オーガニックコットン、世界で一番使っているのは意外なファストファッション企業!
環境配慮への注目度が上がってきた昨今、様々なブランドがオーガニックコットンやサステナブル素材を使った製品づくりを始めています。そんな中、十数年前からいち早く取り掛かり、世界で一番買い付け量が多いと言われているブランドは意外なファストファッション企業でした。
世界で一番オーガニックコットンを調達しているのは、H&M!
H&Mは、言わずと知れたスウェーデンのアパレルブランド。ユニクロ、GAP、ZARAなどと並び、価格を抑えながら流行やファッション性を追求したファストファッションブランドの筆頭として皆さんもご存知のことと思います。そして、このH&Mこそ、世界で一番オーガニックコットンを買い付けている企業なのです。
ファストファッションブランドというと、その価格帯からもオーガニックコットンを使っている印象はあまり強くありません。栽培の手間や、コットン全体の中の1%以下という流通量の少なさから通常のコットンに比べて高コストになりやすいため、価格を抑えて短いサイクルで製品を販売していくファストファッションに取り入れられているというのは、少し意外に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、私もそうでした。私はネットを中心に展開するオーガニックコットンのアンダーウェアや日用品を製造販売するブランドHEY!LUCYを運営しています。ブランドをはじめたての頃、オーガニックコットンについて調べていてH&Mにたどり着いた時には驚いたものです。
10年前のサステイナブル宣言、答え合わせは2021年春に
H&Mは年に一度、「サステイナビリティレポート」という活動報告を行っています。最近CSRとして報告をしている企業も増えていますが、H&Mは2000年代前半から。表立って取り上げられることがない時代からこういった活動がされていたことは注目すべき事柄です。
「H&M」は2004年から認証を受けたオーガニックコットンを導入。2007年からレディース・メンズ・キッズなど全部門において100%オーガニックコットン製品を展開しはじめます。そして、2011年には「2020年に持続可能なコットンに完全に切り替えることを目指している」と発表していました。この10年で目まぐるしく変化した時代の中でファストファッションブランドは多くの変革を求められてきました。その中で長きに渡りサステイナブルに対する信念を持ち突き進んできたH&M。春に発表されるサステイナブルレポートが楽しみです。
今から20年前、日本ではあの企業が動き始めた
残念ながら調達ランキングには入らないものの(日本のブランドはTOP10圏外)、多くの方が愛用している無印良品にはオーガニックコットンのイメージがあるのではないでしょうか。無印良品もまた、2018年から衣料品のすべての商品が、2019年秋から生活雑貨で使われる布のすべてがオーガニックコットン100%に。通常のコットンからオーガニックコットンに切り替えることは栽培方法はもちろん、流通経路の変更などの大きな変化が必要です。当然多大なコストもかかります。無印良品もまたH&Mと同様に、「それでも未来のために変える必要がある」と認識し、取り掛かった企業のひとつなのです。
無印良品がオーガニックコットンへの切り替えを始めたのは、今から20年前、1999年のことです。思った以上に早いと感じませんか。15年かけて2014年に約半分の切り替えが終わりました。今度は、思った以上に、時間がかかっていると思いませんか。無印良品ほどの規模の企業でも10年単位で進めるプロジェクトなのです。
オーガニックコットンは「肌に優しい」という認識が持たれていますが、実際には地球環境保全や生産者への農薬影響が少ないことに大きな意味を持ちます。重ねての記載になりますが、オーガニックコットンの生産量は全コットンの1%以下です。まだまだ市場は小さく切り替えのハードルは高いのは変わりませんが、少しずつ社会の風向きはよくなっていると感じています。私たち個人の消費者ができることは「選ぶこと」。"買い物は投票"と言われるように、社会を昨日よりももっと良い方向へと引っ張っていってくれる、そんな努力をしている企業の製品を選びたいですね。
ライター/Akane
「ゆるいオーガニック」を提案するライフスタイルブランド「HEY!LUCY」のディレクター。IT企業の会社員から一冊の本を読んでオーガニックに興味を持ち、ブランドを立ち上げることに。ブランド運営、エンジニア、執筆やイラスト制作などの異業種異職種で働くパラレルワーカー。本とパンが好きな面倒くさがりやの30代。 Instagram: @atou.organic
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