パートナーへの自己開示のきっかけに「セキララカード」が提案する新しい対話スタイル

 株式会社セキララカードよりご提供
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「深い話をして、相手のことを知ったり、自分のことを知ってもらったりするのは楽しい。でも自己開示は恥ずかしさもあるし、真面目な話をして引かれないかも不安」そんな悩みを解決するために誕生したコミュニケーションカードゲーム「セキララカード」。種類はカップル用とフレンズ用の2つ。どちらも様々な価値観に関する話がレベル1(カジュアル)・レベル2(ディープ)、恋愛観の話がレベル3(カジュアル)・レベル4(ディープ)で設定されています。株式会社セキララカードの藤原紗耶さんに、セキララカード誕生の経緯や、セキララカードで得られることについて伺いました。

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嫌われるのが怖くて、本当の自分を見せられなかった

——どのような経緯でセキララカードは誕生したのでしょうか?

元々、嫌われるのが怖くて好きになった人に自分を見せられないなど、恋愛をこじらせ、つらい経験を重ねてきました。今振り返ると、メディアや人の会話など色々なところから影響を受けて、たとえばご飯を奢ってくれた男性が対価のようにセックスを要求してくることも、つらいと思いつつ仕方のないことだと思っていたんです。相手に避妊をしてほしくても自分から言えずに、自分を責めるということもありました。

友人に相談をすると「相手と話し合うことが大切」「コミュニケーションが一番大事」とよく言われるのですが、具体的にどうしたらいいかわからなくてずっと悩み続けていて。本やネットの情報も全然役に立たなかったんです。

考えの変化のきっかけは、アメリカの大学でジェンダーの授業を受けたこと。初めて「女性は受け身であるべき」という規範は社会構造の問題であることとか、理不尽な扱いを受けたなら声をあげていいし、自分のために生きていいということを学びました。

新型コロナの流行を機に帰国し、ジェンダーや性教育関連のNPOやオンラインサロンなど色々なグループに入ってみたのですが、気になったことがあって。リテラシーの高い人たちだけが問題について話し合っていて、それも大切なことではあるものの、多くの人はそこまで関心が向いていない。むしろ生きづらさを抱えつつも、その正体に気づいていない人が多いであろう層と、リテラシーの高い層が交わっていない現状に課題意識を持ちました。

そこで「どんなものだったらみんなで使えるだろう?」と考えるようになって。その頃、友人から海外のカップルで対話を楽しむカードゲームを貸してもらい、当時お付き合いしていた人とやってみたところ、ゲーム感覚で深く自分の話ができたり、相手の話が聞けたりしてすごく楽しかったんです。

日本で探したときに同じようなものは見つからなかったので、自分でつくろうと思ったのがセキララカードのカップル編です。海外のカードは、日本の文化になじまない問いも多かったので、友達と話し合って内容を考えたり、私自身の実体験をもとに「パートナーに聞いておけばよかった」「このテーマについて話せたらよかった」と思った質問を入れたりしました。

セキララカード
株式会社セキララカードよりご提供

モヤモヤは小さいうちに話し合って解消を

——セキララカードにはカップル用とフレンズ用があります。まず、カップル用のこだわりのポイントからお話しいただけますか。

カップル用の特徴は、相手のことを答える質問が含まれていること。たとえば「私が人生で1番したいことは何だと思う?」「最近、私は何を考えていることが多いと思う?」とか。
それはパートナーが当ててくれたら嬉しいのと同時に、相手のそういう部分について、あまり考えたことがないと思うので入れています。

「最近、私から愛されていると感じた瞬間は?」「最近、私に惚れ直したのはいつ?なんで?」などのカードは、照れて言いにくかったり、当たり前だから言わなかったりすることを話すきっかけにも。なぜ自分はこの人のことを素敵と思っているのかとか、どうしてこの人と一緒にいるのかとか思い出し、かつそれを相手に伝えることが大切だというメッセージを込めています。

