マングローブ奇跡の生体から生きるヒントを学ぶ【石垣島ヨガ便り♯7】

マングローブ奇跡の生体から生きるヒントを学ぶ【石垣島ヨガ便り♯7】
CHIHIRO NAGASHIMA
長島千比呂
長島千比呂 2019-05-02

自由が丘、たまプラーザ、そして石垣島で展開する人気スタジオ「クシャナヨガ」。主宰の長島千比呂先生が過ごす、石垣島でのヨガのある暮らしとは? 憧れの島暮らしの様子を連載形式でお届けします。今回は、石垣島と同じ時間が流れる屋久島のマングローブについて。

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石垣島に生息するマングローブ

石垣島にお越しの際に訪れてもらいたい一つがマングローブ。マングローブと言うと木の名前と思っている方も多いと思いますが、実は熱帯・亜熱帯地域の湿地帯に生息する特別な植物たちの総称なのです。日本では、沖縄県と鹿児島の屋久島にのみ自生のマングローブ林があるそうです。

もちろん、ここ石垣島にも豊かなマングローブの森が拡がっています。マングローブが生育するのは、汽水域という特別な場所。そこは海水と淡水が混じり合う場所です。つまり、海と森とを繋げている地。その調和に力を発揮しているのがマングローブです。

マングローブ
マングローブの生息する湿地帯

汽水域は河口付近に拡がる湿地帯にあり、森から流れ込む豊富な栄養分を含む土から成ります。けれどその土は水を多く含む粘土状で、一般的な植物では根を張ることすらままなりません。また、粘土のような土壌では酸素量が少なく生育できないそうです。その点、マングローブは独自の根、自ら呼吸する「呼吸根」を持つことによって、その土地に根付くこと、立つことができるようになりました。

そして、もう一つ厄介なのが塩分です。海水が流れ込む汽水域において、どう塩分を輩出するかが重要です。種によって様々だそうですが、根で塩分をろ過する種、葉に塩分を蓄積し落葉させる種など、マングローブたちは独自のメカニズムによって、中に入った塩分を輩出しています。豊富な栄養素はあるけれど塩分濃度が高く刺激物が多い場所。そんな環境の中で、マングローブは必要なものを享受し、害となるものを手放すことを、命の営みの中で身につけました。

それは、もしかしたら私たち現代人にも生き抜く術として大切なことなのかもしれません。飽食の時代、モノや情報が溢れる時代、全てが飽和する中で、呼吸をするように自然に必要なものだけが自分の中に入り、過剰なもの、刺激物はそのまま流れていく。人間特有の思考や感情というフィルターを通さずに、それができたらどんなによりナチュラルに生きられることでしょう。

マングローブ
自然豊かな屋久島の地で

相対する二つを調和するヨガとマングローブ

マングローブの生息地は、森と海を繋ぐ場所。それは、まさにヨガにぴったりな場所です。そもそもヨガとはサンスクリット語で繋ぐという意味。森と海のように対なるものを結ぶのがヨガの大きな恩恵であり役割です。そして、マングローブもその繋ぎ役を担っています。

汽水域は粘土状で地形が崩れやすく、森からの赤土の流出も多い場所。様々なかたちに張り巡らされたマングローブの根が、その流出を抑えています。森を森のままに、海を美しいままに留める役目を果たしているのです。マングローブ林があるからこそ、熱帯・亜熱帯地域の森は豊かなまま、海は美しいままに保たれているといっても過言ではありません。繋ぎ手の役割は、双方をあるがままに尊重し結び合わせること。

マングローブ
水面でアンジャネーヤーサナ

それは、ヨガでも同じです。TTC(インストラクター養成コース)の中で、生徒さんたちに「ヨガは何と何を結ぶものでしょう?」という質問を投げかけます。毎期、様々な答えが出る中で、必ずでる答えが「身体と心」です。身体と心を繋ぐとはどういうことか?その答えを説明できる人は、TTCの中でもほとんどいなのですが、皆さんヨガを通じてそれを体験、体感しています。例えば、タダアーサナをとっている時、身体は安定し心は不動を感じる。身体も心も、今その瞬間の自分のタダアーサナ、内側に生じた同じ山を体感することで繋がっています。

時に、私たちの身体と心は敵対しています。心が身体を傷つけてしまうことは、ままあります。ストレスからくるエモーショナルイーティングは身体に大きなダメージを与えますし、「頑張らなくちゃ」という心の声が身体に無理をさせることも多いでしょう。身体も心も、互いに傷つけあうために存在するわけではないけれど、お互いに干渉し、害を与えてしまうことがある。

海と山もそうです。両方、偉大で素晴らしいものなのに、時に互いに浸食しあってしまう。それを、それぞれがあるがままに存在するためにマングローブが二つを繋ぐ。ヨガは、全てにおいてそんな存在です。この世にひとつとして同じものはないけれど、それらを繋げる何かが必要なのです。それは、自分を何かに染めなくてもいい、何かに染まらなくてもいい、何かを自分色に染めなくてもいい、何かと対峙しなくてもいい…そんなことを教えてくれる存在です。

マングローブ
マングローブの生息地でのひと時

身を委ねるマングローブツアーへ

石垣島でマングローブを体験するなら、宮良川のマングローブ林や名蔵アンパルがおススメです。カヤックやSUPでのエコツアーがあります。満潮時にカヤックやSUPに乗って、水の上からマングローブ林を探索することができます。

下流から上流に向かうときは、流れに逆らって進むので、自然のパワーを全身に感じながら漕ぐ楽しさが増します。流れに身を任せて進むときは、手放すことの心地よさを体感。自然の流れのままに身を任せる瞬間です。

マングローブ林は辺り一面その木々で囲まれ、まるで別世界の様です。その豊かな森には、たくさんの動物たちが住んでいて、耳を澄まし、目を凝らすと、その世界がいっぱい見えてきます。人口物がなく、水の流れと自分が漕ぐパドルの音、鳥や虫たちの鳴き声だけが響きます。

森を、海を、島を守るマングローブ。そんなマングローブの大きな存在に包まれ、ただそこにいるだけで守られていると実感し、いつの間にか身を委ねています。マングローブの力強い生命力から、生かされていることを知り、それを活きる力にかえるパワーをもらうことができます。

マングローブ
SUPに乗ってマングローブ林を堪能

長島千比呂
定期的に南インドに渡印し、高名なヨガマスターであるSwami Santhiprathadaに師事、インドの伝統的なヨガのスタイル、SivaRajaYogaを学ぶ。kSaNaYogaSchool を主宰し、SivaRajaYoga をはじめ、SwaraYogaや、KriyaYoga などインド伝統ヨガを日本に伝えている。2015年から沖縄石垣島へ移住し、YogaRetreatVillage, kSaNaを開設。国内外でのヨガリトリートに力を注いでいる。

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