いつか産みたい女性が、いまできること。産婦人科専門医に聞く、“エア妊活”のすすめ

 いつか産みたい女性が、いまできること。産婦人科専門医に聞く、“エア妊活”のすすめ
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高野瞳
高野瞳
2022-01-16

いざ妊娠したいと思っても時間がかかる場合が多い妊活。パートナーはいないけど、いつでも妊娠できるように妊娠力を高めたい。ひとりでも始められる“エア妊活”についてご紹介します。

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年齢に関わらず、高めておきたい妊娠力

10年前までは夫婦10組のうち1組が不妊治療を受けているといわれていましたが、最近ではその6組に1組とまでいわれるようになり、不妊治療を受ける夫婦の割合が増えています。妊娠しやすい体って? 妊娠しやすい体を作るには何が必要?すぐに妊娠したい人も、そうでない人も、「今はパートナーがいないから」「まだ若いから大丈夫」ではなく、欲しい時に妊娠できる体作りは必要。ひとりでもできる“エア妊活”について、東京・麻布十番にある不妊治療を専門とするクリニック「麻布モンテアール レディースクリニック」院長で産婦人科専門医の山中智哉先生にお話を伺いました。

「不妊治療のために来院する方は、30代後半から40代前半に集中していて、妊娠しない要因はさまざまです。35歳以上の妊娠率は低下するなど、年齢が基準にされることが多くありますが、若くても卵巣機能が低い方や、40代でも妊娠しやすい方もいます。35歳以下だから大丈夫ということではなく、加齢の影響は個々で異なるという意識も大切だと思います。子宮や卵巣に病気がない、あるいはあっても早期に治療しているか、ほかに基礎疾患がなく、あってもきちんと治療されているかどうかは、年齢に関わらず妊娠しやすい体の条件でもあります」(山中先生)

子宮
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まずは自分を知ろう。わたしの妊娠力って?

「卵子も細胞の1つ。加齢により皮膚が老化してシワが増えたりたるみが気になったりするのと同じように、卵子も年齢による老化はあります。ただ年齢で判断されがちですが、不摂生をして暮らしてきた40歳と、食生活もきちんとしていて持病もない40歳では、卵子や卵巣機能に差があります。まずは自身の体の状態を知り、それに合わせたライフプランを立てることが大切です」(山中先生)

<自分の体を知るために……>

まずは子宮頸がんや子宮筋腫などの病気がないか、定期的に検診することは基本。少なくとも1年に1回の検診を。異常がみつかった場合は、3〜6ヶ月に1回は検診を受けましょう。

ほかに、「プレコンセクションケア(ブライダルチェック)」と呼ばれる、妊娠前検査を受けてみるのもおすすめです。

・AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査

卵巣内に残されている卵子の数を反映するホルモンで、妊娠力のひとつの指標に。はっきりとした数がわかるわけではなく、卵子の数が年齢相当に保たれているか、あるいは少なくなっていないかといったことを確認することができます。(あくまで目安です。)

・ホルモン検査

血液中の卵巣ホルモンと下垂体の卵巣刺激ホルモンの値を調べることで、卵巣機能をチェックします。(生理1日目〜5日目に測った数値が基準)

などの検査を受けることで、卵子や卵巣機能の状態を確認でき、妊娠しやすいかどうか、また妊活するにあたりどんな改善点があるかなどについて、判断する方法の1つとして有効です。

ひとりでもできる。すぐに始めたい“エア妊活”

妊娠力を高めるために、まずは体を健康な状態に整えることが大切。“エア妊活”として取り入れたいセルフケアをご紹介します。

1、過度の肥満や痩せすぎを避ける

過度な肥満や痩せすぎは、不妊の原因にもなると言われています。基準の1つとして自身のBMI値を把握しておくことも大切です。

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

BMI値は、19〜25くらいが理想的。これより低い人は痩せすぎ、高い人は肥満とされます。ただ、BMI値が正常でも脂肪過多な「かくれ肥満」の人も。程よい筋肉量を保ちながら、バランスの良い体作りを目指しましょう。

BMI
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2、ストレスをためない

ストレスは、子宮や卵巣に悪影響。ストレスをためないように、また受けたストレスは上手に解消できるように、アロマテラピーや、ヨガやストレッチといった適度な運動を取り入れたり、良質な睡眠を心がけたりと、リラックスできるライフスタイルの見直しを。

ヨガ
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ストレスといっても自覚がない人も多いので、クリニックで受けられる「酸化ストレス測定検査」を試してみても。活性酸素が体に与えているストレス(酸化ストレス)と、そのストレスに対する抵抗力(抗酸化力)が数値でわかります。

3、食生活を改善しながら、サプリメントでも補う

妊娠しやすい体作りは、健康的な体作りでもあります。抗酸化作用のある食材を意識的に増やすなど食生活を見直すことで、妊娠しやすい体はもちろんエイジングケアにも繋がります。抗酸化作用の高い栄養素としては、ビタミンA・C・Eやポリフェノール、ミネラルなどが挙げられます。

<ビタミンA>

β-カロテンが有名で、トマトやホウレンソウ、ピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれます。

<ビタミンC>

パプリカやブロッコリー、じゃがいも、キウイ、柑橘類、イチゴなどに多く含まれます。熱に弱く水溶性なので、生で食べるか、茹でずに蒸すのがおすすめ。

<ビタミンE>

種実類(ごま、アーモンド、ピーナッツなど)やかぼちゃ、アボカド、うなぎなど。油溶性なので、油と合わせると体内に吸収されやすくなります。

<ポリフェノール類>

だいたいの野菜の葉や茎に含まれています。特に、プルーンやブルーベリー、書庫レート、しょうがなどに多く含まれます。

<ミネラル類>
海藻類、牡蠣や桜えびなどの魚介類、レバー、納豆などに多く含まれます。

バランスの良い食事で摂取できるのが理想的ですが、なかなか難しいもの。無理せず、続けやすいサプリメントで上手に補いましょう。

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4、卵子凍結をする

自分が描くライフプランの中で「産みどき」を考えた時、卵子凍結という選択肢も、“エア妊活”のひとつ。将来の結婚や妊娠・出産に備えることを目的に、健康な卵子を凍結しておくことで、今ある不安や悩みを軽減することができるかもしれません。

卵子凍結
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妊娠しやすい体作りは、健康な体作り。まずは自分の体を知り、基本的な習慣を見直すことが、妊活の第一歩ですね。

教えてくれたのは……山中智哉医師
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。現在、「麻布モンテアール レディースクリニック」にて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっている。

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高野瞳

高野瞳

編集・ライター。出版社や編集プロダクションを経て、独立。学生時代にオーガニックコスメに出合い、アロマテラピーや漢方、サスティナブルなライフスタイルなどにも関心を持つようになる。現在は、ライフスタイルや美容など幅広い分野の雑誌やwebメディアで執筆中。アロマテラピー検定1級、ルボア認定フィトアドバイザー取得。趣味は、旅行と散歩。



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