「いつまで経ってもレシピなしで料理が作れない」自炊の悩みを解決するには?

 「いつまで経ってもレシピなしで料理が作れない」自炊の悩みを解決するには?
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「料理は好きだけど、レシピなしでご飯が作れない」「冷蔵庫の余り物でパパッと料理することに憧れる」「食材を余らせて、腐らせてしまうことが多い」──そんな人は、少なくないでしょう。 かくいう私も料理は比較的好きなので、美味しそうなレシピ本を見るとテンションが上がるタイプ。しかし、レシピなしではご飯を作ることができません。スマホでささっと検索したら便利な料理動画がいくらでも出てくる時代ですから、レシピに沿って自炊することは、何の問題もないでしょう。 ここでは、ある本の内容を例に挙げながら、レシピなしで料理を作るための“自炊のヒント”を紹介していきます。

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もっと料理を楽しむために! レシピなしで料理ができるようになるヒント

なぜレシピなしで料理を作りたいのか、それは、そのほうが自由で「作っている」感があるからです。レシピ通りに料理を作ると、どうしても「作業」感が出てしまうので、美味しい料理ができた達成感は味わえるものの、創作の楽しさという点では劣ってしまいます。

「もっと料理を自由に楽しみたい」という思いから手に取ったのが、自炊料理家の山口裕加さんとミニマリストで文筆家の佐々木典士さんの共著『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法』(ダイヤモンド社/2025年3月発売)でした。

本書では、レシピを頼りすぎるデメリットとして「作っても覚えられない」「自分で作ったという達成感がない」「レシピがないと料理ができなくなる」などを挙げ、レシピなしで料理ができるようになるためのヒントがたくさん紹介されていました。ここでは、私が早速取り入れたいと思った自炊のヒントをいくつか紹介していきます。

1.レシピを薄目で見る

レシピの指示に沿って、間違えないように料理を作った方が美味しく作れる可能性は高いでしょう。しかし、私は心の中ではずっと、「レシピなしで、自由に料理を作る人」に対してほのかな憧れがありました。レシピなしで料理を作れるようになるためには、レシピに頼りすぎないことが必要です。ざっくりとした工程だけ前もって読んでおき、その手順を思い出しながら作っていくと、「ここでお酒を入れるのは臭み取りのためかな」など、考えながら調理をすることができます。あえて曖昧な記憶を頼りに作ることで、「何も考えずに指示に従う」料理法から離れることができるのです。作り終わった後に、答え合わせとしてレシピを再度確認するのもいいでしょう。

2.調味料を舐めてみる

本書では、「意外と日々使っているみりんなどの調味料、そのままの味を知らないまま使っているのでは」と指摘されていました。確かにその通りで、私自身も、みりんをそのまま舐めてみたことはありませんでした。調味料そのままの味を確認しておくことで、どの料理にどれだけ使えばいいのか、感覚が養われるでしょう。

3.味付けの「三種の神器」を知る

味付けの基本をマスターしておくことで、応用が可能となります。山口さんは、「味付けの三種の神器」として以下の調味料の使い方を紹介していました。

★塩分のある調味料(塩、味噌、醤油など)+油
・焼き野菜
・冷やしトマト
王道中の王道。塩味だけでも料理になるが、油を足すとよりリッチに

★醤油+みりん
・鶏肉の照り焼き
・豚の生姜焼き
・肉じゃが
ご飯のおかずになるような甘辛味は大体これ

★酢+塩+油か砂糖
・サラダのドレッシング
・酢の物
・玉ねぎの甘酢漬け
酢+塩+油はドレッシングの基本。酢+塩+砂糖は酢の物の基本

味付けに困ったら、上記3つのうちの、どれかを試してみるのも一案でしょう。

日本人は料理に厳しすぎる。料理しなくても生きていける

ところで、料理は全ての人がするべきものなのでしょうか? 当然、そうではありません。そもそも、日本人女性には「料理をすべき」「家庭料理は母親の愛情のバロメーター」のような圧力が長年かけられてきており、その考えが現在もしぶとく残り続けていることもまた事実です。「母親なら料理するべき」「女の子なら料理くらいできて当然」という社会的プレッシャーのためにする料理は、苦しいものになってしまうでしょう。外に行けばいくらでも美味しいご飯を買うことができる世の中ですから、料理が重荷だと感じるなら、当然全く作らなくても問題ありません。

山口さんは、自炊を広める活動をされていますが、日本人は特に「自分は料理ができない」と考えている人が多いそうです。しかし山口さんからみると、「料理できないと言っているけど、すでに料理している。できている」人が多いそう。どうやら、日本人は料理に対するハードルが高く、料理に関する自己肯定感も低いようです。

一方、山口さんが韓国に行った際に、「自炊の悩みはありませんか?」と聞いたところ、みんな「ない」と答えられたそう。韓国に限らず、「自炊した方がいい」「料理のレパートリーが多くないとダメ」という圧力が存在しない国は少なくありません。私がカナダに留学していたとき、ホストファミリーがランチとディナーを作ってくれていたのですが、毎日ほぼ同じメニューの繰り返しでした。そのことに対して罪悪感を感じている様子が皆無だったことを考えると、日本人の自炊力は各国と比較して高い方であることが伺えます。

日本ではかつて「一日30品目」をとることが国から推奨(現在は廃止)されていた時代がありましたし、「一汁三菜」が理想的な食事だとされていた時代もありました。

忙しい現代人にとって「一汁三菜」が非現実的であることは理解しつつも、品数が多くないとダメだという価値観を内面化している人も多いため、「お肉を焼いただけでは料理とは言えない」と考えてしまうのでしょう。

料理を楽しむためには、まずは日本特有の高すぎる「料理のハードル」を自覚し、料理をするもしないも、どのように料理するのかにも、絶対的な正解はないことを認識する必要がありそうです。

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