標準体重を許せない?平凡な自分に満足できない気持ちと摂食障害

 標準体重を許せない?平凡な自分に満足できない気持ちと摂食障害
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「摂食障害」という言葉は聞いたことがある人もいるでしょう。けれど、自分とは全く関係がないことだと思っていませんか?例えば、何かを食べるたびに「今、何キロカロリー摂取したんだろう」「こんなの食べたら太るに決まってる…」そんな考えに支配され、摂食障害に至るケースもあります。摂食障害は誰にとっても身近にあるものです。摂食障害相談室を運営するカウンセラーのあかねさんによる連載コラムでは、決して縁遠いものではない「摂食障害」についてお伝えします。

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みなさんに理想の体重を聞くと、美容体重やシンデレラ体重と呼ばれる「標準体重より低い値」の答えが返ってきます。中には、すでに健康的な標準体重なのに、「標準体重では太っているように感じる」と、さらに痩せようとする方もいます。特に、摂食障害の人ほど「普通体型」を嫌悪し、「誰が見ても痩せているとわかる体型」を目指そうとします。

では、なぜ摂食障害になるほど痩せ体型に執着する人は、標準体重では満足できないのでしょうか。

異常な痩せ願望の裏にある、平凡恐怖

標準体重以下を目指す方は、体型をスリムにした先にある「綺麗だね、洋服が似合うね、モデルみたいだね」という評価を求めています。つまり、痩せたい気持ちの裏には、認められたい気持ちがあります。特に自己肯定感が低い方ほど、自分で自分のことを認められない代わりに承認欲求が高くなる傾向があり、「痩せて認められることによって、自分の価値を感じたい」と願っています。

そんな承認欲求の裏には、過度に「平凡」や「普通」を怖がる気持ちがあるように思います。例えば、「標準体型は美しくない」「普通ランクの大学では意味がない」「平凡では物足りない」などと考えやすい印象です。

「特別に良い自分」に失敗すると、「特別に悪い自分」になる

逆に言うと、「特別な自分でありたい」という願いがあるのでしょう。その背景には、幼少期に親から条件付きの愛で育てられ、ありのままの自分を認めてもらえなかった経験があるケースが多く、努力家な子がほとんどです。

ただ、周りに認められるような「特別に良い自分」になることに失敗すると、「特別に悪い自分」になろうとします。それが痩せることに反映された結果が、摂食障害です。病的に痩せて心配されることで、「特別感」を得ようとしたのです。

平凡な自分を受け入れるには

平凡恐怖を乗り越えるためには、世の中の基準や他者からの評価に頼るのではなく、普通の自分を許し、何者でもない自分を認められる心を育てていくことが大切です。「何者でもない自分」を自覚できると、「自分以外の何者でもない」と、自分の価値に気づけるようになります。

それと同時に、「自分を大切に思っている人」に気づくことも大切です。案外、自分が目を向けてない相手が、自分のことを大切に思っているものです。これらは数字で測れるものではなく、心が通う交流から感じられることでしょう。

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AUTHOR

あかね

あかね@摂食障害相談室

「壁を扉に」を合言葉に、元摂食障害の心理士として「摂食障害オンライン相談室」を運営。1990年生まれ。高校生の頃に27kgになり10年に渡る摂食障害に悩んだのち完治。その間、入退院、高校中退、引きこもり、高卒認定試験合格の後に進学。大学では心理学を専攻し、卒業後は広告会社でコピーライター、デザイナーとして従事。30カ国60都市を訪問の末、宮崎に移住。カウンセラーの傍ら、農家でありクリエイターでもある。3児の母。



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