「ありのままを受け入れる」なぜ難しい?更年期に考える女性の生きづらさ|世界メノポーズデーに寄せて

 「ありのままを受け入れる」なぜ難しい?更年期に考える女性の生きづらさ|世界メノポーズデーに寄せて
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高本玲代
高本玲代
2022-10-18

更年期と聞いてイメージするのは何でしょうか?イライラしている、のぼせて汗をかいている…そんなイメージを持つ人が多いと思いますが、実は肩こりや頭痛、疲れやすさも更年期症状なのです。そんな"知られざる更年期"について、更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載です。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。

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10月18日は世界メノポーズデーであり、更年期を考える日でもあります。

「更年期」そのものの言葉は少しずつ広がってきましたが、世界メノポーズデーはまだまだ知られてないですよね。

さて、当社にご相談される方は更年期中に深刻な課題に直面している方が多いです。そういった方のほとんどが、「自分はなぜこんなにダメなんだろうか」「これから私はどうなっていくのだろうか」と悩んでおられるのです。

背景には女性の生きづらさがあるのはないかと思います。「いつも周りに好かれていなければならない」「人に迷惑をかけてはいけない」というこれまでの「教育」があるために、私たちはいつも「清く、正しく、そして強く」生きていかなくてはいけない、という刷り込みをされているのです。

もちろんこれは男性も同じです。しかし、ある時小6の娘が言いました

「ねぇ、どうして女子はトイレに集団で行こうとするの?」と。これって男子にはあまりない習慣ですよね。

色々な考えがあると思いますが、背景には「私は誰かのグループに所属していて、友達がいる人間だよ」という証明になる、という気持ちがあったことを思い出しました。そういった女子にとって、「ぼっち」はものすごい恐怖になるのです。

大人になってもSNSで友達と集団で仲良さそうに映っている写真についても、もちろんその場を記念してのものがほとんどとは思いますが、「私こんなに友達いるのよ」という承認欲求からUPされる方もおられるかもしれません。実際に「幸せそうな自分をSNSにUPすることに疲れた」と言っている人の話を聞いたことがありますから…。

女子がトイレに連れ立っていく話を先日男性1人、女性1人の計3人で話していた時に、男性が大爆笑しながら「男子は絶対一緒にトイレは行かないよな」と言っていました。

学生時代、私たちは「学校に友達がいない自分は人としてダメなのではないのか」といった刷り込みがあったのだと思います。それは毎日のように母親に「今日は誰と遊んだの?」「友達いるの?」と聞かれたりするからです。

「今日は一人で遊んだ」と答えると母親はとても心配をしていたことも思い出しました。でも、母は兄たちにはそんな質問はしていなかったな、とはたと気が付いたのです。

母も悪気はなかったと思います。なぜなら母自身も女性はある程度周りと上手に折り合いをつけて、仲良くして生きていくことが幸せだと刷り込まれていたからです。そういった長年にわたる私たちへの刷り込みが女性を生きづらくしている面があるのではないでしょうか?

カウンセリングをしながら「嫌われてもいいじゃないですか。ありのままの自分でいるあなたを好きになってくれる人とだけ付き合えばいいですよ」と伝えると皆さんパッと表情が変わるのです。その瞬間「誰からも好かれていなくてはいけない自分」を切り離すことができるからです。

そして、それまでそんなことを言ってくれる人は身近にはいなかったと言われます。

あまり友達がいない娘たちに私は常に「一人で楽しく遊べることはものすごい才能だし、それさえできれば怖いものはない」と話しています。

そして、「そんなあなたがやっていることに興味を持ってくれる人と友達になればいいよ。もし人生で一人そういう人が見つかったらとってもラッキーだよ」と伝えています。

更年期になると、不調が増えてきます。でも周りに迷惑をかける自分はダメだ、と思ってしまうともっと体調は悪くなります。

不調なりに受診したり、体を動かしたりしながら今までどおり動かない体をあなた自身が大切にしてあげてください。

そして、自分が迷惑をかけている、と思うのではなく、大変だけど手伝ってくれたらとても嬉しい、と周りに伝え、手伝ってくれた人に感謝の気持ちを伝えていきましょう。

もしあなたが今の体調を含めて自分自身を受け入れられたら、更年期は今よりももっと素敵なものになると思います。

是非「すみません」より「ありがとう」の言葉をあなたの周りに増やして過ごしてくださいね。

 

最後に世界メノポーズDAYに寄せて、「更年期を社会課題に」として署名活動を始めました。今各団体に働きかけており、メディアでも発信される予定です。更年期の社会課題について賛同いただける方は、是非リンクからサインをお願いいたします。

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AUTHOR

高本玲代

高本玲代

フェムテック起業家・社会活動家。自身のウツや更年期の経験から更年期女性のケアプロ グラム「よりそる」を立ち上げる。東京都をはじめとする自治体やポーラをはじめとする 企業向けに研修を実施。NHKをはじめメディア掲載50社以上。「がんばらない更年期」 についてYoutube「更年期アカデミー よりそる」で発信中。



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