子どもたちの腸で何が起きている?元サッカー日本代表・AuB鈴木啓太が考える、子どもの腸活の必要性

 子どもたちの腸で何が起きている?元サッカー日本代表・AuB鈴木啓太が考える、子どもの腸活の必要性
Photo by Yugo Numata(Gran)

「腸活」という言葉もずいぶんと浸透してきたにも関らず、便秘や腸の不調を抱える人はまだまだ多いのが現状ですが、実は子どもの便秘も大きな問題に。元サッカー日本代表で現在はアスリートの腸内細菌を研究するAuB株式会社の代表をつとめる鈴木啓太さんは、自身の経験をもとに「子どもにこそ腸活が必要」と訴えます。

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「自分の便をきちんと見なさい」と言われて育った少年時代

─プロのサッカー選手の平均選手寿命は6年強と言われるなか、鈴木さんはプロサッカー選手としては異例と言ってもいい16年間もの長きにわたり現役でプレーされていました。その要因は何だと思われますか?

鈴木(敬称略、以下同):実は私、便秘になったことがないんです。いきなりこういう話でなんですが、1日に2~3回出る(笑)。子どものころから母に『自分の便をきちんと見なさい』と言われて育ったので、便を見ると自分の健康状態が分かるんです。

コンディションに敏感なので、それを崩すような食べ物や習慣は避けるし、いいことは継続する。プロとして長く活躍できたのはそれが大きいと思います。

でもそれも、プロになってから意識して整えたというわけでもなく、育った環境が大きいかもしれません。

私はお茶どころ、静岡県清水市の出身。幼少期から、食後に温かいお茶を飲むのが家族の習慣でした。そこに梅干しを入れて飲むのですが、温かいお茶はお腹を冷えから守ってくれるし梅干しは疲労回復にいい。また、食卓には発酵食品であるぬか漬けや、食物繊維が豊富な海藻類のおかずがよくあがっていました。

当時はもちろん、それをコンディションのためだと思ってはいませんでした。でも大人になって腸の働きに詳しくなるにつれて、『あの少年時代のおかげで良好なコンディションを保つ土台ができたのだ』としみじみ思うようになりました。

鈴木啓太
幼少期から続けてきた習慣が、良好なコンディションを保つ土台を作ってくれたと語る。

腸内環境は幼少期で決まる!子どものころの腸活が大切な理由

─鈴木さんは引退後、メディア等を通じて「子どもの腸活」の大切さを訴えられていますが、それにはご自身の経験が大きいのですね。

鈴木:もちろんそれもあります。腸内細菌は年齢や生活習慣などでも変わりますが、おおもとの土台的な部分は幼少期に決まると言われています。

私は子どものころの生活習慣や食習慣によって、このような体の土台を築くことができたのだと思います。でも今の子どもたちってとっても忙しいですよね。習い事や勉強で毎日いっぱいだし、親も忙しいからどうしたって加工食品とかに頼らざるを得ないときだってある。

そうした『忙しすぎる・便利すぎる社会』が、子どもの健康とトレードオフになっているのでは、と思うこともあるんです。実際、便秘の子どもってとても多くて、お子さんの便秘で悩む親御さんの声も本当によく聞きます。

お腹の調子って実は頭の働きにも直結しているんです。便秘群と快便群とで、簡単な計算をして正答率を比べる実験では、快便群のほうが1.4倍くらい正答率が高いという結果が出たそうです。集中力ももちろんですが精神力も関わっているだろうなと思うと、この差は見過ごせないものがあります。

腸の調子がいいと集中して積極的にものごとに取り組め、その結果いい感触を得られたり満足できる結果を出せる。そうすると『またやってみよう』『次はもう少し上に挑戦しよう』というプラスのスパイラルができます。

逆に腸の調子が悪いと、不安でものごとに消極的になってしまったり、心から楽しめない、という切実な声をたくさん聞きます。

子どものころから腸の調子が整っていると成功体験を積み重ねることができて、人生を積極的に、より楽しんで生きることができる。そう考えると、腸の調子ってその子の一生を左右するくらい大きなことじゃないかと思うんです。

鈴木啓太
「腸の調子が整っていることが、チャレンジすることへのハードルを下げ、成功体験を重ねることが自己肯定感を高めることへ繋がっているのです」(鈴木啓太さん)

子どものコンディション作りは親だけができること

─鈴木さんは引退後、腸内細菌の研究や腸ケア商品を開発・販売する会社を立ち上げました。その背景として、子どもたちの健康への思いがあるのでしょうか?

鈴木:立ち上げ当初の思いとしては「サッカーのサポーターの方々が、ずっと元気でスタジアムに通ってくれたら」というものでした。サポーターの方々がスタジアムに来て試合を楽しんでくれるからアスリートの仕事があるし、試合の熱気を押し上げてくれる。あるサポーターさんから加齢でスタジアムに行くのが厳しくなったと言う話を聞いて、「この方々にずっと元気でいてもらうために、コンディションを整えるお手伝いをしたい」と思ったのです。

そうしてこの事業を進めて知見を深めていく中で、私も子どもを持つ親だということもあって、子どもの腸内環境の大切さをより実感するようになりました。

私たちの会社で開発した子ども向けのサプリ「kids base」は、酪酸菌や乳酸菌、糖化菌、ヒト由来のビフィズス菌など約30種類の多様な菌を配合した粉末食品です。無味無臭なのでいつものごはんにかけたりスープや飲み物に入れたりして、手軽に多様な菌を摂っていただけるのが特徴です。お子さんの便秘に悩んでいる親御さんから『改善した』という声をいただくと、本当にうれしくて。

BASE
AuBで開発した子ども向けのサプリ「kids base」

親が子どもにしてあげられることって限られていると思うのですが、体調管理はその中でも最も大切であり、親にしかできないこと。これからの社会を担うのは子どもたち。1人でも多くの子どもの心身のコンディションが健全であるようにと願っています。

プロフィール:鈴木啓太さん

鈴木啓太

1981年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、2000年に浦和レッズへ加入。2006年にJ1優勝、2007年にAFCチャンピオンズリーグ優勝を経験。2006、2007年には2年連続でJリーグベストイレブンに選出され、2009年より3年間キャプテンとしてチームを牽引。日本代表では、2002年にU-23サッカー日本代表に招集され最終予選ではキャプテンを務めた。2015年に現役を引退後は、実業家に転身してAuB(オーブ)株式会社を設立。自身の経験から腸内細菌の可能性に着目し、AuB 株式会社を設立。「すべての人をベストコンディションに。」をミッションとし、アスリートの腸内細菌の研究成果より、ヘルスケア、フードテック事業を行っている。

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Text by Nobuko Yusa
Photos by Yugo Numata(Gran)

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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