結局のところ「痩せている人は、朝食は食べているのか?いないのか?」管理栄養士が語る真実
16時間ファスティングとは、16時間の空腹時間を作ること。時間はどこでも構いません。主流となっているスタイルは、睡眠時間を活用して、朝食を抜くもの。1日の食事を昼食から始めることで、無理なく16時間の「空腹時間」を作ることができます。この16時間ファスティングがあまりに流行ったことで「朝食を食べたほうがいいのか?食べないほうがいいのか?」という質問を多く聞かれるようになりました。続きは本文で。
朝食を食べない「16時間ファスティング」とは?
ファスティングとは、一定期間固形物を断つことです。からだがリセットされ、人間本来の力を引き出すことができます。
効能は様々ですが、胃腸が消化・吸収に使っている莫大なエネルギーを節約し、細胞の修復などに使えるようになります。排出力も高まり、肌の調子が良くなることも多いです。体内のグリコーゲンが枯渇すると、体脂肪を燃やしてエネルギー源とするため、体重も落ちていきます。また胃腸の負担が減って、消化吸収機能が回復するため、その後の基礎代謝アップも期待できます。
近年では、数日間、連続で行うファスティングだけではなく、日常的な16時間ファスティングを取り入れている人も多くなりました。16時間ファスティングとは、1日のうちでどこでもいいから、連続的な16時間の空腹時間を作ることです。
主流となっているスタイルが、睡眠時間を活用して、朝食を抜く方法です。具体的には、夕食を19:00ぐらいまでに終わらせ、翌朝の朝食を抜いて昼食からスタートすれば、睡眠時間も含め、無理なく16時間の「空腹時間」を作ることができます。
コロナ禍の自由な働き方(テレワークが増えたり、飲み会が減ったり、夕食を早く食べれるようになったり、早く眠れるようになったり…… )も後押しし、16時間ファスティングは、一気に普及しました。それに伴って「朝食は食べないほうがいいの?」という質問が、圧倒的に増えました。あまりにも質問が多いので、ここにその回答をまとめてみます!
朝食を食べたほうがいい人と、食べないほうがいい人
結論から言うと「16時間ファスティングが合っている人は、無理して朝食を食べる必要はありません!」
もともと、朝食を食べる習慣のない人にとっては、16時間のファスティングは、すんなり取り入れやすいものでしょう。
逆に、子供の頃から3食きちんと食べてきた人は、朝食の欠食が向いていないことも多いです。知らず知らずのうちに、朝食で体内時計をリセットさせる習慣が深く身についているため、ファスティングが体内時計を乱れさせてしまうのです。体内時計が乱れ、自律神経バランスが崩れると、変な時間にお腹がすいたり、甘いものへの欲求が強くなりすぎたり、食欲が止められずに暴飲暴食してしまったり、食べても食べても満腹感が得られなかったり…… これらは意志の弱さではなく、自律神経バランスの乱れによるもの。16時間ファスティングが合わない人は、無理に続けると逆効果です。
それでも16時間ファスティングを続けたい場合は、体内時計をリセットさせる働きがある「朝食」を抜くのではなく、「夕食」を抜いて、16時間の空腹時間をとる方がうまくいくはずです。
続けられる人と、続かない人の傾向
実際の食事指導をしている中で、16時間ファスティングが続く人と続かない人には、傾向がありました。
コロナ禍から、今でも16時間ファスティングが続いている人は、規則的な時間で働くオフィスワーカーが多いように感じます。朝食に頼らなくても、会社などへ行くことで、強制的に生活リズムを整えることができる人たちです。
一方、16時間ファスティングで逆に太ってしまったケースには、1日の時間割を自分でコントロールできるタイプの人が多かったようです。昼夜逆転を悪化させてしまうケースも複数に見られました。ダイエット中に「夜ちゃんと眠れなくなった」という症状が見られれば、その食事法は合っていないというサインです。すぐに見直しましょう。とくに40代以降のダイエットでは、規則正しい生活が基本! ストレスを取り除き、体内時計・自律神経を整え、自分の身体を味方につけてこそ、ダイエットは成功するのです。
また「途中から16時間ファスティングが合わなくなってきた」という声も多く聞かれました。
そもそも、朝食を食べなかった理由が「朝起きれないから」「おなかがすかないから」という人が、16時間ファスティングを続けているうちに、早い時間に夕食を食べるようになり、生活が規則正しくなることで、朝起きた時点でおなかが空くようになったというわけです。これはとてもいい変化です。
このことからも、自分にあう食事はずっと同じとは限りません。また残念ながら、万人に合う食事法もありません。誰かが16時間ファスティングで痩せたとしても、それが他の人に合うとは限らないのです。食事法の選択は、自分に合うかどうかがもっとも重要であり、自分で手探りして見つけていくしかありません。
ただし、ファスティングなどの専門性が必要な食事法は、浅い知識や情報だけでむやみに行わず、正しい方法で取り入れることが原則です。
AUTHOR
石松佑梨
サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートたちの専属管理栄養士として従事。のべ2万人以上に提供してきた「頑張らない食トレ」を武器に、近年は企業の健康経営や地域創生も展開する。幼い頃から「おいしい」への執着心が人一倍強く、おいしく健康に食べるための「ずるい栄養学」で、誰もがおいしく食べて健康になれる社会を目指している。著書に『過去最高のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー』(かんき出版)がある。
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