【更年期のお悩み】性器がにおうのは気のせいじゃなかった!医師が教える「加齢と女性ホルモンの関係」
更年期になるとさまざまな症状が現れますが、そのメカニズムを知っている方は少ないのではないでしょうか。仕組みを知ると、適切な対処をできるようになるかも。今回は、更年期になってからデリケートゾーンがにおうというお悩みに『女医が教える性のトリセツ』(富永喜代 著、KADOKAWA社)からヒントをいただきましょう。
女性ホルモンが減ると自浄作用も低下する
女性ホルモンとも呼ばれるエストロゲンは、加齢により減少していきます。妊娠や出産にも大きく関わるエストロゲンの分泌量は年齢によって変化します。加齢によってエストロゲンが減少すると、デリケートゾーンのにおいにも変化が。「更年期になって、アソコがちょっとにおうかも」というのは、気のせいではなかったのです。
腟内にはあらゆる細菌が住んでおり、腟は乳酸菌の一種である「デーデルライン桿菌(かんきん)」という善玉菌によって守られています。この乳酸桿菌は、外からの雑菌を防いだり腟内を酸性に保ったりする「自浄作用」の役割があります。
いくら優秀なデーデルライン桿菌でも、エサがないと動くことができません。エストロゲンが減少すると、デーデルライン桿菌のエサとなる腟上皮のグリコーゲンが減少し、働きが弱まります。その結果、腟内は自浄作用が弱まることに。これが加齢で起こるデリケートゾーンのにおいの原因です。
女性ホルモン「エストロゲン」は身体を守ってくれる
エストロゲンは、女性の身体を守ってくれる大切なホルモンです。エストロゲンの減少が及ぼす影響は、デリケートゾーンのにおいだけではありません。エストロゲンには、関節、骨筋肉、肺、心臓、血管など全身のさまざまな機能を調節する作用があります。また、関節や腱をなめらかに動かすためにもエストロゲンは必須です。
エストロゲンが減少すると、高血圧や動脈硬化、そして骨粗鬆症のリスクが上昇します。閉経を迎えるとエストロゲンの減少とともに、最大骨量が明らかに減少し、骨粗鬆症の発症率は高くなります。これは、エストロゲンが担っていた骨代謝を促す作用が弱まるためと考えられます。
エストロゲンが減少したことで生じるさまざまな不調を緩和するには、「女性ホルモン補充療法(hormone replacement therapy;HRT)」という治療法があります。飲む・塗る・貼る・入れるなどで女性ホルモンを補い、更年期症状を和らげます。治療には医師の診察が必要となります。
自分に合った更年期障害解決方法を
更年期になるとエストロゲンが減少し、健康面でのさまざまな問題を引き起こします。更年期障害を和らげるためには、上述のHRTのほかにアロマセラピーや漢方、サプリメントなどの方法もあります。健康状態や併用に問題がある場合もあるので、更年期障害に悩む方は、まず医師に相談してみることをおすすめします。
今回参照した『女医が教える 性のトリセツ』(富永喜代 著、KADOKAWA社)には更年期障害のメカニズムと対処方法について詳細に書かれています。更年期の悩みを解決するヒントが満載です。
教えてくれたのは…富永喜代先生
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。著書に『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA、2022年)など。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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