考える事をやめて心の言葉に向き合う「メッタ瞑想」って?
シンプルなメッタ瞑想
ふたつ目の方法は、古代のパーリ語でメッタ「慈愛」の瞑想と呼ばれるものだ。慈愛の瞑想によって心に触れて、自分自身と他の人々に対する愛情、寛容、幸福、善意といった感情を抱く能力を養うことができるようになる。
心に注意を向けて、愛情と痛み、喜びと悲しみの両方を感じる心という場所につながろう。では今から、メッタ瞑想の第一段階として、思い出すと自然に純粋な慈愛の感情が湧き上がってくるような何か(人か大好きな動物)のことを思い描いてみよう。あなたは円の中にいて、目の前にその人(または動物)がいる。あなたの心から、その人(または動物)に次の4つの願いを送ろう。
1. あなたが幸せでありますように。
2. あなたが健康でありますように。
3. あなたが無事でありますように。
4. あなたが心安らかでありますように。
どの願いも少しの間心に留めて、自分の言葉で表現してみよう。目の前にいる愛する人が幸せで健康で無事で心安らかであると思い描き、そう思い描くことによって心にどんな感覚を覚えるか見つめてみよう。その感覚を無制限に広げてみよう。メッタ瞑想の第二段階では、愛する人の方へ歩いていき、円の中でその人とひとつになる自分を思い描こう。次に、先ほどの4つの願いを送ってみよう。ただし、今回はあなた自身と愛する人がその希望を受ける対象となる。「あなた」が「私たち」になる。
1. 私たちが幸せでありますように。
2. 私たちが健康でありますように。
3. 私たちが無事でありますように。
4. 私たちが心安らかでありますように。
円を広げる準備が整ったと感じるまでこれを続けてみよう。第三段階では、この円が広がるところを思い描こう。そして、特に肯定的な感情も否定的な感情も引き起こさない人をこの円の中に招き入れよう。電車で隣の席に座り合わせた見知らぬ人でもいいし、仕事や学校や食料品店で見かけた人でもいい。4つの慈悲の願いを自分自身、愛する人、第三の人に送ってみよう。
準備が整ったと感じたら、第四段階に移ろう。円をさらに広げて、苦手とする人を招き入れてみよう。衝突や意見の相違がある人でもいいし、理由はなんであれあなたをイライラさせる人でも怒らせる人でもいい。ここで4つの慈悲の願いを、自分自身、愛する人、第三の人、第四の人に送ってみよう。少しの間この練習を続けよう。
最後に第五段階として、円があらゆる方向に広がり始めるさまを想像して、さらに多くの人を中に入れてみよう。身近な人から始めて、次第に遠く離れた人を入れてみよう。それが誰であってもどこから来た人であっても、ふたりの間に違いや衝突があったとしても、心の奥底ではどの人も同じことを望んでいるのだと自分に言い聞かせよう。幸せで、健康で、無事で、心安らかでいることを望んでいるのだ。円の中のあらゆる人に例外なく、4つの慈悲の願いを果てしなく送り続けよう。全ての人が幸せでありますように。全ての人が健康でありますように。全ての人が無事でありますように。全ての人が心安らかでありますように。この練習を終わるには、全ての想像を消して、注意を再び心に戻して、胸の中に赤々とした残り火のような暖かく柔らかい慈悲の感情があることを感じよう。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く