【インタビュー】「サンゴに優しい日焼け止め」開発者・呉屋由希乃さんの想い
世界各地の海で、サンゴの白化や死滅の引き金にもなっている日焼け止め。有害成分とされる紫外線吸収剤は、長年危険性が指摘され、昨年ハワイで規制が始まったことからいま世界中で注目されています。そんな海外のサンスクリーン事情にも精通し、日本でいち早く「サンゴに優しい日焼け止めプロジェクト」を立ち上げた先駆者の女性がいます。「ジーエルイー合同会社」代表の呉屋 由希乃さん。地元沖縄の海を守りたいという思いから、環境に配慮した製品開発や自然保護の啓蒙活動に取り組む彼女の思いをご紹介します。
「日焼け止め選びから自然環境を守る心を」
呉屋 由希乃さんが生まれ育った沖縄は、世界でもトップクラスにサンゴ礁が豊かな海。彼女が小さい頃から慣れ親しんできたその美ら海ですが、年々サンゴ礁が白化・死滅し、殺風景に変わり果てるエリアも増えてしまっています。以前は沖縄の天然ハーブを使ったオーガニックコスメの自社ブランドを手がけていた彼女。そんななか、沖縄県・慶良間諸島にある座間味島の海で言われたひと言が、彼女の人生を大きく変えるきっかけとなりました。
「今から5年ほど前になりますが、座間味でスノーケリングを楽しもうと、日焼け止めを塗っていたとき、現地のとあるダイバーさんに『サンゴが死んじゃうよ!』と言われたんです。『え? どういうこと?』と最初は驚いたのですが、その言葉がとても気になってすぐに調べてみると、海外では10年以上前から、『日焼け止め成分によるサンゴへの悪影響』についての研究論文がいくつも発表されていて、たくさんの情報が簡単に見つかりました。日焼け止めの問題を指摘する記事は100万件以上もヒットし、人体への危険性から、サンゴ礁や海洋生物への悪影響まで。自分の何気ない行為が、大好きな沖縄のサンゴ礁にダメージを与えていたなんて……それを知ったときは本当にショックでした」
呉屋さんが研究を始めた当時、海外ではすでに「サンゴに優しい日焼け止め」と称した製品が数多く販売されていたそうですが、日本で見かけることは皆無。彼女自身もともと敏感肌で、人間でも肌荒れを招くような成分は、海やサンゴにとってもいいわけがない……。そう感じた呉屋さんは、海外で「サンゴに優しい」と書かれた日焼け止め製品を片っ端から集め、自身で安全性や使用感を試していったそう。その後、日本で先駆的に、サンゴを守る日焼け止めを普及するプロジェクトを発起し、成分を研究吟味して「サンゴに優しい日焼け止め」を開発。その活動が注目を集め、世界各地の専門家とも情報交換や交流を重ねていらっしゃいます。
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