【にんじん】「加熱」と「生食」どちらが栄養価が高い? 管理栄養士が比較して解説

 【にんじん】「加熱」と「生食」どちらが栄養価が高い? 管理栄養士が比較して解説
by写真AC

日常的に良く使う野菜にんじん。普段どのような調理法で食べていますか?生食、加熱した場合に栄養素に違いはあるのかについてご紹介します。

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生食と加熱で栄養素量が変わる?!

煮物や炒め物、様々な料理に使えるにんじん。生食と加熱で栄養素量が変わるのはご存知でしょうか。にんじんにはビタミンAの前駆体であるβ‐カロテンが豊富に含まれています。ビタミンAには皮膚や目の健康に役立つほか、老化や体がさびるのを防止する働きがあります。このβ‐カロテンは脂溶性ビタミンと呼ばれ、油と一緒に摂取することで吸収率が上がる特性を持っています。皮をむいた状態のにんじんを生のものと油で炒めた物を比較するとβ‐カロテン量に約1.5倍の差があります。皮のすぐ下に豊富に含まれているので、皮を薄くむいたり無農薬のものであれば皮つきのまま調理すると、より多くのβ‐カロテンを摂取できます。

炒め物
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生食にデメリットはある?

生のにんじんにはビタミンCを壊す酵素「アスコルビナーゼ(アスコルビン酸オキシダーゼ)」が含まれていると聞いたことはないでしょうか。かつてはアスコルビナーゼがビタミンCを壊すと考えられていましたが、近年の研究ではビタミンCを壊すのではなく酸化させているといわれています。酸化されていると聞くと、ビタミンCが失われているように感じますが、酸化・還元型のビタミンCは体内では同等の働きをすると考えられています。そのため、ビタミンCが減ってしまうから生食を避けるということはしなくて良いといえます。ただ、加熱するメリットとしては硬い食感をやわらかくし、かさを減らすことで多く食べられるということが挙げられます。

料理によって調理方法を変えよう

β‐カロテンに着目した場合、生食よりも油を使用して加熱した方が良いといえます。しかし、油を使用してばかりいては脂質も気になりますよね。β‐カロテンの含有量には劣りますが、にんじんにはビタミンCやビタミンB群も含まれています。ビタミンC、ビタミンB群は水溶性ビタミンと呼ばれ、熱に弱い特性をもっているため、炒めすぎ、茹ですぎは損失してしまう可能性が高くなります。その点では生食もおすすめです。生食ではシャキシャキとした歯ごたえ、加熱すると甘みをより感じられます。栄養価も気にはなりますが、美味しく栄養素を摂取できるようサラダや煮物、炒め物と色々な調理法でにんじんを食べたいですね。

【参考文献】
文部科学省:食品成分データベース
高橋書店:あたらしい栄養学
ライター/まつおかあいこ
管理栄養士として保育園、病院での大量調理や栄養士業務を経験。調理経験の中で身に着けた知識をもとに、身近な食材についての記事の執筆を行っている。

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NS Labo(栄養サポート研究所)

NS Labo(栄養サポート研究所)

全国の栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やダイエット、美容関連の 商品開発や監修、講演やコラム執筆、メディア出演などウェルネス分野を中心に幅広く事 業を行っている。 また、2020年に「ウェルネスライフコーチ協会」を立ち上げコミュニティを通して健康貢 献活動を行っている。



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