「自分の体を愛する」難しい?イラストレーターharaさんが考える「今からできるボディポジティブ」

 「自分の体を愛する」難しい?イラストレーターharaさんが考える「今からできるボディポジティブ」

著書『自分サイズでいこうーー私なりのボディポジティブ』(KADOKAWA)の著者であり、ヨガジャーナルオンラインでも対談漫画「わたしとからだのことを話そう」を連載するイラストレーターのharaさんにお話を伺いました。

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ボディポジティブとは、サイズや形、肌の色、身体的特徴に関係なく、すべての体を受け入れることに焦点を当てた運動を言います。世界的には大きなムーブメントとなっているものの、日本でこの言葉が話題になり始めたのは比較的最近のことです。

2021年6月、この「ボディポジティブ」という言葉がタイトルに入った書籍が発売されました。それが、イラストレーターharaさんによるエッセイ『自分サイズでいこうーー私なりのボディポジティブ』(KADOKAWA)。haraさんは少女時代から20代前半にかけて摂食障害に苦しんだ経験があります。幼い頃から体格がよく自分の体にコンプレックスを持っていたharaさんは、思春期に入った頃から「痩せたい」という強迫観念にとらわれるようになりました。食べ物のカロリーが極端に気になるようになり、食べたものを意図的に吐く「過食嘔吐」がやめられず、大学時代は手に吐きダコができてしまったと言います。

そんなharaさんが自分と自分の体を肯定できるようになり摂食障害を改善できたのは、「ボディポジティブ」と出会ったことがきっかけでした。haraさんの著書の中には、ボディポジティブを実践していこうとする反面、「いきなり自分の体を愛すって難しい…」と小さく葛藤する姿も描かれています。そんなharaさんに、ボディポジティブについての思いと課題についてお話を伺いました。

ボディポジティブはひとつの選択肢、誰かに圧をかけるものではない

ーーこのたびは出版おめでとうございます!著書が発売されて約2ヶ月経ちますが、どんな反響がありましたか?

ありがとうございます!とっても温かい感想をいただいております。身内や友人、フォロワーさんなどの他にも、偶然本屋で見かけたり、「SNSで見かけて気になって手に取りました!」というお声もいただき、とっても嬉しく思います。

ーーharaさんのツイートへのリプライやDMなど、SNSから届いた声の中にはどんな感想がありましたか?

「ポジティブの押し付けになっていないところがとても良い」という感想は特に嬉しかったですね。ボディポジティブを発信する上で、誤解されやすい部分でもあり、同時にとっても気をつけた部分だったので…。「自分の体を許したり、うまく付き合う」ということが、ダイエットに代わる新たなプレッシャーではなくて、ひとつの選択肢として伝わってくれていたらいいな…といつも願って制作していたので、それが伝わったのはとても嬉しかったです。

ーー最近は、バラエティ番組などでも「容姿いじりは見ていて不快」という視聴者の声が多くなってきたように「容姿に対して他者が何かをいうこと」に対しての価値観が変わりつつあるのを感じます。

ちょっとずつでも良い方向に向かっているなと感じますね。私もそうでしたが、若い頃ってそういった演出を本気で受け取ったり、軽い気持ちで真似して他人にぶつけてしまうこともあるので…。

それでも「滅多に見なくなったとまではいかないな…」とも感じているので、まだまだ少しずつでも良い方向に変化してくれたらなあと思います。

体や心を傷つけるような体型指摘に対して「NO」と言っていい、「NO」と思っていい

ーー日本でも「ボディポジティブ」という言葉が広まりつつありますが、一方でまだまだ広がりきっていないと感じる部分、誤解されているなと思うこともあります。

そうですね。ネットの外、現実世界では全然まだまだだなって思うことがいっぱいあります。また、言葉の認知が広がっても「太っている人だけのもの」と誤解されたり、そこからダイエットの批判だと思われてしまうこと、また実際に痩せ体型を批判する人なども見かけたりするので…またボディポジティブに対して、「自分の体を愛さなきゃいけない」といったように、ハードルの高いものだと誤解されていることも多く感じます。

とはいえ難しさももちろんあると思うので、まずはボディシェイミング(他人の容貌を嘲ったりする行為)を止めるところから実践していくのがいいかなと思います。自分に対しても他人に対しても、体や心を傷つけるような体型指摘をしないこと。また、そういった表現に対してNOと思ったり伝えたりすること。

まず最初にこれが少しずつでも広がっていったら、きっともっと優しい世界になるんじゃないかな?と思います。

堂々とできなくてもいい、大事なことは自分をラクにしてあげること

ーー改めて、体型や顔など自分の容姿に自信が持てないでいる人に一番伝えたいことは何ですか?

私も完全に自信が持てているわけではないです。気になる部分はしっかり隠しますし…(笑)。大事なのは、「それでいいか」って思えることかな、と思います。堂々とできることだけが正解じゃなくて、例えば腕でもお腹周りでも脚でも「ここを隠してれば私は楽になれるんだな、じゃあこれでいいか」と思えること。それも立派なボディポジティブのひとつじゃないかなと思います。自信が持てないならそれはそれで大丈夫、ひとまずタブー視しないで大丈夫!とお伝えしたいです。

自信が持てないことの理由のひとつに、他者からいじられたりからかわれる(過去にからかわれてきた)という経験もあると思います。からかったりいじったりしてくる人がいたら…そうですね、伝えられるなら「それ面白くないよ」「嫌だよ?」って伝えたいですね(笑)。私自身もそういう表現を面白がったり、自分から先回りのように自虐していたこともありました。でもそれって、結局誰かが傷ついたり我慢したりっていうものの上に成り立っているので…。

コミュニケーションの取り方って、絶対に、絶対に他にあると思うんです。「それだけしかない」ことは、絶対にないと知ってもらえたら嬉しいですね。

hara
『自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ』著者・hara(KADOKAWA・刊)

haraさんプロフィール

1993年生まれ。イラストレーター・漫画家。摂食障害の経験を経て、ありのままの自分の体を受け入れ、愛する「ボディポジティブ」という考え方に出会い感銘を受ける。プラスサイズファッションやボディポジティブな女の子を描き、発信を行う。twitter@hara_atsume

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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