ダメージが軽いうちに…メンタルを回復させたいときに試したい3つの方法【臨床心理士が解説】
忙しい毎日を送っていると、目の前のタスクをこなすことに精一杯で、自分のメンタルケアは後回しになりがちです。しかし、「これくらい平気」とケアをせずに放っておくと、気づいたときには大きなダメージになっていることも。今回はダメージが軽いうちに行いたい「メンタルを回復させる方法」をご紹介します。
身体をケアする
実は体調とメンタルはつながっています。
高熱が出たときに「私が寝込んでいても会社は回るんだな…」とやけに寂しくなったり、お腹が痛いときに「なんで自分ばかりがこんな目に!」と不幸を嘆いたり……体調が悪いと心もネガティブな気持ちにとらわれやすくなります。
メンタルを回復させるには、身体をケアすることが最優先。
・栄養のあるごはん
・温かいお風呂
・たっぷりの睡眠
・適度な運動
できそうなものから生活に取り入れてみましょう。
もちろん、全てを完璧に取り入れる必要はありません。ほんの少しでも「自分を大切にする」を意識した時間や行動が増えればOKです。
モヤモヤを「見えるデータ」にする
「心のなかがスッキリしない…なんだかモヤモヤしている…」そんな人もいるかもしれません。そのモヤモヤは「小さなストレス」の集合体です。「すっごく嫌!」というほどではないけれど、ちょっとひっかかる。そんなストレスが積み重なってできています。
このモヤモヤを解消するには、「このモヤモヤの正体は何か」を調べる必要があります。しかし、頭のなかだけで考えても、なかなか答えは出ません。
これはお腹が痛いときに「どこが痛いんだろう?胃かな?腸かな?」と、頭でどれだけ考えても答えが出ないのと同じ。
お腹が痛い原因は、CTスキャンや内視鏡検査など「見えるデータ」で調べるように、心のモヤモヤを調べるときも「見えるデータ」にしていく必要があります。
・いつモヤモヤした?
・誰にモヤモヤした?
・どうしてモヤモヤした?
・モヤモヤを言い換えたらどんな感情に近い?(イライラ?悲しい?悔しい?腹が立つ?)
・モヤモヤレベルは100点満点中何点?
これらを紙に書き出してみましょう。だんだんモヤモヤを作っているストレスが見えてきます。
また、モヤモヤの原因が見えてくるだけでも、少しメンタルへの負担が軽減します。「原因がわからない」ということ自体が「もしかしてとんでもない病気かもしれない」など最悪のイメージを呼び起こし、メンタルへダメージを与えていたからです。
自分の心と向き合う
私たちが人生を前向きに生きていくためには、「自分は何のために生きているのか」という問いへの自分なりの答えが必要です。
とは言っても、壮大な目的でなくても構いません。たとえば、お風呂上がりのビールを飲んで「この一杯のために生きている!」という人がいます。そんな程度でいいのです。
自分なりの生きる意味が見つかれば、少し嫌なことがあったとしても前向きな気持ちを取り戻しやすくなります。また、生きる意味にそぐわない環境から離れる選択もできるでしょう。
一方、生きる意味を見つけられないと私たちのメンタルは不安定になります。「人の役に立っている」という意味を求めて、与えられるタスクを限界以上にこなし、心身ともに疲弊してしまうこともあります。
メンタルを回復させるためには、
・自分が大事にしたいこと/ものは?
・自分が本当にやりたいことは?
・楽しくて自然と時間が経つものは?
といった問いを自分に投げかけ、自分自身の軸となる価値観を見つけ出すことが大切です。
自分ではなかなか見つけられない人は、家族や友人に「私ってどんなときに楽しそうに見える?」「私がほかの人よりうまくできていることってある?」と聞いてみてもいいかもしれません。
おわりに
他者のためになら、いくらでも体力も時間もかけられるのに、自分のためにはまったく使えない…という人は案外珍しくありません。しかし、自分をケアせずに走り続けると、どこかで限界が来ます。
メンタルを回復させるには、日頃から自分をケアする「勇気」を持つことが大切です。
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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