「いくら買っても満足できない…」買い物依存かもと悩んでいませんか?心理師が解説
欲しいものが次から次に出てきて、いくら買っても満足できない。買い物依存かも…と悩んでいませんか?過剰な買い物行動が生活に支障をきたし、精神的な苦痛を引き起こす場合は、買い物に依存している可能性があります。良かったら今回の記事を参考にください。
買い物依存が起こる背景
買い物など、何かに依存してしまう背景には様々な理由が考えられます。例えば、日常的にストレスが溜まっており、ストレス解消のため、感情を安定させるため。ブランド物など高価で希少性や価値が高い物を購入することで、低い自己評価や自己価値感を一時的に緩和するため。特に依存と孤独感は関係があります。対人関係の問題があり、孤独感や孤立感を感じている場合は、より一層何かに依存しやすくなります。また、同じ対処行動ばかりを繰り返すことで依存しやすくなります。ネットショッピングの手軽さから、買い物は自宅でストレスを軽減できる手軽な手段なため、より依存しやすいことも原因の一つだと考えられます。
買い物しても気持ちが満たされない理由
買い物をした瞬間も満足し、その洋服を着ることで何度も満足感を味わえる場合はいいかもしれません。しかし、買い物をした瞬間は満足感や高揚感があっても、何故すぐに気持ちが冷めるのでしょうか。買い物は一時的な快楽や満足感をもたらしても、それが持続的な幸福感や充実感につながらない場合があります。そして、購入後に現れる空虚感や満足感の喪失が、次の買い物への欲求を刺激し、どんどん次の買い物へと繋がってしまいます。また、買い物が孤独感や劣等感などの感情の緩和や自己評価の向上の手段として機能している場合、その根本的な問題が解決されていないことが挙げられます。自分自身や対人関係への適切な対処が行われていないと、買い物は一時的な逃避となり、持続的な満足感をもたらしにくくなります。
さらに、マーケティングや広告の影響により、無意識のうちに物質的な豊かさが幸福感と結びつけられていることも考えられます。物質的な豊かさだけが真の幸福につながるわけではなく、何に価値を置くかは個人によっても異なります。自分にとっての幸福とは何か見つめ直すことも必要でしょう。
買い物依存への対処法
買い物に頼ることが継続的で本質的な幸福感や満足感をもたらさない場合は、買い物に頼らざるを得ないストレス源や「本当に満たしたい気持ち」など心の内面に目を向ける必要があると言えます。ストレスの直接的な原因を解決できない場合は、以下を参考にしてください。
ストレス解消法のレパートリーを広げる
一つの解消法に頼ることで依存しやすくなります。買い物以外のストレス解消法を増やしましょう。ストレスが溜まっていることに気づきにくく、気づいたら買い物をしている場合は、まずは自分の内面に目を向ける練習も大切です。アプリや日記などを利用して毎日の気分をメモし、どれくらいのストレス状況なのか把握しましょう。
買い物する時のパターンを見つける
買い物のきっかけとなるトリガーや行動パターンを理解し、健康的な代替手段を見つけることも大切です。例えば、「否定的なことを言われた時」「ぞんざいな扱いを受けた時」「一人ぼっちだと感じた時」など何かトリガーがあるかもしれません。トリガーを自覚し、買い物に代わるどのようなストレス解消法をするのか決めておきましょう。
サポートを増やす
気軽に相談できる人や楽しく雑談できる人など、自分にとってサポートとなる人を見つけましょう。対面で話せる相手だけではなく、オンライン上の友人や「観ているだけで元気になる」など推しのような存在でもいいです。自分にとってのサポートとなる存在を改めて書き出してみましょう。
専門機関を利用する
対人関係の問題や自己肯定感の低さ等が買い物行動に繋がっているのなら、根本的な問題解決のためにカウンセリング機関を利用して心理療法を受けることが効果的です。また、慢性的で強い不安等が同時に存在する場合、医療機関を受診し医師に相談することも必要です。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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