「炭素循環農法」で作られた野菜の魅力とは|生産者に聞いた

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「炭素循環農法」で作られた野菜の魅力とは|生産者に聞いた

伊藤香奈
伊藤香奈
2018-09-16

「炭素循環農法」とは、作物を育てる考え方のひとつ。最近、テレビでも取り上げられブームとして広がりつつあります。「わたしたちの体は、食べたものでできている」と言われているように、「食」というものは私たちには欠かせない存在。しかしながら、食品を選ぶという行為にまでは意識を向けられていない人がほとんどなのではないでしょうか。地球にも人間にもやさしいと言われている、炭素循環農法で作られたお野菜の魅力。神奈川県平塚市で炭素循環農法で野菜を作っている「株式会社いかす」の白土卓志さんに、詳しくお話を伺いました。

まず現実を知ろう:あなたが食べている野菜はどのように作られている?

白土さん:始めにお伝えしますが、私は「良い・悪い」ということではなく、まずは知識を持ってほしいと思っています。そこからまず、お話しさせていただきますね。いま、皆さんが手にしている野菜の99.4%は、農薬を使っています。これを慣行栽培といいます。残りの0.6%のほとんどは、農薬・化学肥料を使わないで育てられているもの、いわゆる有機栽培です。そして、炭素循環農法や一部の農家さんでは、自然農法と呼ばれる肥料を使わない農法で野菜を作っています。野菜の作り方は、大きく分けるとこの3つになります。
一般的には、農薬を使うか・使わないかをとても気にする人が多いですが、農家目線でいうと、農薬ではなく「肥料をまくかまかないか」が大きな違いなんです。なぜかというと、虫はチッソ肥料が大好物だから。畑に過剰にチッソ肥料を使うと虫が寄ってきます。その虫を寄せつかないために農薬をまき、虫を退治しているんですね。畑に養分があれば、肥料を使う必要がなく、肥料を使う必要がなければ農薬も必要がない。さらに、野菜と人間の体は一緒で、野菜がすごい弱っているとか肥料や農薬の栄養過多でメタボだったりとかバランスが悪いと、虫や菌に野菜がやられてしまうのです。「体が弱っていると風邪をひきやすい」とか「メタボだと病気になりやすい」というのとまったく同じなんです。

炭素循環農法とは

ブラジル在住の農家・林幸美さんが本誌に執筆した記事をきっかけに広まった。一般的な栽培では主な肥料はチッソだが、炭素循環農法では圃場の微生物を生かすためにチッソより炭素の施用が必要だとする。C/N比(炭素量とチッソ量の比率)の高い廃菌床やバーク堆肥、緑肥、雑草などを浅くすき込むだけで、その他の肥料はいっさいなし、それだけで虫も病気も寄らない極めて健康な作物が育つという。

現代農業用語集より)

―人間も野菜も生きているもの。だから環境を整えてあげると余分な栄養(=肥料や農薬)がいらないというのは、とても腑に落ちます。そんな素敵なものなら、もっと広まってもいいはずですが?

白土さん:肥料というのは、野菜たちが吸いやすいように開発されています。だから、野菜が自ら力を使わなくても栄養がどんどん与えられている。つまり、「野菜がメタボ状態」なのです。炭素循環農法では、その余計な肥料を土に与えません。そうすると野菜が栄養を求めて自ら光合成をし、光合成して作った栄養の多くを根から土に還しています。そしてその栄養を求めて、たくさんの微生物たちが集まる。微生物たちが野菜に必要なものを還していく。そういう「命の循環」が土の中で起こります。なので、炭素循環農法を行っている私たちは「土に菌をたくさんいる方がいい」という考え方。木のチップ等を畑にまいて、菌を増やしています。普通の農家は農薬で菌をなくそうとしているので、まったく逆なんです。畑にキノコも生えてきます(笑)

―そう聞くと、スーパーなどに出回っている野菜は体に悪い、ということでしょうか?

白土さん:私自身は、肥料が悪いとか現在の農業のあり方を否定していません。でも、知識を持って消費者に選んでもらいたいなと思っています。体は知っていると思うんです。ここで例として、私自身が行った実験の話をしますね。化成肥料で育てられた野菜と、有機野菜(牛糞を肥料に使った野菜)と、自分たちの炭素循環農法で作った野菜をそれぞれカットして、放置してみました。どうなったと思いますか? 一番最初に有機肥料を使った野菜が腐ってきます。匂いはなんと、牛糞のにおい(笑)。そして、次は化成肥料の野菜が腐っていく。どろどろに溶けていきます。でも、炭素循環農法で作った野菜は腐るではなく枯れて、発酵していい匂いになっていくんです。日本酒のようだったり、醤油のようだったり、発酵食品と同じような匂いです。ここでみなさんに言いたいのは、どういう野菜を体に入れたいか?ってことです。

ヨガと炭素循環農法の共通点

―白土さんは「ヨガと炭素循環農法が一緒」と考えていらっしゃるそうですね。確かに、命の循環が起きているところと、エネルギーの循環やデトックスを目的にもしているヨガは繋がるところがありそうです。

白土さん:私はヨガ(アーサナ)をやったことはないんですけど、ヨガスートラを読んだことがあります。その時に「ヨガの神髄と炭素循環農法って一緒だ!」と思ったんです。もちろん炭素循環農法だけでなく、すべて一緒だと思うんです。何事もバランスが大切で、崩れた時に「崩れた」と感じられるかどうかの感性を持っていたいなと思います。自分の体の変化には疎くなり、周りの顔色には敏感になっているのっておかしいですよね。炭素循環農法も、土の中の菌や栄養のバランスがとっても重要です。過剰も不足も、なんかワクワクしない。その自然のバランスを活用しているのが炭素循環農法なんです。
繰り返しになりますが、私はスーパーの野菜が悪いと言っているわけではありません。炭素循環農法と今の農業が繋がって進化してほしいとは思っています。お互いのいいところを認め合って、進んでいけばいいんじゃないかって。そんなふうに考えているんです」。

ヨガの語源である「繋がる」にも通ずる考え。まさに炭素循環農法の野菜は、ヨガ的野菜と言えるかもしれません。人間も野菜も自然界の生き物であることに変わりはない。だから循環してお互いに支えあっていく―そんな地球の愛が詰まった炭素循環農法の野菜、一度試してみてはいかがでしょうか?

お話をうかがった人…白土卓志さん

ECサイト:https://shop.icas.jp.net/

レストラン:iCas storia

渋谷区神宮前3丁目35-8 ハニービル青山 ナチュラルローソン&food kurkku B1F

 

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