【医師に聞く!更年期を快適に過ごすヒント】症状の現れ方は「環境」や「性格」によって違う?!

 【医師に聞く!更年期を快適に過ごすヒント】症状の現れ方は「環境」や「性格」によって違う?!
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女性ホルモンが急激に減少する更年期は、心や体にさまざまな変化や不調が現れやすく戸惑いがちに。女性なら誰もが経験するゆらぎの時期の不安を払拭し、前向きに過ごすための正しい知識と生活のコツを、成城松村クリニック院長の松村圭子先生に教えていただきました。

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卵巣機能が低下し、ホルモン分泌が不安定になる「更年期」はいつ訪れるの?

女性の一生は女性ホルモンの分泌量の変化によって、月経を迎える「思春期」、妊娠・出産に適した「性成熟期」、閉経を迎える「更年期」、女性ホルモンの分泌がほぼなくなる「老年期」の4つのライフステージに分けることができます。このうち更年期は、閉経を挟んで前後5年、トータル10年の期間をさします。

女性ホルモン
女性ホルモンの分泌の変化に伴い、女性は一生の間に4つのライフステージを経験することになる。/illustration by Nanayo Suzuki

更年期に入ると、体の自然な摂理として卵巣機能が低下。女性ホルモンの分泌が不安定になり、毎月決まった周期できていた月経周期が短くなったり、2〜3か月に1回の周期に減少したり。また、経血量も少なくなったり、反対に大量出血したり、だらだらと出血が続いたり…。そうして、やがて排卵が止まり、女性ホルモンがほぼ分泌されなくなると月経が完全に停止し、閉経を迎えます。

「医学的には、最終月経から12か月間以上、月経がないことを確認し、閉経と判定します。日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳といわれますが、40代前半で閉経する人もいれば、50代後半まで月経が続く人もいて、年齢には個人差があります」(松村先生)

女性ホルモンの乱れが自律神経に影響して起きる「不調」とは?

女性ホルモンの急激な減少は月経に変化をおこすだけでなく、体や心に、さまざまな変化をもたらします。

「女性ホルモンの分泌は脳の視床下部によってコントロールされています。通常、脳の視床下部から『女性ホルモンを出して!』と指令が送られると、それをキャッチした脳の下垂体が卵巣を刺激することで、卵巣から女性ホルモンが分泌されます。ところが、卵巣機能が低下すると、視床下部がホルモン分泌を促す指令を出しても、卵巣から女性ホルモンがスムーズに分泌されず、脳が混乱してしまうのです。脳の視床下部は、女性ホルモンの分泌の司令塔であると同時に、自律神経の司令塔でもあるため、女性ホルモンの乱れが自律神経に悪影響を及ぼし、ほてり、のぼせ、めまい、肩こり、疲れやすさ、イライラ、気分の落ち込み、不眠……など、さまざまな症状を引き起こすことになります」(松村先生)

こうした更年期の症状の中でも、半数以上の女性が経験するといわれるのが、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)。突然、カーッと体が熱くなったり、顔が紅潮したり、夜中に大量の汗をかいたり、涼しいのに汗が止まらない、などが主な症状です。ではなぜ、ホットフラッシュはおきるのでしょう?

「前述の通り、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れで、血管の収縮や拡張をコントロールできなくなることが原因です。血管の調整作用が不安定になると、血管が急に開いて血流が増し、汗がドッと出たり、顔がほてるなどのホットフラッシュの症状が現れます。こうした症状を抑えるには『冷やせばいい』と思われるかもしれませんが、それは間違い。下半身が冷えて上半身がほてる、冷えのぼせをおこしているケースが多いので下半身を温めることが、症状の予防・緩和に役立ちます」(松村先生)

更年期症状の現れ方は「環境」や「性格」によっても左右される?!

「職場での複雑な人間関係や家庭での子どもの反抗期、親の介護など、自分がおかれている環境がストレスフルな状態であったり、生真面目さ、完璧主義な性格が症状を重くしてしまうことがあります。更年期に入ったら、自分の体の変化を受け入れ、今まで通りにできなくなることもあると心得て、無理をせず、自分を労わることが大切ですよ」(松村先生)

そして、女性ホルモンの分泌がほぼなくなる閉経後は、骨や血管、粘膜が弱くなり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、骨祖しょう症などのリスクが高まり、内臓脂肪もつきやすくなる傾向に。人生100年時代といわれる現在、これから先の人生をイキイキと元気に過ごすには、まず体の状態を把握し、食事や運動を意識することが大切になります。

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text by Minako Noguchi



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