生きがいを見つけるのに年齢制限はない。「終わり」ではない終活を実現したおばあちゃんの話

 生きがいを見つけるのに年齢制限はない。「終わり」ではない終活を実現したおばあちゃんの話
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鈴木治美 終活プランナー
鈴木治美
2025-03-19

「終活」と聞いてあなたは何を想像するでしょうか?悲しい?縁起でもない?考えたくもない?それとも、まだ早い? 「その日」を考えることは、決して悲しいことでも悪いことでもありません。この連載では、終活スタイルプランナーの鈴木治美さんに、ご自身の体験を交えながら「身近にある・難しくない終活」について教えていただきます。

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『新しく始めてみたいこと』ってありますか?

若い頃は「やってみたい!」と思うことがイロイロあって、それらにチャレンジしてみるバイタリティも高いけれど、年齢を重ねるとどうでしょう?「やってみたい」とは思うものの、「いつかできたらいいな」と、先延ばしにしていることはありませんか?今こちらを読んでくださっている方の中には「新しく始めたいこと自体、思い浮かばない…」という方もいらっしゃるかもしれません。

いざ定年が見えてきたり、子供が巣立ったりして、ようやく自分の時間ができた時「満を持して、これにチャレンジするぞ~!」と実践していらっしゃる方もいれば、「私はこれから何をすればいいんだろう?」「仕事以外にやりたいことが見つからない」という方もいらっしゃると思います。終活座談会や個人相談で私がお会いする方の中には、後者のような方が少なくありません。

「この歳になると、新しいことを見つけるのも始めるのも難しい・・・」 そうお聞きする度、私は一人のおばあちゃんの話を思い出すのです。

もうだいぶ前になりますが、高齢者が集まるイベントで、M子さんという83歳(当時)のおばあちゃんにお会いしました。
姿勢もスタイルもよく、足腰もしっかりされているので、お歳を聞いて「えっ!83歳!?」とビックリしたくらいです。聞けばこれまで病気らしい病気をしたことがないとのこと。

「私は若い頃から家族の看病や介護をしてきたからね。自分が倒れたら大変だから、健康には人一倍気をつけているのよ。」

そう言って、これまでのことを話してくださいました。

M子さんは18歳の時、親から勧められてお見合い結婚をされたそう。「ちょっと働いてみたいな」と思っていたし、お見合い相手の年齢が一回り以上離れていたから気が進まなかったのよね・・・と、いきなりのぶっちゃけトーク。きっと10代の女子からすれば、30代はオジサンですよね(笑) お見合いの後日、お断りしようと思っていたのに親同士であっという間に話が進んでそのまま結婚!しかもご主人の実家で両親と同居。その時代では、そうめずらしくないケースだったかもしれません。でも、まだよく知らない30代の旦那さんとその親御さんの家に10代で嫁いだ時は、やっぱり相当心細かったそうです。

ほどなくしてお子さんが生まれ、忙しいながらも幸せな日々を送っていた矢先。ご主人が重い病気になり、M子さんは夫の看病と子育てと義理の両親のお世話(家事全般)に追われることになってしまいました。月日が経ち、お子さんが成長してからは、子育てはラクになったものの、親御さん達もその分お年を召しているので、家事の量は減ることなく・・・。自分の時間なんて全くなかったそうです。

発病されてから20年後、ご主人が他界されたのですが、その直後にお義父さまガンが判明。闘病生活が始まりました。はじめの頃は、お義母さまと一緒に看ていたけれど、そのお義母さまにも認知症の症状が現れてきて、M子さんは義理の両親二人の介護を同時に行うことに・・・。
そして義理のご両親を看取られた後、今度はなんとご自分のお母さんの介護が始まったそうなんです。その頃はM子さん自身も還暦を超えていたので、今までより体力的にシンドかったみたい・・・。そのお母さんを天国に見送られた時、M子さんは70歳になっていました。

50年もの間、ずーっと家族の介護をしてこられたM子さん。自分のために使える時間はほとんどなく、「もう無理~!」とも言えず、ひたすら誰かのために尽くしてきた50年。きっと私が想像する以上に辛いことやご苦労があったはずです。

それなのに、「私、70になって、はじめて自分のことができるようになったのよ。」と、明るく笑いながら話されるM子さんは本当にスゴい!と思いました。

ある日、M子さんのこれまでの苦労をよく知っているお友達から、「やっと自分の時間ができたんだから、やりたいことを今やってみた方がいいわよ」と言われ、ハッとしたM子さん。すぐに思い浮かんだのが「海外旅行に行ってみたい!」という昔からの夢。その言葉を聞いたお友達が、「じゃあ、一緒にハワイに行ってみない?」と誘ってくれたそう。息子さんの後押しもあり、あれよあれよという間に夢が実現!お友達と一緒に行ったハワイが本当に楽しくてたまらなかった!とっても幸せな旅行だった!と話すM子さんの表情に、胸が熱くなり、「いつか行ってみたいと思っていた場所に行く」ことはとても大事な終活だと改めて思いました。

M子さんの素晴らしい終活はこれで終わりではありません。「またハワイに行くぞ~!」という新たな目標ができ、そのためのお金を働いて稼ぐことにしたのです。これもまた、既にパートで働いていたお友達からのお誘いで、あれよあれよと決まったんですって。

「70歳で初就職よ!」

初めてのお仕事は、きっと大変なこともいっぱいあったと思いますが、M子さんいわく「楽しくてしかたなかったわ!」と。
以降10年の間、働きながら何度もハワイに行くことができたそうです。まさに『生きがい』。

「いつの間にか、こんな歳になってしまった。もう海外なんて無理だろう」なんて諦めずに、70歳で夢を叶え、それが生きがいとなったM子さんの行動力に感服しました。

そして、「あなた、やりたいことやりなさいよ」とハッパをかけてくれたステキなお友達の存在にも胸を打たれます。(ちなみにそのお友達は、この時も一緒にいらしてM子さんのお話をウンウンと頷きながら聴いていらっしゃいました。)

誰かのために一生懸命尽くしている人って、ちゃんと見守って応援してくれる人がいるんですね。本音を打ち明けさせてくれる人がいることの大切さにも気づかされたM子さんのお話でした。

あなたには、『いつかやってみたい』 『新しく始めてみたい』と思っていることはありますか?

夢を叶えることも生きがいを見つけることにも年齢制限はありません。

先延ばしにしたり、諦めたり、年齢のせいにしたりせずに、今できることをやってみませんか?
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