"薬膳の山薬"って?毎朝食べたい「トトノイTKG」を教えます|管理栄養士が教える朝ごはん

 "薬膳の山薬"って?毎朝食べたい「トトノイTKG」を教えます|管理栄養士が教える朝ごはん
石松佑梨
石松佑梨
2021-10-27

コロナ禍で、もうくたくた…今こそ、頑張らない食トレを始めてみませんか? 私は幼い頃から朝ごはんが大好きでした。味噌汁をすすった時のホッとゆるむ感覚は誰もが経験したことがあるものではないでしょうか。トントンと野菜を切る音や、トーストが焼ける香ばしいにおい、元気色の彩りフルーツ…朝ごはんは1日の始まりを五感で感じられる幸せな食事です。「ゆるく豊かな朝時間 × ずるい栄養学」で始まる「キレイが目覚める朝ごはん」の連載です。

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旬の山芋は、栄養満点

山芋とは長芋や自然薯のように、すりおろすと粘りがでる芋の総称です。薬膳では「山薬」とよばれ、古くから万人にとっての滋養強壮食材として用いられてきました。栄養学的にはカリウムや鉄、亜鉛、ビタミンB群、食物繊維などが豊富です。

カリウムは余分な塩分を体外に排出することでむくみを軽減してくれるミネラルです。血圧が高めな方の食事法は減塩が基本ですが、これにカリウム豊富な野菜や芋類、果物などの積極的摂取を組み合わせることで、さらに血圧を下げる効果が期待できます。薬を飲んで血圧が安定している方も含めて、食生活の改善で根本から血圧コントロールできるといいですね。

山芋
photo by Adobe Stock

また、ビタミンB群は代謝ビタミンと呼ばれています。糖質燃焼をサポートするビタミンB1や、筋力アップをサポートするビタミンB6をはじめ、パントテン酸や葉酸、ビオチンなども山芋には豊富に含まれています。これらビタミンB群はお互い助け合いながら働いているため、どれかひとつだけを多く摂ったり、逆に何かが不足している状態では代謝が上手に行われません。例えば、糖質過多になりがちな人はビタミンB1を、筋トレを頑張っている人はビタミンB6を意識してとるように心がけてみましょう。身体が欲する栄養素はそれぞれ異なりますので、ビタミンB群全体をバランスよくとることで代謝を高めていきたいですね。

さらに整腸作用がある食物繊維はデトックス効果を高めることで代謝をあげてくれます。水溶性食物繊維は糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を防ぎ、脂肪を溜めにくくする働きもありますので、ごはんやそばなど糖質全般と組み合わせて賢く楽しみたいですね。

冷凍とろろで楽チン、とろろTKG

今回のTKGに組み合わせるのは山芋とろろです。毎朝、山芋をすりおろすのは面倒ですが、まとめて処理して冷凍ストックしておけば、時間のない朝でも手軽に山芋とろろが食べられます。

冷凍とろろは自然解凍して生で食べるのがおすすめ

山芋はすりおろして、一回分ごとに小分けして冷凍保存しておくと便利です。

使用する際に、電子レンジで解凍すると山芋鉄板のようなふんわり食感になりますが、栄養学的には生食をおすすめしています。山芋とろろを生で食べるには、前夜から冷蔵庫におろして自然解凍しておくだけで大丈夫です。

山芋に含まれる「酵素(アミラーゼ)」にはでんぷんを分解する働きがあります。一緒に食べたごはんや麺類の消化も助けてくれます。ただし、酵素は加熱するとその機能は弱まってしまうため、特に消化力に自信のない人は生のまま食べましょう。

TKGのトッピングは青のりがおすすめ

マグネシウム豊富な青のりには、血管をしなやかにする働きがあります。血流が良くなると、全身の細胞に栄養や酸素が運ばれるようになるため、基礎代謝が上がり、太りにくく、冷えにくくなります。また、老廃物の回収もスムーズに行われるため、疲れにくく、むくみにくいカラダになります。また、磯の香りもTKGの美味しさにひと役買うものです。

 

いかがでしたか?

今回はTKGに栄養豊富な山芋とろろを組み合わせました。次回のTKGもお楽しみに。

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石松佑梨

石松佑梨

サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートたちの専属管理栄養士として従事。のべ2万人以上に提供してきた「頑張らない食トレ」を武器に、近年は企業の健康経営や地域創生も展開する。幼い頃から「おいしい」への執着心が人一倍強く、おいしく健康に食べるための「ずるい栄養学」で、誰もがおいしく食べて健康になれる社会を目指している。著書に『過去最高のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー』(かんき出版)がある。



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