「深い呼吸」をするためのコンディショニング|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
「肩甲骨が内転し(寄ら)ない、または胸椎が伸展し(伸び広がら)ない」と感じる場合
この場合は、少し道具の力を借りましょう。円柱状、あるいは円柱を縦半分にしたような形のストレッチポール、あるいは、バスタオルを円柱状に丸めたものを用意してください。高さは10センチから15センチあるといいでしょう。それを背骨に沿わせるように縦にあてて、仰向けに寝ます。膝は立てていてかまいません。バスタオルの場合は枕も用意して、背骨と頭が支えられるようにしてください。その姿勢でまずは深呼吸をしましょう。そのときに、肩甲骨が地面に落ちるようなイメージで、背中の力を抜いてください。すると、呼吸とともに、肩が地面のほうに引き寄せられ、胸椎も自然に伸展してきます。このパターンの人は、肩や背中に力が入りすぎて、呼吸を阻害してしまっています。背中を地面から離すことで、肩甲骨の動きを自由にして呼吸をしてあげることで、肩と背中の緊張が緩むでしょう。
これら3つの方法は、一般的に安全なものと言えると思いますが、重度の骨粗鬆症を抱えている場合は力加減に工夫が必要です。肋間筋や肋骨を押さえる力は「痛みが出ない程度」としてください。また、ストレッチポールなど硬い素材は避け、あえてバスタオルを使用し、骨盤の下にも枕などを置くことで過度に脊椎が伸展されないようにしてください。
こうした呼吸のためのコンディショニングは、スムーズな運動への入り口としても有用です。運動をするには酸素が必ず必要なわけですから、ヨガの前に呼吸のコンディショニングを取り入れてみてもいいのではないでしょうか。
ライター/得原藍
大学時代にアメリカンフットボールの学生トレーナーをした経験から身体運動に興味を持ち、卒業後社会人経験を経て大学に再入学し理学療法士となる。総合病院と訪問リハビリテーションで臨床経験を積み、身体運動科学について学ぶために大学院に進学、バイオメカニクスの分野で修士号を取得して5年間理学療法士の養成校で専任教員を勤める。現在はSchool of Movement®️ IES Directorとして様々な運動関連職種の指導者に対してバイオメカニクスを中心とした身体運動の科学を教えている。
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