【整体指導士が教える】パートナーとの関係がラクになる「3フリ」の秘訣
たくさん悩んで、人と話して、きれいな言葉で励まされても、ちっとも心がラクにならないあなたへ。3万人を指導してきた話題の整体指導士・いちい葉子さんが、自分でできる全く新しい「心の整え方」について解説。著書『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』(アスコム)から、一部の内容を抜粋してご紹介します。
人間関係というと、いちばん身近な家族との関係に悩む方も多いのではないでしょうか。
一緒に住んでいても会話がない。
やってほしいことを言えない。
ひとりでがんばりすぎてしまう。
そんなときも、まず体から。体のちがいから人間関係に向き合うと、とってもラクになります。たとえば、骨格や筋力からいえば、男性のほうが圧倒的に強い。でも、精神的には女性のほうが強い部分もあると感じます。女性は骨盤の中に子宮を持ち、子どもを産み育てる機能を持っていますから、肝っ玉かーさん的な強さがDNAとして備わっているのかもしれません。生き方や性格はそれぞれの自由であり個性ですが、このように体の機能としてちがいがあるのは事実です。であれば、それを前提として人間関係をつくるほうが自然ではないでしょうか。女性の体に関わる仕事を20年ほどつづけてきて私が思うことは、男性と女性には生まれながらに歴然としたちがいがあり、それぞれにしかできない役割があるということです。言葉にすると当たり前のことなのですが、現代人は男女ともにそれを忘れている人が多いような気がします。
もちろん、昔のように女性が社会的に認められず、男性の付属品として扱われていたような時代に逆行したいとは微塵(みじん)も思いません。ただ、互いにそのちがいを自覚することで、もっと自由な「お互いさま」という優しい関係性が育めるのではないかと思うのです。相手がやって当然、というような決めつけにとらわれない、ラクな関係性が生まれてくるような気がしています。そこで、私がパートナーに対してついがんばりすぎてしまう方におすすめしているのは、無理しそうになったら、「3つのフリ」で自分にラクさせてあげる作戦です。私が新入社員の頃、4つ上にすごく仕事ができる女性の先輩がいました。その方は結婚されていたのですが、毎日残業するし、出張には行くし。それでも楽しそうに働いていました。
給与も待遇も男女差がない会社で、がんばって肩肘張って働いているような雰囲気の女性が多い中、彼女だけはとてもしなやかに見えたものです。あるとき、私たち新入社員の女性メンバーで彼女に質問してみました。「どうして先輩はいつもそんなに楽しそうに仕事をしているんですか? お家のこととか、ご主人は何も言わないんですか?」その頃の私たちは、仕事が忙しすぎて付き合っている彼氏との時間が取れない、もう別れそうだ、と愚痴を言い合っていたからです。すると彼女は、こう答えたんです。「できないふり、知らないふり、届かないふり。旦那さんには、これかな。」私たちは思わず笑ってしまいました。できる人はこうやって可愛らしく、うまく生き抜いているんだと感心したものです。更年期を過ぎた世代には少し可愛らしすぎる作戦なので、私はこんなふうにアレンジして先輩からの教えを活用しています。
「見えないフリ、聞こえないフリ、ボケたフリ」
しんどいときは、他の人にお願いして休む。重いものは体力のある人に運んでもらう。歳をとって老眼が進んできたら、スマホで入力するものは若い娘に甘える。アイロンがけがうまくできないので得意な夫に任せる。体力差、性別差、個体差、年齢差。無理しそうになったら、そんな「体のちがい」を受け止めて、3つのフリをちょっとだけ演じて周りの人に頼ってみてください。「お互いさま」と言い合える互助会制度が発動するようなパートナーシップを築くことができれば、夫婦関係も、親子関係も職場関係も全て、まあるく収まるのではないでしょうか。がんばりすぎて「しんどいなぁ」とつぶやく前に、少し肩の力を抜いて、たまには周りの人に甘えてみてもいいのかもしれませんよ。
この本の著者/いちい 葉子(いちい ようこ)さん
整体指導士。からだデザイン研究所主宰。1968年生まれ、神戸出身。大手化粧品会社で働いた後、母親のがんや自身の不調をきっかけに整体と出会い、心身の回復を経験。その後、整体理論を学び「まくら体操セラピー」を開発し、代々木上原に教室を開設。そのメソッドは口コミで広がり、国内外から多くの受講者が訪れる人気教室に成長。10年以上新規レッスンの予約が2か月待ちという状況が続いており、テレビ番組でも紹介されるなど話題に。朗らかな人柄と寄り添う姿勢が多くの人に勇気を与えている。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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