不安で眠れない時に行うべきたったひとつの行動とは|格闘技ドクターが指導する「睡眠」
そして不安な気持ちに囚われそうになったら、感謝の気持ちに意識をシフトすることは非常に大切なスキルです。不安を感じる時は、脳の扁桃体(へんとうたい)という部分が活性化しますが、感謝を感じている時は脳のvm-PFC(前頭前皮質腹内側部)という部分が活性化することが脳科学の研究でわかってきました。人間の脳の血流の総量は一定ですので、偏桃体にある血流をvm-PFCにシフトすると不安が和らぐ可能性があります。
トップアスリートや一流アーティストが、折に触れ家族や支えてくれた仲間、ファンへの「感謝の気持ち」を言葉にすることが多いのも「人間の脳は不安と感謝は同時に感じられない」ことを経験的にわかっているからかもしれません。
あまりに変化が激しく、情報過多で、ストレスがいっぱいの現代社会。不安な材料を数えだしたら、それこそキリがないくらいです。しかしながら、アスリートにとっては重いプレッシャーを感じつつも舞台に立てること自体が「自分がかつて夢見た状態」であり、「支えてくれた人たちが望んだ光景」でもあるはずです。不安を数えそうになったら、感謝の数を数え、大好きな人たちの笑顔を想い出してみる。不安につかまることなく、むしろこちらから不安をつかまえて、脳の中をポジティヴな記憶で満たしてやる。そのようなちょっとした意識で出来る工夫はあると思います。
睡眠は自分をココロとカラダを創る大切な時間です。最高の明日に私たちを連れて行ってくれるのは、充実した睡眠だと思います。
教えてくれたのは…二重作拓也さん
挌闘技ドクター/スポーツドクター 富家病院リハビリテーション科医師 格闘技医学会代表 スポーツ安全指導推進機構代表 1973年生まれ、福岡県北九州市出身。福岡県立東筑高校、高知医科大学医学部卒業。8歳より松濤館空手を始め、高校で実戦空手養秀会2段位を取得、USAオープントーナメント高校生代表となる。研修医時代に極真空手城南大会優勝、福島県大会優勝、全日本ウェイト制大会出場。リングドクター、チームドクターの経験とスポーツ医学の臨床経験から「格闘技医学」を提唱。専門誌『Fight&Life』では10年にわたり連載を担当、「強さの根拠」を共有する「ファイトロジーツアー」は世界各国で開催されている。『Dr.Fの挌闘技医学』『Dr.F 格闘技の運動学』(DVDシリーズ)『Fightology(英語版/スペイン語版)』『プリンスの言葉』『Words Of Prince(英語版)』など著作多数。
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