「カレーに福神漬け」美味しいだけじゃない?意外な栄養効果は|管理栄養士が解説
カレーライスには福神漬けが欠かせないと思っている人もいるのではないでしょうか?福神漬けには意外な栄養効果があります。本記事は福神漬けの栄養について、管理栄養士が解説します。
福神漬けとは
福神漬けとは、農林水産省より以下のように定義づけられています。
農産物しょうゆ漬け類のうち、だいこん、なす、うり、きゅうり、しょうが、なたまめ、れんこん、しそ、たけのこ、しいたけ若しくはとうがらしを細刻したもの又はしその実若しくはごま(以下「ふくじんの原料」という。)のうち5種類以上の原材料を主原料とし漬けたもの
引用:農林水産省「農産物の漬物の日本農林規格 平成27年5月28日 農林水産省告示第1387号」
つまり、福神漬けは、上記の材料を5種類以上使用して、醤油漬けしたものです。
福神漬けの名前の由来は諸説ありますが、さまざまな種類の材料が七福神の神様のように入れ替わることで命名されたと言われています。
福神漬けはなぜカレーライスに使われるようになったのか
大正時代に、船旅の食事で提供されるカレーライスに添えられていたチャツネの代わりに、福神漬けを添えたのがきっかけです。
チャツネとは、インド料理に使われるペースト状の調味料です。当時はカレーライスの薬味に使用されていました。船内の料理人がチャツネの代わりに福神漬けを添えて提供したところ、カレーライスと福神漬けの相性が良く、日本中に広まったのです。
福神漬けの栄養
福神漬けの栄養価は以下のとおりです。
可食部100gあたり;
エネルギー(kcal)137
タンパク質(g)2.7
脂質(g)0.1
炭水化物(g)33.3
食物繊維(g)3.9
塩分(g)5.1
(引用:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
一般的に、カレーライス1食分に使われる福神漬けの量を20gとすると、カロリーが27kcal、食物繊維が0.8g、塩分が1.0gとなります。
福神漬けの栄養効果
福神漬けは他の食材と比較すると、食物繊維や塩分が多いことが特徴です。食物繊維と塩分の働きについて解説します。
食物繊維
食物繊維は、便通を整える働きがある栄養素です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられています。
便通を整えるのに加えて、不要な糖や脂質、ナトリウムを吸収して体外へ排出させる効果があると言われています。食物繊維は、糖や脂質、ナトリウムの摂りすぎが原因で起こる、生活習慣病の予防と改善に期待できると言われているのです。
塩分
福神漬けやらっきょうなどの漬物類は、塩分が多いことが主な特徴です。日本人の食生活で、塩分が欠乏することはほとんどありません。しかし塩分を摂りすぎると浮腫みの原因になり、高血圧や慢性腎臓病、脳卒中のリスクを高めると言われています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。しかし、腎臓病に障害がある場合は、1日の塩分摂取量を6g未満に制限することが必要です。
まとめ
本記事では、福神漬けの栄養についてお話ししました。カレーライスに福神漬けが添えられたことで、カレーと福神漬けの相性が良く、広まったと言われています。しかし、福神漬けを多く食べると、日本人に必要な塩分摂取量を超えてしまいます。生活習慣病の原因になるので、注意が必要です。食物繊維が多く含まれているので、便通に良いとされています。
カレーライスに福神漬けを盛り付ける際は多く盛りすぎず、適切な量を心がけましょう。
参考文献:
AUTHOR
たかぎみなこ
食事栄養分野を中心に記事執筆を行うフリーランスライター。前職は介護施設の管理栄養士として勤務。高齢者の食事栄養管理を行い、最期まで食の楽しみを提案する。管理栄養士の知識と経験を活かし、活動している。
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