——「最近、私に言いづらいことはある?」のように、すれ違い解消のためのカードもありますね。

モヤモヤが小さいときに話し合って解決するってすごく大事なことだと思うんです。というのも、我慢してどんどん溜め込んで蓄積し、最終的に爆発して大喧嘩して別れてしまうというパターンが私の周りに多くて。最初に我慢したときに言えればいいのですが、どんどん話せない状態になると手遅れになってしまう。だから、最初に違和感を覚えた段階で相手に言う練習が必要。日本は「察して」文化もあるので、難しそうに見えるかもしれませんが、長期的に見たときに、話し合えるようになった方がいいと思います。

せっかく今まで築いてきた幸せな時間を全て壊すような別れ方をするよりも、ケンカや話し合いをして、自分たちで解決するからこそ愛が深まると思うんです。

——どのようなタイミングでセキララカードを使うことを想定していますか?

「セキララカードをやろう」と言い出しにくい人も多いと聞きますので、記念日など特別な日をきっかけにしてみるのはオススメです。

話し合うことに慣れてきたら、何かの待ち時間や移動時間でやってみるのもいいと思いますし、レベル4はかなりディープな質問が多いので、セックスの前戯として使っていただくこともイメージしてつくりました。

セキララカード
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恥ずかしくて切り出せない深い話のきっかけに

——最初にカップル用の案があったとのことですが、なぜフレンズ用もつくろうと思ったのでしょうか?

きっかけは、日本での飲み会が表面的な話ばかりでつまらないと思ったことです。アメリカにいた頃は、社会問題や政治について話すのが当たり前で楽しくて。日本だと「真面目な人の話」という空気がありますよね。でも話してみると、意外と自分の意見を持っていて話せる。友達とも深い話をしたかったのでつくりました。

フレンズ用は自分の話をするカードばかりです。なので、ルールとしてパスすることはできるものの、全員話せます。セキララカードを使えば、決まった人だけが話して終わる飲み会を抑止でき、一人ひとりがしっかりと話して、人となりがわかる。おもしろくない飲み会にぜひ持っていってほしいです(笑)。シェアハウスに置いたり、何かの集まりでアイスブレイクとして自己紹介として1枚引いて使ったりする方法もあります。

なお、フレンズ用でもレベル4に性に関する話が多いのは、自分が今まで友達と気軽に話してこなかったから。話す文化があれば、性的同意を取ることが当たり前になったり、性教育について考える機会が増えたりすることの期待を込めてです。

——真面目な話を恥ずかしがったり、からかったりする空気があるので、カードというきっかけがあると話しやすいですよね。

「セキララカードに書かれてるから仕方ない」という言い訳ができるんですよね。深いことを話すと楽しいのはわかっているはずなのですが、相手が自己開示をしたいタイプの人なのかとか、真面目な話をしても大丈夫なのかとかが不安で、最初のハードルがある。それをセキララカードがサポートしてくれます。

——実際に使った人からどんな声が届いていますか?

結婚して何年も経っていて、子どももいる女性からのアンケート回答が印象に残っています。普段、夫さんは自分のことを全く話さなくて、何を考えているのかわからないそうですが、家族で温泉旅行に行って、お酒を飲んだときにセキララカードを出したそうで。そうしたら、夫さんも興味を持ってどんどん話し始めて、子どもたちも楽しそうだったという感想を見て、感動して泣きました。

また、カップル用もフレンズ用も「カードをきっかけに話している中で、自分自身のことをたくさん知ることができた」「人と話しながら自分の意外な側面に気づくこともあって、自己理解につながって楽しかった」という意見は多かったです。私は想定していなかった効果なので、嬉しかったですね。


※後編に続きます。


■セキララカードの詳細はこちら
https://sekiraracards.com/

■Instagram:@sekiraracards
 

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AUTHOR

雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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