ヨガ的メンタルヘルスガイド【コロナ禍で「健やかな心」を保つためのヒント】

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ヨガで脳を活性化

うつや不安の影響から脳を守るためには、ヨガや瞑想が重要な役割を果たす。正確なメカニズムはまだ解明されていないが、これらの実践が気分や記憶、感情に関わる脳のさまざまな領域を刺激するためではないかと、整骨医でスポーツ神経学と外傷性脳損傷が専門の神経学者、ニケシュ・バジャジは述べている。

前頭葉
脳の司令塔として知られる前頭葉は、一次運動野で顔、腕、体の動きを制御するほか、意思決定や問題解決を司っている。行動や気分のコントロールや自制は、前頭葉で処理される。ヨガによって前頭葉の機能が向上することが証明されている。

大脳辺縁系
食べる、生殖するなどの生存行動は、嗅覚、記憶、感情などを司る複雑なネットワークである大脳辺縁系とつながっている。慈愛に満ちた瞑想が、大脳辺縁系を強化するという研究結果がある。

海馬
大脳辺縁系の中には学習、感情、記憶に関わる海馬がある。複数の研究で、ヨガ実践者は非実践者よりも海馬の体積が大きく、作業記憶力がより優れていることがわかっている(うつ症状は記憶力の不調と深く関連している)。

頭頂葉
感覚を司る中心部としてさまざまに機能する頭頂葉は、特にヨガのポーズに入るときに体を認識する役割を担っている。研究では、マインドフルネス瞑想によって頭頂葉の厚みが増したとされている。

後頭葉
視覚処理を司る後頭葉は、ヨガポーズの動きを追うことを可能にする。また、メンタルヘルスにも重要な役割を果たしている。後頭葉の機能低下はうつを引き起こす可能性があるが、ヨガ実践者の後頭葉は活性化していることがわかっている。

小脳
小脳は、動きとバランスを調整する。ヴルクシャーサナ(木のポーズ)やヴィーラバッドラーサナⅢ(戦士のポーズⅢ)で立てるのは小脳のおかげだ。ヨガ実践者は小脳の灰白質が増加する傾向がみられ、これは記憶力、注意力、運動機能の向上や、認知障害が少ないことと相関している。

脳幹
脳と脊髄をつなぐ脳幹は、呼吸や心拍など生命維持に欠かせない無意識の運動を調節している。脳幹の最上部には、睡眠と覚醒のサイクルを制御すると考えられている脚橋被蓋(神経核)がある。ヨガが睡眠の質に良い影響を与える理由はここにあるのかもしれない。脳幹の深部には、深い呼吸とリラックスと不安を結びつけるニューロン(神経細胞)があり、ヨガの練習中に体を包み込む瞑想的な落ち着きをもたらしてくれる。

脳下垂体
豆粒ほどの大きさの下垂体は、神経系と内分泌系(成長・発育から代謝まで司るホルモンを分泌する全身の腺)をつなぐ主要な役割を果たしている。ブラマリ・プラーナヤーマ(蜂の呼吸)は、血圧を下げることによって脳下垂体にじかに効果を与えるという研究結果がある。

側頭葉
聴覚認知や言語処理には、側頭葉が関わっている。扁桃体はここに位置し、感情や情動に重要な役割を果たしている。瞑想やヨガを実践している人は、扁桃体の過剰反応が抑えられ、より感情のバランスがとれていることが研究で示されている。
 —メーガン・ジョンソン

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ヨガで脳を活性化
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photos by WACOMKA/SHUTTERSTOCK, SUPAKRITPUMPY/ISTOCK, VECTORV/ SHUTTERSTOCK,
illustration by SIMON2579/ISTOCK
food styling by Nancy Zamparelli
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.76掲載

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