「真面目」で「頑張り屋」な人ほど陥りやすい?更年期障害を悪化させる3大ストレスと対処法
更年期と聞いてイメージするのは何でしょうか?イライラしている、のぼせて汗をかいている…そんなイメージを持つ人が多いと思いますが、実は肩こりや頭痛、疲れやすさも更年期症状なのです。そんな"知られざる更年期"について、更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載です。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
更年期の時期に重なるストレス
更年期の女性の相談にのっていると、体の問題だけではなく大きなストレスを抱えていることがわかります。体の不調については受診すればよいのですが、ストレスが原因になっている場合投薬だけでは対処できない場合も往々にしてあります。
そして特徴的なのがそういったお悩みを持つ女性のほとんどが「真面目」で「頑張り屋」であること。またその背景にあるのは「妻として、母として、女性としてこうあるべき」といった無意識の思い込みや偏見=アンコンシャスバイアスに押しつぶされそうになっているという事があります。
今日はその3大ストレスとそれぞれの対処法についてお話していきます。
1.子育てのストレス
お子様の不登校や、進学、そして空の巣症候群といったことに悩まれている方がおられます。空の巣症候群とはこれまで目いっぱい子育てにエネルギーを費やしていて、いざ独り立ちをしたときに大きな孤独感を抱えるケースです。愛情いっぱいで子供に手をかけている真面目な母親ほどなりやすいと言えます。そんな方には「子育てであきらめていたことをもう一度やってみたらどうですか?」とお伝えしています。
他方不登校の場合、「母親として自分が至らないからではないか」と悩むケースがありますが、不登校は「今の学校環境がお子さんに合わなかったからだ」とお伝えしています。
お子さんに何かあると「母親の育て方が」といった考え方が世間に根強くありますが、今はそういった考えには時代遅れです。しかし、私たちの親世代は30年以上も昔の感覚ですから、そういった古い価値観で口出しをしてくることがあります。
古い価値観に押しつぶされないためにも決して「自分のせい」だと思わずに、「今自分の子供にあう環境は何なのか」を考えること、また自分自身が子供の問題に向き合うプロジェクトを「長期チャレンジ」だと思うことが大切になってきます。
過去を振り返るよりは未来を創っていく事に時間を作っていきましょう。そしてある程度時間がかかる可能性があることも折り込んでおきましょう。
2.介護のストレス
この時期はちょうど親の介護の問題が出てくる時期でもあります。初期のころは親も葛藤があります。「まだ自分は大丈夫」「人の迷惑にはなりたくない」そんな思いを抱えているのです。
そんな時「よかれ」と思ってこちらが算段しても親が拒否するケースがあります。そんな時こちらは「やってあげてるのに」と無力感を感じます。しかし、「相手にもいろいろな心の葛藤がある」ということを知っていただければと思います。
結局人は自分で決めたことについてしか納得して動かないのです。いくら「こんな介護サービスあるよ」といっても本人が納得しなければ使ってくれません。しかし、経験上そっと見守っているとカラダの衰えを実感する中で「やっぱり使った方がいいかも」と思って使い始めるケースも多くあります。ですから、温かく見守るというのも大切になります。
また、自分の更年期が重なり親の介護ができないという罪悪感につぶされそうになっているケースもあります。しかし、自分の体が整っていないのに人の面倒は見られません。
まずは自分が元気になることに集中してください。その上で介護に参加したらよいでしょう。
そして自分一人で頑張ることはやめましょう。いろんな外部サービスを使いながら、地域のケアマネさん(親の介護のサービスをアレンジしてくれる人)とも相談しながら進めていってください。ケアマネさんとの相性もありますから、周囲の評判などを聞いてこちらの意思を尊重してくれるケアマネさんを探すことも大切になります。
「外部のサービスを上手に使ってくださいね」と色々情報を提供してくれるケアマネさんがおススメです。
3.仕事のストレス
こちらは業務量の問題もありますし、職場での人間関係の問題もあります。
業務の量に自分の体がついていかない場合は、きちんと業務調整をすることが大切になってきます。「こんなことを言ってしまっては迷惑になるのでは」と遠慮して倒れてしまったケースを幾つも知っています。職場の人からしたら「早くアラートを出してほしい」というのが本音です。ですから上手に周りの助けを借りることも仕事上の大事なスキルと思ってください。
また、仕事の悩みの9割は人間関係、と言われるほど大きなストレスになります。女性の多くは「職場の人とはみんなと仲良くできなければいけない」といった「思い込み」があります。
もちろん仲が良いには越したことはありませんが、そうでない場合でも「仕事は仕事」と割り切りましょう。足の引っ張り合いがあって業務に支障が出ている様であれば組織に訴え対策を練る必要がありますが、業務が回っているのであれば「職場の人間関係」と割り切ってしまうことも大事でしょう。
その場合気の合う友人は他で探してみましょう。職場で嫌な上司や同僚がいてもスルーする力をつける場として活用してみてください。
私はよく嫌な相手の頭の上に大きなひまわりが咲いているのをイメージして話を聞いています。何か言われても「この人頭にひまわり咲かせて何言ってるんだか」と思ったりしているとばかばかしくて笑えてきますよ。
こういったストレスに対応するのは「自分の今の見方と違う見方をしてみたらどうか」という視点を持つことです。もし一人でできなければ積極的にカウンセリングなども活用してみてくださいね。
AUTHOR
高本玲代
フェムテック起業家・社会活動家。自身のウツや更年期の経験から更年期女性のケアプロ グラム「よりそる」を立ち上げる。東京都をはじめとする自治体やポーラをはじめとする 企業向けに研修を実施。NHKをはじめメディア掲載50社以上。「がんばらない更年期」 についてYoutube「更年期アカデミー よりそる」で発信中。
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