【意外と知らない「卵」豆知識】卵は冷蔵保存すべき?各国の推奨事項とは?

 【意外と知らない「卵」豆知識】卵は冷蔵保存すべき?各国の推奨事項とは?

卵は冷蔵庫に入れるべき? 卵の保存方法が正しいかどうか、また健康のリスクにさらされていないかどうか、チェックしてみよう。

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卵の保存方法は一見とても簡単である。近所のスーパーの冷蔵コーナーで卵パックを購入し、帰宅後に冷蔵庫にポンと入れておけば良い。しかし、このシナリオは一般的なものではあるものの、卵の保存方法はこれだけではない。卵をパントリーに置いておき、常温で保存している人もいる。そこで気になるのが、卵の正しい保存方法は何なのかということ。冷蔵庫が唯一の選択肢なのだろうか?

答えは簡単:それは場合による。

卵をどこで購入しているか、あなたがどこに住んでいるのか、そして販売する以前にどのような作業や洗浄が行われているか、それらが冷蔵保存すべきかどうかの判断材料になる。冷蔵保存と常温保存のどちらが良いのかを見極めるためには、それらを詳しく見ていく必要がある。

なぜ卵の保存がそれほど重要なのか?

卵を冷蔵保存すべきかどうかについての大きな議論は、食品の安全性という1つの問題に起因している。生肉と同じように、卵も適切に保存しないと危険な細菌が繁殖してしまう。生肉と卵には、サルモネラ菌という病気の原因となる細菌の共通点があるのだ。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、サルモネラ菌は、他のどの細菌よりも毎年多くの食中毒を引き起こす原因となっている。サルモネラ菌はさまざまな動物の消化管に生息しているが、中でも鶏肉が大きな原因となっている。近所のスーパーで売られている鶏肉の25パックに1パックはサルモネラ菌に汚染されていると言われているほど、鶏肉に多く存在している。

新鮮な卵は鶏から作られるため、卵にもサルモネラ菌が付着している可能性があるのは当然のことである。サルモネラ菌に汚染された卵を食べると、吐き気や嘔吐から死に至ることもある。

1970年代、サルモネラ菌は大問題となったが、その原因は卵であった。アメリカで発生したサルモネラ感染症の77%は卵が原因だった。また、ヨーロッパでもサルモネラ菌が大流行した。サルモネラ菌は、卵の外側の殻や卵の内部に生息し、感染する可能性がある。そこで、世界各国の政府が介入し、卵の取り扱いと保管に関する新しい基準、規制、要件を作ったのである。

しかし、国や地域によって基準が全く異なるため、卵の保存方法は、住んでいる場所や購入する場所によって異なる。

北米在住なら、市販の卵を冷蔵しなければならない

サルモネラ菌対策として、アメリカで販売されている卵は、販売前に殺菌されている。すべての卵は熱い石鹸水で洗浄され、細菌を殺す殺菌剤で処理され、卵の殻に付着している可能性のあるものを取り除かれている。カナダでも同様に、卵の殺菌と格付けが行われ、地元の市場に出荷されている。

この殺菌・洗浄の過程で、卵はキューティクルを失う。卵のキューティクルとは、殻の表面にある薄い保護膜のことである。一旦キューティクルがなくなると、卵は新たな細菌や内部汚染の影響を受けやすくなる。バクテリアを抑えるために、卵は華氏45度(摂氏7度)以下の温度で冷蔵保存しよう。

冷蔵保存した卵は、調理するまで常温に戻さないようにしよう。卵が温まると、卵の殻に結露が発生し、細菌が侵入しやすくなる。

海外でも同様に、卵を殺菌して冷蔵保存してから販売している国がいくつかある。オーストラリア、日本、デンマーク、スウェーデンにお住まいの方は、北米の卵と同じように、冷蔵保存を心がけよう。

新鮮な卵を手に入れるには?

自宅で鶏を飼育し、その卵を利用しているのであれば、実は冷蔵する必要はない。何らかの殺菌処理をしていない限り(あるいは市販されているものではない限り)、常温で問題はない。キューティクルが重要で、それが損なわれていなければ、卵は何週間も持つのだ。

どこに保管するにしても、卵を冷暗所に置いておくことを忘れないで欲しい。他の食品と同様に、高温や暖かい気候は腐敗を早める原因となる。気温が高すぎる地域では、卵を冷蔵庫に入れておくと鮮度が長持ちする。

ヨーロッパ在住であれば、卵を冷蔵する必要はない

サルモネラ菌は、ヨーロッパ諸国でも1980年代に大流行した。しかし、ヨーロッパでは、卵を洗って菌を除去するのではなく、産卵鶏にワクチンを接種することで、サルモネラ菌を根絶しようと考えた。

イギリスなどでは、鶏の居住空間の衛生状態を改善したり、サルモネラ菌が鶏に感染するのを未然に防ぐためのワクチン接種プログラムを開発したりした。特にワクチンの効果は絶大で、鶏卵の汚染を完全に防ぐことができるという研究結果も出ている。

卵が汚染されていないので、ヨーロッパ諸国では卵を洗ったり殺菌したりする必要がない。つまり、卵のキューティクルを残しておくことで、バクテリアから卵を守ることができるため、冷蔵する必要はない。細菌が卵の中に入りにくいのであれば、常温でも問題ない。

また、EUでは冷蔵保存を推奨していない。冷蔵保存は前述の結露の原因になるからである。その代わり、卵は冷暗所に保管しても冷やさなくて良いのである。この方法では、卵はどのくらい持つか?ヨーロッパ在住の場合、約3週間で卵を使い切ろう。

あなたは各国の推奨事項に沿って、卵を正しく保存できている?

教えてくれたのは…ヘザー・アダムスさん
ヘザー・アダムスさんは、執筆と編集業で活躍する経験豊富なライター。コンテンツ制作、ソーシャルメディア、マネジメント、編集に長けたクリエイターでもある。

ヨガジャーナルアメリカ版/「Should You Refrigerate Your Eggs?

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By HEATHER ADAMS
Translated by Hanae Yamaguchi

AUTHOR

ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



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