ケン・ハラクマさんに学ぶ「いい先生」が備える9つの資質

 ケン・ハラクマさんに学ぶ「いい先生」が備える9つの資質
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多くのインストラクターの育成に関わってきたケン・ハラクマ先生に、指導者の資質について伺いました!

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求められているのはニーズをとらえる柔軟性

「ヨガが世の中に浸透するにつれて、趣味を仕事につなげたいという気軽な気持ちでヨガの先生を目指す人も増えています。資格取得のためのコースも盛んに開講され、受講しやすくなった分、指導者としての質が問われる時代になってきましたね」。そう話すのはケン・ハラクマ先生。多くのヨガインストラクターの育成に関わってきたケン先生に、いい先生の資質について伺いました。
 「指導者コースを単位取得のための勉強と捉えていると、資格は取ったもののヨガの本質を知らない、生徒さんとのコミュニケーションが苦手など、『教え方がわからない』という事態に。それに習ったことをそのまま伝えていても、模倣する生き方から抜け出せません。資格取得後も学び続け、知識を人生経験と組み合わせて自分のものにできてこそ、その人らしさや説得力が生まれるもの。自分の中から湧き上がる言葉や経験を通して、ヨガの教えをシェアする努力をしましょう」
ヨガに対する考え方や目的も時代と共に変わってきています。
「本来ヨガは、師弟関係が重視され、師匠の教えを弟子が正しく受け継いでいくものです。しかし、ヨガがストレスや不安を癒し人生を豊かにするツールとして浸透している現代では、先生と生徒の関係もまた変化しています。教える側は、ヨガの伝統を理解しながら教えを絶対視せず、時代のニーズに合ったヨガを伝えられる人が重宝されます。学ぶ側は、一人の先生に固執する必要はなく、自分の変化に応じて先生や練習方法が変わることを自然に受け止めて。ヨガをしていて苦しくなるようでは本末転倒、教える側も学ぶ側も自分が心地いいか問いかけながらヨガを生活に取り入れましょう」

1.日々プラクティスを行っている

ヨガが心から好きという気持ちが大前提。先生になっても毎日練習を続け、ヨガの効果を身を持って体感している人は、その素晴らしさを自分らしい伝わる言葉で発信できます。ビジネスライクな気持ちでヨガを捉えている人は、教科書通りの言葉や型通りのプログラムから抜け出せません。

2.自分自身や生徒に偽りない気持ちで向き合える

生徒さんからの質問に答えられない時は、自信を持って「わかりません」と言います。わかったふりをしてまで人を引き付けようとする教え方は、自分自身も相手のことも苦しめてしまいます。ヨガの本質を伝える中で、自分の心身と教える内容にズレがない状態が理想的です。

3.生徒と適切な距離がとれる

生徒さんをよく観察し、反応の違いやレベルを見抜き一人ひとりに合った行動ができる判断力が必要。また、ヨガの指導は熱心に行ってもパーソナルの相談には踏み込み過ぎないなど、生徒さんの依存心を刺激せず信頼関係を築けるバランス感覚やコミュニケーション力も求められます。

4.生徒の反応に一喜一憂しない

感謝されたいという気持ちがあったとしたら、生徒さんに依存している証拠。本来ヨガのクラスは、一方的に与えたり、求めたりするものではありません。クラスはプラクティスの延長であるという意識でいれば伝えながら吸収でき、練習時間であるクラスが増えるほど、意識が覚醒しエネルギーもUPします。

5.社会環境や自分自身の変化に柔軟に対応できる

時代によって、人々が抱えるストレスの種類や価値観は変わっていきます。そして、自分自身の考えや心身の状態も変化していきます。ヨガの伝統的な教えを尊重はしても、捉われ過ぎず、柔軟であること。何のためにヨガを教えているのか、目的を見失ってはいけません。

6.学び続ける姿勢がある

ヨガを深めたいという気持ちを持ち続けることが大切。誰かに師事したり、プラクティスの時間を持つだけでなく、ヨガを教える経験から吸収できることも多くあります。ヨガの時間以外も、朝起きてから寝るまでが学びの宝庫。謙虚な気持ちで物事に向き合える人ほど、たくさんのことを吸収できます。

7.人生を楽しんでいる

ヨガの知識や心得だけでは、生徒さんに伝わりにくいことがあります。一瞬一瞬を大切に過ごし、プライベートで豊かな経験をし、日々を楽しんでいる人は、人間的な魅力が強く言葉に説得力が生まれるもの。特にシンプルに幸せを感じられる人が、ヨガの恩恵を受けやすく、効果を多くの人とシェアできます。

8.ヨギではない人や他流派の人との交流も大切にできる

自分と似た考えを持つ人と過ごしてばかりいると、知らず知らずのうちに視野が狭くなり、自分の考えを押し付けたり、違う考えの人を否定しやすくなる傾向があります。ヨガの本質から離れてしまうので注意しましょう。意識的に、自分とは異なる人たちと交流を持つ時間も必要です。

9.わかりやすく端的に伝える言語力がある

シンプルでわかりやすい言葉で伝える言語力が、指導者には必要です。表現が回りくどかったり、話す癖が強かったり、言葉が的確でないと、生徒さんがポーズに集中できなくなるので要注意。口癖や言い回しを客観的にチェックし、表現を磨いていくと伝える力はぐっとアップします。

 

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Text by Ai Kitabayashi
yoga Journal日本版Vol.43掲載