うなぎと梅干しの食べ合わせって良くない?巷で噂の食べ合わせNGのウソ・ホント|管理栄養士が解説
一緒に食べると良くないと伝えられている食材の「食べ合わせ」。良くない根拠として、それぞれの食品に含まれる栄養素が阻害されてしまい栄養素として体で使われない可能性があるなどが挙げられます。現在は、さまざまな食べ合わせが噂されていますが、そのなかには意外にも根拠がないものもあります。 そこで、今回は「うなぎと梅干し」の食べ合わせについて、栄養学的に良いのかどうなのかを検証していきます。
「うなぎ+梅干し」が良くないと言われるのはなぜ?
「うなぎ+梅干し」の食べ合わせは良くないというイメージがあり、実際にこの食べ合わせを見かけることがほとんどないでしょう。では、なぜこの食べ合わせが良くないとされるようになったのか気になりますね。その理由には、いくつか説があるようです。
まず、うなぎの食べ過ぎを戒めるためであるという説があります。
梅干しは食欲を増進させることから、高価なうなぎを食べ過ぎてしまうことを恐れこの説ができたと考えられています。
その他には、消化不良を起こす恐れがあるという説があります。
梅干しの酸味とうなぎの脂っこさが胃腸を刺激して消化不良を起こすと考えられていたようです。
このように「うなぎ+梅干し」の食べ合わせには、さまざまな説がありそれらが現在にも伝わっているのかもしれません。
では、実際に食べ合わせとしてNGなのかどうかを栄養学的視点で検証していきましょう。
うなぎと梅干しに含まれる栄養素とは?
それぞれの食材にどのような栄養が含まれているかチェックしてみましょう。
うなぎにはレチノール、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、パントテン酸、タンパク質が豊富に含まれています。一方で梅干しは食塩を使用して作られるため、ナトリウムが豊富に含まれています。それ以外にもカリウム、鉄、食物繊維が含まれています。どちらも主に含まれている栄養素は異なることが分かります。
何がどう作用する?食べ合わせの栄養学的な根拠
それぞれの食材に含まれている栄養素は阻害される組み合わせなのでしょうか?
結論からお伝えしますと、うなぎと梅干しそれぞれに含まれる栄養素は互いに阻害する組み合わせではありません。
梅干しの酸味が胃腸を刺激するという説がありましたが、梅干しの酸味はクエン酸に由来すると考えられます。梅干しに含まれるクエン酸は唾液や胃液の分泌を促し胃腸の調子を整える作用などがあるため、食べ合わせNGと言われるのは迷信のようですね。
ただしクエン酸は食欲を促進する作用があるといわれていますので、梅干しを摂ると食欲が増加しうなぎを食べ過ぎてしまうかもしれません。
今回取り上げた「うなぎ+梅干し」の食べ合わせは、栄養学的には問題ありませんでした。
どちらの食品も体に必要な栄養素が含まれていますので、上手に取り入れていきたいですね。
また「うなぎ+梅干し」以外にも食べ合わせNGと噂されている食材があります。
次回も他の食べ合わせについて栄養学的に検証していきたいと思います。
AUTHOR
一ノ木菜摘
管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。
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