働く女性の約5人に1人が退職?!仕事と不妊治療は両立できるの?【不妊治療の現実】

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働く女性の約5人に1人が退職?!仕事と不妊治療は両立できるの?【不妊治療の現実】

妊娠や不妊について学んだ記憶はありますか? この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊娠を望んでいる人が知っておきたいこと、また不妊治療の現状を連載形式で綴っていきます。いつかお母さんになりたい人はきちんと知ってこれからのライフステージをデザインしてゆきましょう。

不妊治療は女性の負担が大きい

カップルで進める不妊治療ですが、男性側に問題があったとしても治療による痛みや薬による副作用、通院頻度、心の負担は圧倒的に女性への負担が大きくなります。困難な不妊治療を受けながら多くの人は仕事や家事とふつうの暮らをしなくてはなりません。中でも気になるのは働きながらの不妊治療。現状はどうなっているかお伝えします。

通院回数が多い

不妊治療は生理周期に合わせて進むため、むずかしくなるのがスケジュール管理です。体外受精のような高度生殖補助医療(ART)(*1)を受ける場合「明日来てください」と病院から言われることも少なくありません。また、薬の影響で体調に変化が現れることもあるため会議や出張など前もって予定が立てにくくなります。

不妊治療専門施設が家の近くにない場合などは電車を乗り継いだり、高速バスや新幹線で通う人も。その上予約していても待ち時間が長くなると通院だけでもかなりの負担です。

それでも努力がすぐに報われればいいのですが、高度生殖補助医療の出産率は12%程度(*2)。そのため治療を繰り返す人が多く、いつまで続くか先が不透明なのが不妊治療。それまで経験してきた事柄のように頑張れば頑張っただけの成果が表れる、というものとは少し異なるかもしれません。

仕事との両立

不妊治療と仕事の両立は社会の大きな課題のひとつです。不妊治療をスタートするのも仕事がネックとなり踏み込めず先延ばしにしてしまう人も。これまでのキャリアを無駄にしたくない、高額な治療費を捻出するために働かなくては、と働き方に関する悩みも様々です。

職場の不妊治療へのサポート制度がある企業はごくわずかですが、その企業でさえ職場の不妊治療に対する知識や情報が不足しているため使いづらさを感じて利用しない人がいるのも事実です。勇気を出してカミングアウトしても上司や同僚から不妊治療は自己都合、仕事への姿勢が無責任と捉えられたり、言葉や態度でプレ・マタニティハラスメント(*3)を受けることも現実に起きています。

NPO法人Fine ~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~が実施した仕事と不妊治療の両立に関するアンケートによると「仕事と治療の両立が難しいと感じたことがある人」は全体の95.6%。不妊治療と仕事の両立が困難で退職・休職・異動をしている人も多いのです。

「仕事をしながらの不妊治療はどんなところが難しい?」の質問に対する回答を多かった順に見てみましょう。(回答者5,076人中の人数)

  • ●急に・頻繁に仕事を休むことが必要:3,651名(71.9%)
  • ●周期に合わせた通院が必要なため、予め通院スケジュールを立てることが難しい:2,402名(47.3%)
  • ●周りに迷惑をかけて心苦しい:1,300名(25.6%)
  • ●上司・同僚の理解を得られない・得難い:658名(13.0%)
  • ●治療のことを職場でカミングアウトすることが難しい:647名(12.7%)
  • ●他の人に代替が難しい職務内容:502名(9.9%)
  • ●治療中でも仕事の都合で途中で断念せざるを得ない:413名(8.1%)
  • ●治療や投薬等の副作用で体調不良:337名(6.6%)
  • ●診療時間が平日日中のみ:295名(5.8%)
  • ●(予約制であっても)待ち時間が長い:259名(5.1%)
  • ●有給休暇が不足:114名(2.2%)
  • ●管理職としての責任を果たせない:104名(2.0%)
  • ●カミングアウトをしたらプレ・マタニティハラスメントにあった:80名(1.6%)
  • ●治療が長期化し迷惑に思われた:41名(0.8%)

上記のような理由で働く女性の約 5人に1人が不妊治療と仕事を両立できず退職しています。

仕事にやりがいを感じ、できることならこのまま働きたかったのに・・・悩んだ結果退職をするときは「不妊治療のため」と理由を伝えないケースが多い現状を企業側は把握できていません。人材の流失は企業にとって大きな損失で、不妊治療による退職の経済的損失は1,345億円と算出されました。妊娠に適した年齢は企業としても即戦力なため仕事を優先してもらいたいという思惑がありますが、社員の働きやすい環境は、長い目で見ると企業にとっても有益なのではないでしょうか。

ただ、不妊治療を受けている人が増えているため、職場の中にも同僚や近しい人が不妊治療をしている割合も増えています。上司も不妊経験者だったから理解してもらえる、という声も聞かれるようになってきました。これから企業や職場、社会全体が理解してお互いがサポートし合える環境になることを期待します。

  • (*1)高度生殖補助医療:体外受精や胚移植など、配偶子(精子や卵子)・胚(受精卵)を体外で取り扱う治療のこと
  • (*2)生殖補助医療による出生児数(2017 年累計出生児数)は『日本産科婦人科学会雑誌第71巻第11号』より引用。http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=71/11/071112509.pdf
  • (*3)プレ・マタニティハラスメント:妊活や不妊治療を行っている人に対する職場でのハラスメント行為

ライター/わたなべまさよ
妊活ヨガセラピスト(不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師)不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。妊活コンシェルジュファミワンアドバイザー。長期の不妊治療で心と体のバランスを崩したところ、毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで講演やヨガとカウンセリングを併用した妊活ヨガセラピーを行っている。「おやすみ前のリラックスヨガ」22時から20分間オンライン(Zoom)で土曜日をのぞく毎日開催。LINE登録で1ヶ月体験無料。詳しくはホームページまで。

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