「納豆の味噌汁」は栄養学的にどうなの?加熱してOK?味噌汁にすることで得られる栄養効果は?
味噌汁は食事のときにかかせない一品ですよね。ご飯にかけて食べることが一般的な納豆を、味噌汁の具として食べたことはありますか?「加熱すると栄養が失われそう…」「味噌汁に入れて飲むと、体にいい効果があるの?」美味しくていい効果があれば飲んでみたいなと思いますよね。そこで、納豆の味噌汁にはどういう栄養効果があるのかをお伝えします。
納豆の味噌汁は昔から食べられていた
江戸時代から、納豆の味噌汁は江戸っ子のスタミナ源として食べられていました。
当時は味噌汁に納豆を入れるのが定番で、そこに豆腐を加えて油揚げの千切りをのせれば、最高のスタミナ食の完成です。
味噌、豆腐、油揚げも同じ大豆製品です。肉や魚と比べて安く、手軽にとれるたんぱく源として、当時最高の栄養効果を得られる組み合わせだったのですね。
大豆づくしの味噌汁を1日2回飲んでいた江戸っ子ですが、現代人のたんぱく質の摂取量と変わらないといわれています。
肉のように悪玉コレステロールや脂肪のとり過ぎを気にする必要もないので、まさに健康食ですね。
納豆を加熱して栄養素はなくならないの?
納豆菌は熱に強く、100℃以上に加熱しても死んでしまうことはありません。
自分にとって好ましくない環境になると、硬い殻に包まれた(胞子)に変身して休眠状態になり、自分が快適な状態になるまで待つのです。
ただし、納豆キナーゼなど酵素は50~60℃以下が失われにくいとされているので、気になる方は沸騰させずに仕上げに入れて飲むのがよいかもしれません。
納豆を味噌汁に入れることで得られる栄養効果
アンチエイジング効果
大豆製品に含まれるポリアミンという成分があります。長寿や細胞の修復など、アンチエイジングには欠かせない機能がありますが、年齢とともに体内で合成されにくくなります。
特に納豆に多く含まれていますが、納豆と同じ大豆製品の味噌にも含まれているため、相乗効果でさらに一日分の摂取量を増やすことができます。
腸活で免疫力アップ
腸内の善玉菌のビフィズス菌を増殖させるオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は便秘に効果があることが有名です。ビフィズス菌の餌になり、健康のバロメーターとして欠かせない健康的な便を作る手伝いをしてくれます。
健康な便とは、色や形だけでなくにおいがきつくなく、排便後に残らない程度です。
便秘だけでなく、健康な便が出ることで腸内環境が良くなり、免疫力もアップします。
ダイエット効果が期待される
大豆サポニンにはアディポネクチンの分泌を促進する働きがあります。
アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌される物質で、動脈硬化や糖尿病を予防する働きがあります。またアディポネクチンには脂肪の燃焼を促進する働きもあります。
適度な運動と組み合わせれば、より効果が期待できそうです。
総コレステロール値を低下させる
大豆レシチンには総コレステロール値を低下させる働きがあります。
細胞が栄養を取り込むのを助け、血管壁から余分なコレステロールを回収するHDL(善玉リポタンパク)の構成成分です。
生活習慣病予防に役立つ成分とされているため、血圧や肥満など年齢とともに気になる悩みを助けてくれる効果が期待できます。
まとめ
「納豆の味噌汁」は納豆・味噌という2つの大豆製品が組み合わさることで、体に嬉しい栄養効果はさらに高まります。手軽に作ることができるのも魅力です。毎日の食事の一品として取り入れやすいですね。特に便秘の方は、夕食時に飲むと寝ている間に腸内環境に働くため、朝に出やすいことが期待されます。
体を温め、おいしく飲んで栄養効果をアップさせましょう。
参考:
特集1 大豆(4):農林水産省
ポリアミンと納豆の関係とは?おもな働きや納豆を使ったレシピも紹介 - 健康情報コラム
サポニンと効果と摂取量 | 健康長寿ネット
実はスゴい!!納豆の栄養素 - 株式会社ヤマダフーズ|おはよう納豆
AUTHOR
きしもとわか
管理栄養士。認定栄養ケアステーションにて、スポーツジムや歯医者、糖尿病内科、介護施設等の委託栄養士を経験。業務の中で訪問介護での食事作りをする為、初任者研修も取得。介護食を研究し、在宅でも嚥下機能に合わせた食事を提供する。 夫の転勤で転居、2人目妊娠をきっかけに退職。 現在第一子の偏食に奮闘中。栄養指導、食育相談、ダイエット講座での講師を務めた経験を活かし、栄養・健康分野のライター業務を開始。
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