「店員さんを呼ぶ」トコロ変われば非常識? #小さな違和感を声にする
社会派インスタグラムが人気の川村真木子さん。彼女が日々感じている「小さな違和感」を綴る不定期コラム連載がスタート!世の中にはびこる"普通"って、本当に"普通"なの?今回は、飲食店におけるある行為から、私たちが「当たり前だと思ってきた価値観」を見直します。
最近、フランスから帰国した友人に聞いた話。
彼の国のレストランでは「スミマセン」と手を挙げて店員さんを呼んではいけないらしい。とにかく店員さんのペースで「来てくれるまで待つ」のがマナーだそうです。それは三ツ星ミシュランレストランでも近所のカフェでも同じで、とにかく「呼んではいけない」とのこと。
「呼んではいけないって何?じゃあどうやって注文とかするの?」と聞くと、そもそもフランスでは店と客が、日本の感覚よりもかなり対等で、「お客様は神様」ではない、とのこと。サービスを提供する側も呼びつけられる筋合いはなく、仕事として顧客が欲しそうなものはちゃんと「見ている」し、お会計のタイミング等もちゃんと「見ています」だから、イチイチ声かけないでください…ってことらしいです。
時間も飲食店でのマナーも…「万国共通の価値観」はナイ
そうだとするとそれはかなり頼もしいけど「本当にちゃんと見てるのかな?」と聞くと、まず時間に対する感覚が日本人と違うので、「来てくれるまでのんびり待つ」という、そもそもの取り組み方が違うようです。社会全体がそのような時間の感覚で回っていれば、多少は待てますね、確かに。ホームパーティーなども遅れてきて当たり前だし、電車やバスも遅れる。その友人は家の排水管が壊れたので修理を頼んだら、約束の時間の次の日に現れた…なんてこともザラに起きるそうです(笑)。なので、時間はあくまで「目安」であり、日本のように死守しなくてはいけないものではないとしたら、まぁカフェでも店員さんがきてくれるまで待てるかもしれません。
コロナ禍でわかった「当たり前の価値観」の脆さ
今回のコロナは私たち日本人の持っていた"従来の価値観"を根底から揺るがしました。今まで当たり前だと信じて疑わなかったことが当たり前に出来なくなりました。例えば感染拡大を減らすためにお店の営業時間が短縮されたり、お店で働くスタッフの総数も減らしていたり。ソーシャルディスタンスを保つために、どのお店も座れる席数を制限していたり。こと「時間」に対しても、お店でのんびりと待つ時間を楽しむぐらいの勢いで、今後は社会が回っていくようになるかもしれません。それはきっと不便なのですが、その不便さの中に小さな豊かさがあって、その小さな豊かさが心や人間関係に余裕をもたらす。そんな日常になっていくのかもしれません。
ライター/川村真木子
奈良県生まれ。一児の母。20歳で大阪の公立高校を卒業後、渡米。24歳でUCバークレーを卒業後、米投資銀行ゴールドマンサックスを経て米大手投資会社に移籍。3万人のフォロワーを抱える社会派インスタグラム@makikokawamura_が人気。
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