乳房、ちゃんと触ってる?乳腺科医が啓発する【ブレストアウェアネス】とは #乳房と向き合う

 乳房、ちゃんと触ってる?乳腺科医が啓発する【ブレストアウェアネス】とは #乳房と向き合う
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美容のためのバストケアには関心があるけれど、乳房の健康となると意識が疎かになりがちです。でも乳がんと診断される人は年々増えているのが現実。なぜ健康なうちから乳房に意識を向ける必要があり、意識を向けるとは具体的に何をすることなのか。啓発運動を行う乳腺科医たちで結成された「BC Tube編集部」に話を伺うインタビュー連載「乳房と向き合う」がスタート。意外と知らない「乳房のこと」そして「乳がんについての正しい知識」を学びます。

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無関心にならず、怖がり過ぎず、乳がんを正しく知ることから始めよう

乳がんの啓発運動ではピンクリボン運動が知られていますが、乳腺外科医の立場からも乳がんの早期発見と早期治療の大切さを発信したいと考え、複数の乳腺外科医によって設立された「BC Tube編集部」。活動の目的について、「乳がんは日本人女性の9人に1人が生涯のうちに発症する身近ながんです。一方で、自分で見つけられることがあるがんでもあり、早い段階で乳房の変化に気づければ、早く治療につなげられます。そのために必要な乳房と検診に対する一人ひとりの意識を高めていきたい」と代表の伏見淳先生。

BC Tube編集部の活動の軸となるのが、YouTubeを活用した乳がんの情報発信です。早期発見、早期治療のために、なぜ情報を届けることにこだわったのでしょうか。

「日本の乳がん検診の受診率は40〜50%程度と低く、がんが見つかるのが怖いから検診に行かいという人もいます。また、しこりが見つかったらすでに手遅れではないかと思い、やはり怖がって自分の乳房と向き合おうとしない人もいます。実際は早期の乳がんであれば約90%の人が完治しますし、しこりに気づいて早期発見できたケースも多々あります。こうした誤解や間違った解釈を減らすには正しい情報が必要です。しかしながら多くの人が情報を求めに行くインターネット上の乳がん情報は、すべてが科学的根拠に基づいているとは限らず、信頼できるけれど医療知識がない一般の人には難しすぎる場合もあります。正しい情報とわかりやすい情報がイコールにならない現状を解決するために、『乳がん大事典 BC Tube編集部』というYouTubeチャンネルを立ち上げ、わかりやすく正しい乳がん情報の発信を始めました。誰もがアクセスできるYouTubeという媒体を使うことで、乳がんへの関心度が低い人や医療者と接する機会がない人との接点が生まれ、少しでも自分の乳房に意識を向けるきっかけが作れたら。そう考えています」(伏見淳先生)

がんと聞くとすぐに命を脅かす深刻なイメージを抱きますが、乳がんの場合、日頃から乳房に意識を向けて早期発見につなげられると命を守れる可能性が高くなります。がんはイメージではなく正しい情報をもとに知ることが大切。何かあってから慌てふためくと不確かな情報を取りに行きがちなので、日頃から確かな情報源を知っておくことも大事。そして正しい情報は正しい選択を後押しし、いざというときは自分を守る助けになることを覚えておきましょう。

増え続ける乳がんは、「自分で見つけられることがある」がん。早期発見のメリットとは

日本では年間9万人以上の人が乳がんと診断されていますが、乳がん増加の背景には現代女性のライフスタイルの変化も大きく関係しています。

「乳がん発症の原因は複合的でありひとつに絞ることはできませんが、一因として考えられるのが女性ホルモンのエストロゲンの影響です。乳がんは女性ホルモンのエストロゲンの影響を受けて増殖するタイプが全体の約7割を占めています。最近は初潮の開始年齢が早まっていますし、女性の社会進出により出産年齢が高齢化し、出産回数が減って授乳期間は短くなっています。このように生涯における月経回数が多く乳房がエストロゲンにさらされる期間が長くなったことが、乳がん発症のリスク上昇に関係していると考えられています。また、乳がんは昔は欧米人と比較すると日本人には少ない病気でしたが、食生活の欧米化が乳がん増加の要因になっているとも言われています」(田原梨絵先生)

乳がんの発症が増えて誰でもかかる可能性があるならば、少しでも早くサインに気づく必要があります。沈黙の臓器と言われるようながんの兆候に気づきにくい部位と違い、幸いにも「自分で見つけられる可能性が高い」のが乳がんの特徴です。

「なぜ健康なうちから乳房に意識を向けるべきかと言うと、早く症状に気づくことで早期発見、早期治療につなげられるからです。乳がん患者さんの約50%は、自分で変化に気づいて乳腺外科を受診しています。自分で見つけて早期発見できるメリットは何よりも命が守られることであり、早期乳がんの10年生存率は90%以上です。日頃から乳房の変化に意識を向けるように心掛けてください」(田原梨絵先生)

普段から乳房に意識を向け、変化に気づいたらすぐに受診を

目立った不調がないと乳房に意識が向きにくいものですが、乳房の変化に早く気づくためには何を行えばいいのでしょうか。具体的なアクションをチェックしましょう。

「皆さんはブレストアウェアネスをご存じでしょうか。ブレストアウェアネスとは、自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活することです。乳がんの変化に早く気づき、すみやかに治療に結びつけるために行いたいブレストアウェアネスの4項目をご紹介します」(田原梨絵先生)

早期発見につなげる「ブレストアウェアネス」の4アクション

1.自分の乳房の状態を日頃から見て・触って・感じるセルフチェックの習慣化

触ってチェックするときは、いつもの状態と比べて変化がないか確認する意識で触る。

乳がん
1.自分の乳房の状態を日頃から見て・触って・感じるセルフチェックの習慣化

2.気をつけなければいけない乳房の変化を知る

乳がんのサインはしこりのイメージが強いですが、皮膚のひきつれやくぼみなどしこり以外の変化もさまざま。症状を理解したうえでセルフチェックを行い変化を見逃さないように。

乳房
2.気をつけなければいけない乳房の変化を知る

3.乳房の変化を自覚したら次の検診を待たずに医療機関に行く

「検診を受けたからもう安心」「もうすぐ次の検診だからそれまで様子を見よう」はNG。乳房の変化に気づいたら、すぐに乳腺外科を受診するのが早期発見のための最善策。

乳がん 病院
3.乳房の変化を自覚したら次の検診を待たずに病院に行く

4.40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける

検診は一度受ければ大丈夫ということはなく、40歳を迎えたら2年に一度のペースでマンモグラフィ検診を受けて向き合い続けることが大切。

乳がん 病院
4.40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける

「中間期がんと言って検診と検診の間に見つかるがんもあり、これは悪性度が高く進行が早い場合があります。そのため『検診さえ受けていれば安心』『定期的にセルフチェックをしているから検診は不要』と考えず、ブレストアウェアネスの4項目をすべて実践するよう心掛けましょう」(田原梨絵先生)

BC Tube編集部の動画をチェック!

 

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Text by Ai Kitabayashi

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BC Tube編集部

BC Tube編集部

一般社団法人BC Tubeとして2020年11月に設立。メンバーは代表理事の伏見淳氏(ダナ・ファーバー癌研究所)はじめとする7名の乳腺外科医を中心に構成し、YouTubeチャンネル「乳がん大事典 BC Tube編集部」を運営。乳腺外科医が作成した動画を第三者の乳がん診療・研究に携わる医師と非医療者のレビューを経て定期的に公開し、客観的で科学的根拠のある乳がん情報の発信を行っている。



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