【キッチンでの家事が辛い人必見】解剖学から考察!長時間の立ち仕事でも腰に負担がかからない立ち方

 【キッチンでの家事が辛い人必見】解剖学から考察!長時間の立ち仕事でも腰に負担がかからない立ち方
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特に何かをしたわけでもないのに、慢性的に体のどこかが痛いということはありませんか? それは日常的に行っている何気ない動作や姿勢が影響しているのかもしれません。何気ない動作のつもりでも、「これをするときはこうするものだ」といつの間にか思い込んで、体が強張っていることは結構あります。そんな日常に潜む思い込みとそれによって起こる体の「負」について、体を効率的に使うアレクサンダーテクニークの実践者が解剖学的な視点で考察します。考え方やイメージ法から体を変えるという、エクササイズやワークアウトとは異なる方法もご紹介。 6回目のテーマは「立ち仕事で腰が痛い」です。

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立ちっぱなしで腰が痛くなるのは「立ち姿勢を安定させよう」としているから

長時間立ちっぱなしでいると腰が痛くなるのは、多くの人が経験していると思います。販売員など、職業によってはお店に立ったまま作業をするのは当たり前ですよね。また日常生活においても、キッチンで料理するなど、家事のほとんどは立ち仕事です。そうして立ち続けているうちにジワジワと腰が重くなるように感じ、痛みは慢性化していくものです。

では、どうして長時間の立ち仕事で腰が痛くなるのでしょう?
そこには、立つという行為に対して、「安定させよう」という思いがあるからです。加えていえば、「安定とは重心が下にあること」と体を下の方向へ押しつぶすイメージや、「重心は下の方にあったまま動かさない」といった思考があると推測できます。

安定させようと思うと下半身が固まり、上半身が反る

安定させようと思った途端に、股関節・膝・足首が固まります。この3カ所の関節の可動域が自由度を失うと、体勢を保つバランスも失われ、代わりに上半身だけで頑張ってバランスを保とうと、腰や背中、お腹などの筋肉に過剰な力が入ります。そして、肩甲骨を背中の方に寄せて、引き下げ、脇を締める状態になります。そうすると、腰椎で余計な伸展が起こります。

つまり上半身を反り気味で全身を固まらせ、腰椎だけでバランスの調整をとっているのです。

またキッチンなど目の前に台がある状況であれば、寄りかかりたいという思いが起こり、思わず台に腰を寄せようとしがちです。股関節・膝・足首を固め、上半身が反った体勢から、さらに台に腰を近づけることになるので、股関節に無理な伸展が加わり、腰椎への負荷がより深まってしまうのです。

「膝は前に向かって動く」という事実を思い出そう

さて下半身が固まっているとき、私たちは下半身の動きの要である股関節・膝・足首の存在を忘れがちです。3カ所の関節が動くことより、まっすぐな棒のようなイメージを脚に当てはめているのではないでしょうか。

そこで「立ちっぱなしで腰が痛いな」と感じたら、次のことを実践してみてください。
① 下を向いて膝を見る。
② 膝に触れて、その感触を通して膝の存在を体感する。
③「膝は前に向かって動く」と思って、膝が前方向へ曲がる様子をイメージする。

「膝は前に向かって動く」と思うと股関節も足首も自由になる
photo by Mia Hotaka

このように新しい思考を取り入れると、それまで膝にかけられていた可動域の制限が解け、わずかながらでも動き始めます。股関節・膝・足首は連動しているので、膝が自由を取り戻せば、股関節と足首も膝に合わせて動きます。

腰で行っていた余計な仕事を脚が行ってくれるので、それまではすごく頑張って立っていたということに気がつくかもしれませんね。

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AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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