〈小児科〉は何歳までかかっていいもの?医師が回答
小児科は、何歳までを対象としているのでしょうか?知っているようで意外と知らない小児科の対象年齢と扱う病気について、医師が解説します。
小児科で扱う病気としては、どのようなものがあるのか?
子どもは小さい頃の方が、よく熱を出したり体調を崩したりしますし、乳児・幼児・児童でそれぞれかかりやすい病気や注意点が異なります。
生後4か月くらいまでの赤ちゃんでも風邪を引きますが、熱を出すことは少なく、もしこの時期に発熱した場合は、風邪以外の感染症や生まれつきの病気があるかどうか、評価する必要があります。
1歳未満の乳児期は食物アレルギーなども起こりやすく、ただ自己判断で疑わしい食べ物を避けるのではなく、適切な対策が必要なので、迷ったらアレルギー専門の小児科医などに相談しましょう。
1歳から小学校入学(6歳未満)までの幼児期は、たくさんの風邪症状を引き起こすウイルスに感染することで、少しずつ免疫力をつけていく時期であり、喘息やアトピー、花粉症などのアレルギー疾患も増える時期としてとらえられています。
さらに、小学校に進学して、学童期になると、だいたいの風邪にかかり終わって、幼少期に比べると発熱する頻度も減っていく一方で、学習の困難さや起立性低血圧などの自律神経症状、二次性徴の異常などを含めて、幼児期とは異なる様々なトラブルが出てきます。
小児科で対応するのは、身体的なトラブルだけでなく、こころ・生活習慣・学習・発達・性などに関連する多岐に渡る課題に対応する場合があります。
また、各種のアレルギー疾患や、慢性的な神経疾患については、成人してからもこれまで受診してきた小児科医に相談される場合も多く想定されます。
小児科は何歳までが対象なのか?
同じ病気であっても、大人と子どもでは、現れる症状などに違いがありますし、子どもは自分で正確に症状を伝えられないこともあります。
小児科の診療場面では、子どもの成長と発達を考慮して、患者様の年齢に合わせて全身の診察を丁寧に行い、一般的には、15歳(中学3年生)までの年齢が小児科の対象患者と考えられています。
通常、小児科と内科の大きな違いの一つは、対象年齢の違いです。
日本小児科学会は、小児科が診療する対象年齢を「成人するまで」としていますし、一般的には、15歳の年齢までを受診目安としている小児科も多い様子です。
その背景としては、15歳になると大人と同量の薬を処方できることが主な理由であると考えられますが、幼少期から喘息やアレルギーといった慢性疾患がある場合は、15歳を過ぎてからの時期でも、かかりつけの小児科を受診する場合もあります。
また、最近においては、新生児から乳児、幼児、学童期だけでなく、思春期の間には、成人とは違ったその時期特有の病気やトラブルがたくさんあるため、思春期(時に20歳頃)までが小児科の受診対象と考えられる場合があります。
まとめ
子どもと大人では同じ病気であっても症状のあらわれ方や程度が違うため、さまざまな診療科があるなかで、子どもの不調はまず小児科に相談するとよいでしょう。
小児科の専門医師は子ども特有の病気や症状の出現様式を熟知しているので、幅広い観点から全身診察をしてもらえます。
初診で小児科を受診する場合には、15歳までが一般的であり、通常の風邪や体調不良の場合には、その子供の成育歴を知っているかかりつけの小児科医に診てもらうのが安心だと思います。
ただし、喘息やアトピー性皮膚炎などを含めた各種アレルギー疾患や慢性神経疾患の場合は、大人になっても続けて小児科を受診される方も一定数存在します。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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