい? 妊娠するためにできることは?

「卵巣機能が低下し、排卵がおこらなくなることが閉経なので、妊娠は難しくなります。また一度、閉経すると、年齢が若くても、その後、月経が復活するというのは非常に困難といえます。なので、妊娠を望む場合は、閉経前に妊娠を急ぐ必要があります。もし、今は未婚で将来的に妊娠を希望するという場合は、卵子凍結をして妊娠の可能性を残すことも、選択肢のひとつです

体外受精を行なっている不妊治療クリニックなどで、卵子凍結を行っています。費用はクリニックによっても異なりますが、採卵までに20万円前後。その後、卵子を凍結し、1年間保管する費用として、卵子1個につき3〜5万円、それ以上の場合もあります。凍結した卵子は妊娠を考える時期まで数年あるいは10年以上保管する可能性がありますので、凍結保管の更新料までよく調べて、クリニックを選ぶことが大切です。卵子単体は受精卵に凍結に対して比べて弱く、1個だけを凍結しても融解時に壊れてしまう可能性があります。通常10個前後かそれ以上凍結した方がいいと考えられますが、早発閉経の女性は一回の採卵で1個か2~3個程度の採卵数になることもあります。費用との兼ね合いの中で、ひとつでも多くの卵子を凍結しておくことが望ましいです。

また、抗がん剤・放射療法により早発閉経のリスクが高まる場合は、卵子凍結を行う認定医療機関が決まっていますので、そちらで行うことができます。

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卵子凍結をして妊娠の可能性を残すことも、選択肢のひとつ/AdobeStock

妊娠を希望しない場合は、一般的な更年期障害の治療と同じで、女性ホルモンの不足を補うHRT(ホルモン補充療法)が有効です。顔のほてりや発汗、息切れ、動悸、イライラ、抑うつ感などの更年期症状を改善するほか、骨粗鬆症や血管の硬化などのリスク軽減にも役立ちます」(山中先生)

早発閉経の不安があり、妊娠を希望する人は、まずは婦人科を受診することが、問題解決の糸口に。女性のライフステージをポジティブに考えるためにも、月経の変化や不調を感じたら、早めに医師に相談しましょう。

教えてくれたのは……山中智哉医師
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。現在、「麻布モンテアール レディースクリニック」にて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっている。

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Text by Minako Noguchi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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