プラスサイズモデル吉野なおが考える「ダイエットするのが苦しい」と思う時に見直すべき3つのポイント
プラスサイズモデルとして活動する吉野なおさんによるコラム連載。今回のテーマは「ダイエットするのが苦しい」と感じた時に見直すべきことについてです。
プラスサイズ女子を描くイラストレーター・haraさんのエッセイ本『自分サイズでいこう-私なりのボディポジティブ-』が6月24日に発売になりました。
ダイエットをきっかけに体重や容姿にとらわれていったharaさんがプラスサイズファッションやボディポジティブに出会い、少しずつ「ありのままの自分を愛してもいいのかも?」と思い始めていくエピソードはリアルで共感の嵐!
ヨガジャーナルオンラインでharaさんと私が対談した漫画も収録されています。
「痩せなきゃオシャレしちゃいけない」と思っていたharaさんと同じように『痩せ』にとらわれていた過去の私は、「痩せていなきゃ人生が始まらない!」「太っている私は仮のわたし」と思い込んでいました。
そしてそんな状況を打破するためにダイエットを始めてみると、だんだんと食べ物の摂取カロリーや運動のカロリー消費に対して神経質になり、思うように体重が減らないと焦ったり不安になったり自分にダメ出しをするように。
「こうでなきゃいけない!」というダイエット思考のマイルールにしばられて、太ったままも苦しい、痩せるのも苦しい、苦しさの板挟みになっていたのです。
私の場合は、最終的に摂食障害になってしまいましたが、ダイエットを始めてからこんなふうに八方塞がりの状況に陥ってしまう人は実は多いのでは無いでしょうか。
そんな時におすすめしたいことは、『ダイエットのマイルールを見直すこと』。
今回は、見直すときのポイントを3つご紹介します。(頭の中で考えるだけではなく紙に書いてみると分かりやすくなります)
①そのダイエットはどこからやってきた?
そもそも『太ること』や『痩せること』について、自分がどんな捉え方をしているのか、改めて考えてみたことはあるでしょうか。また、なぜそんなにまで痩せたいのでしょうか?
あくまで一例ですが、私は痩せることについて『褒められること』『”きちんとした人”の証拠』などの意味付けをしていました。太っていたことで他人に揶揄されて傷ついた経験や、社会の中で作られた『太った体へのネガティブなイメージ』を自分で内面化していたことにも気付きました。
そしてそんなふうに他人からの評価を気にし続けることや、太ることへの不安を一生抱えながらで生きていくことは辛いと感じたのです。
それまで「そのままでいいんだよ」「そんなに無理して痩せなくていいんだよ」と誰に何を言われても受け入れることができず、自分の中で頑なに信じ続けていた「痩せなきゃいけない」のルールを俯瞰してみると、自分を苦しめていたものがわかるようになりました。
実は体型そのものよりも、私が自分自身にダメ出しして嫌悪感を抱いたり、低く評価し続けることが人生を暗くさせていたのです。
今でも、洋服屋さんで気に入った服が入らない時など、私は自分の体についてときどき不便に感じることはあります。それでも、自分を悪くジャッジするのではなく自分の気持ちに共感してあげて、自分の体の味方でいてあげようと思うようになりました。
自分の体を憎んだり敵にしても良いことが無いと分かったからです。
②ダイエットルールが非現実的すぎるかも?
ダイエットの結果を急ぎすぎて目標やルールに無理な設定をしている場合もあります。
例えば、・運動が嫌いなのに「明日から毎日ランニングを始めよう」
・食べることが大好きなのに「明日から豆腐だけ食べよう」
このように極端な白黒思考の目標設定は、ある意味で失敗しやすいルール設定なので、より自分にダメ出しするパターンを作り出し、やればやるほど自己嫌悪してしまいます。
誰かのマネではなく、まず、今の自分に何が出来るのか、何ができないのか現実的な視点を持つことが、苦しさをやわらげる手助けになるかもしれません。
③不安や焦燥感を抱きやすいトリガー(きっかけ)に気づく
「ああ、痩せなきゃ」と特に思う時は、どんな時でしょうか?その時に引っかかったトリガーをメモする癖をつけると、対処方法が見出せたりします。
例えば、
・SNSでダイエット成功例を見た時→SNSで見る情報を変える
・鏡を見たとき→見た目よりも体調に関心を向ける
美味しそうな食べ物の写真を見ていると「食べたい!」と思ってレストランへ行くように、私たちは目にする情報から行動を決めていることがよくあります。自分の気持ちだと思っていたものが、元を辿れば自分ではない誰かの価値観の影響を強く受けているのかもしれません。
ダイエットに限らず、仕事や恋愛などでも辛い状況に陥ってしまった時は「こうでなければいけない!」と自分で決めたルールに縛られすぎていないかどうか俯瞰してみること、そして少し視点をずらすことをおすすめします。
実は1kg痩せることよりも、1冊の本が心の不安を和らげてくれることだってありえます。
あなたが自分に対して決めているルールは、本当にあなたのためになっているでしょうか?
AUTHOR
吉野なお
プラスサイズモデル・エッセイスト。雑誌『ラ・ファーファ(発行:文友舎)』などでモデル活動をしながら、摂食障害の経験をもとに講演活動やワークショップのほか、ZOOMでの個人セッションも行っている。mosh.jp/withnao/
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